1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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番外編2 君と僕の出会いの物語

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「あなたはね、私の義弟おとうとになるの」

 驚きの言葉に僕は顔を上げる。

「私ね、義弟おとうとができるって聞いて、すごーーーく楽しみにしてたの」

 にっこり笑った少女クラリスの笑顔は太陽のように眩しくて温かかった。初めて会ったその笑顔に思わず見惚れてしまう僕。

 僕の事を義弟おとうとと呼び、嬉しそうに彼女は微笑む。

 きれい……

 輝く笑顔に心を奪われ、ぼぅっとしていた僕にクラリスは首を傾げる。大丈夫?という声で我に返り、慌てて先程の言葉を聞き返した。

「お、義弟おとうと……?」
「そう、義弟。私の方が2ヶ月お姉さんだから。私の義弟……嫌?」

 僕が黙っていたのは義弟が気に入らないからだと思ったのか、心配そうに僕の顔を覗き込む。

「いえ……嫌じゃ……ないです」 
「良かった!! 私の事はお姉ちゃんって呼んでね?」

 とりあえず返事はしたものの、突然弟とか姉とか言われて、僕は当惑した。

 義弟なんて……本当に? 僕は本当にこの子と……家族に?

「……それにしても、私が怒った時の男爵様の顔みた? 目がまん丸だったわ。よっぽどびっくりしたのね。驚かせすぎたかしら?」

 クラリスは少し申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに悪戯っ子のようにコバルトブルーの瞳をくりんとさせた。

「でも、言っちゃた。今更……よね。あははっ」
 
 令嬢らしからぬ大きな口を開けて、楽しそうに笑う姿がかわいらしく、僕もつられてあははっと笑う。

「ヘヘ、義弟おとうとがやっと笑った」
「ク、クラリス様が笑わせるから……」

 たどたどしく答えた僕とクラリスは目を合わせ、さっきの父さまの顔を思い出しては、同時にぷっと吹き出した。

「ねぇ……ミカエルって呼んでいい?」

 一通り笑い合った後、クラリスはうきうきした面持ちで僕に聞く。

「はい。もちろん」
「やったぁ! ふふ、ミカエル」

 今まで名前を呼んでくれたのは母さまだけだった僕は、少し泣きそうになった。

「はい」
「ミカエル」
「はい」
「ミカエル」
「はい」

 何度もクラリスは僕の名を呼び、それに僕は返事をする。たったそれだけの事なのに僕の心に喜びが溢れてくる。

 僕の存在を認めてくれている。
 僕はちゃんと存在している。

 クラリスは僕をギュッと抱きしめた。

「ずぅぅぅっと傍にいてね! ミカエル」

 満面の笑みのクラリスに微笑みを返し、僕は目を潤ませる。

 僕はもう1人じゃない。

「はい」
「約束よ!」

 笑顔のクラリスに頷く僕。

 約束するよ……ずっと……ずっと君の傍に。



 僕はもうこの時、恋に……落ちていた。
 
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