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学園編~四学年~
21.冒険者になっても安心①
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校外授業が自粛された私達は学園で保有している森、各エリアを活用して授業が行われた。
つまり今までと何ら変わらない日々を迎えるというわけだ。
だけど、他のクラスや学年の人たちも校外授業を自粛することになったため、私達が利用できる日が少なくなってしまうというもの。
適当に、だなんてそんな気持ちで取り組んだことは一度もないけれど、今まで以上に真面目に取り組んでいこうと考えた私は、自然の空気を思いっきり胸いっぱい吸った。
「ハール、今日はよろしくな」
そう言ったのはリク・シェイリンで、私と同じ水属性の貴族の男の子だ。
二学年の時にやった属性魔法の対戦でレロサーナと戦った相手である。
「うん、よろしくねシェイリン。リノスもよろしくね」
「ええ。よろしくお願いしますわ」
微笑みを浮かべる彼女はリノス・トーアナ。
取り入れられた校外授業でレルリラとチームになったことのある女の子だ。
………本当、あの時は困った。
髪の毛を切ったことでまさかあんなことになるとは思わなかったのだ。
リノスも平民女性にとって髪の毛は大したことないんだから、レルリラの援護をするような発言をしないでほしかった。
いや、リノス自身としてはとても大切だと感じているからああいう発言をしたんだろうけれど。
私達三人は歩きやすいように縦並びになってエリアの中を歩いていく。
今日の授業内容は、ターゲットは絞らず一日この中で過ごすことだ。
今頃騎士団と共に学園の外で活動していただろう私達は、食事面であっても自分たちでどうにかするようにと言われていたタイミングだったのだろう。
今まで学園内での授業中簡易的な携帯食料の持ち運びが認められていたのだが、今日から「食事は各々で用意するようにな」とか言われエリアの中にぶち込まれたのだ。
でも「どうしよう」という気持ちはなかった。
だって…
「サラ、私貴方に伺いたいことがあるのです…」
「ん?なに?」
シェイリンが先頭を歩き、その後ろをリノス、そして私といった順番で歩いていると、速度を落としたリノスが私に小声で話しかける。
シェイリンに聞こえないように気を使っているのか、かなり声が小さかった。
「貴方今色々な方の呼び出しを受けていますよね…。その…大丈夫ですか?」
心配の色を瞳に宿し、私を窺うリノス。
「そ、その……私は伯爵家の者です。レロサーナ様やエステル様の立場では難しくとも、それなりに力がある家です。
なので……」
「心配してくれてありがとう~~!」
言葉を最後まで待たずに、遮るように言った私をリノスが見上げる。
実はBクラスの金髪縦ロール女性からの呼び出し以降、いくつかの呼び出しがあった。
金髪縦ロール女性の件もあり、レロサーナとエステルには「私達にもサラを守らせて」と言われていたが私は断った。
二人の気持ちは嬉しいけど、レロサーナもエステルも男爵の家柄の子だからだ。
貴族の中で男爵は、一番低い準男爵意を除くともっとも低い爵位であることは私だって知っていることだ。
学園の中では平等を謳っている為、階級制度を設けていない。
身分の高いものが下の者に対して”そういう態度”を取ることも禁じられている。
でも学園を卒業してしまったらそうにもいかない。
貴族の子は学園を卒業しても貴族なのだ。
勿論私だって平民だけど、でも貴族と関りがある平民でもある。
なら、せめてレロサーナやエステルが反感を買ってしまわないよう、そういう可能性があることには巻き込まない。
そう決めた。
だから私は断ったのだ。
渋る二人だったが今後の対策について話を聞くと、「それなら…」と引き下がってくれた。
「大丈夫だよ。私にはとっておきの秘策があるからね!」
そう胸を張った私にリノスは首を傾げる。
「秘策?なんですの?」
「それはね……ッ、シェイリン!前方500メートル先!“何体”かくる!」
耳を近づけたリノスのは悪いがかけておいた探知魔法にかかった反応に私はすぐさま前方を歩くシェイリンに伝える。
私の探知魔法はまだ精度が高くない。
自分を中心に円のように魔力を広げるのなら半径500メートル程の範囲で、尚且つ動きのある反応しかわからない。
本当ならレルリラのように、もう少し精度を高くしたいけれどこれも経験がものをいうってやつね。
私の探知魔法に引っかかった反応からみるに明らかに魔物であるそれに、私は警戒するように声を掛けた。
探知した時点では500メートルだったから、速度を出してこちらに向かってくる魔物はもう肉眼で確認できるほどに近づいていた。
その魔物をシェイリンは目を細めて確認する。
「あれは!!小さいがアウルベアか!?」
「とりあえず鳥と熊どっち!?」
「熊!」
私の質問にシェイリンが答える。
リノスはなにがなんだかわからない様子だったが、アラさんの指導を受けた私達には意味が通じているから安心して欲しい。
「リノス!雷魔法は出来る限り抑えて欲しい!
打つなら気絶するくらいの威力でお願い!」
「え?え、ええ…、わかりましたわ」
「シェイリンはアウルベアが逃げないように引き寄せつつ、リノスの魔法に備えて!」
「わかってる!」
シェイリンとチームを組むことは片手で数えるくらいしかないが、それでも同じ水属性でアラさんの元で共に習っていた。
だから他属性のクラスメイトよりは今私が何を目的にしているか、きっとわかっているだろう。
シェイリンがアウルベアに近づく中、私はアウルベアの全方向に防御魔法を展開させる。
勿論獲物であるシェイリンが目の前にいるのだから、前方向に向かってアウルベアは私が展開した防御魔法に攻撃し、防御魔法を破っていく。
パリンパリンといくつも掛けた防御魔法が破られていく中、私はリノスを振り返った。
「リノス!アウルベアの上から雷落とせる!?」
「はい!」
「じゃあ弱でお願いね!シェイリン!防御!」
私が展開させた防御魔法に鋭い爪を立てさせながら、なんとか破ろうともがくアウルベアにリノスが雷を落とす。
勿論私の声を合図にシェイリンが自身を覆うように防御魔法を展開させているから、シェイリンには被害はない。
アウルベアの体にはビリビリとした稲妻が纏い、少しだけ動きが止まったが、すぐに目を開き意識を取り戻した。
「さ、サラ!やはり威力が…!」
「大丈夫!シェイリン!首めがけて攻撃!」
「ああ!」
シェイリンは即座に氷の針を生み出しアウルベアへと放つタイミングで、私はシェイリンとアウルベアの間にある防御魔法を消した。
氷の針で首を釘刺しされたアウルベアはそのまま消える。
私とシェイリンはもう本命であるもう一匹の“動物”に向かって駆け出した。
つまり今までと何ら変わらない日々を迎えるというわけだ。
だけど、他のクラスや学年の人たちも校外授業を自粛することになったため、私達が利用できる日が少なくなってしまうというもの。
適当に、だなんてそんな気持ちで取り組んだことは一度もないけれど、今まで以上に真面目に取り組んでいこうと考えた私は、自然の空気を思いっきり胸いっぱい吸った。
「ハール、今日はよろしくな」
そう言ったのはリク・シェイリンで、私と同じ水属性の貴族の男の子だ。
二学年の時にやった属性魔法の対戦でレロサーナと戦った相手である。
「うん、よろしくねシェイリン。リノスもよろしくね」
「ええ。よろしくお願いしますわ」
微笑みを浮かべる彼女はリノス・トーアナ。
取り入れられた校外授業でレルリラとチームになったことのある女の子だ。
………本当、あの時は困った。
髪の毛を切ったことでまさかあんなことになるとは思わなかったのだ。
リノスも平民女性にとって髪の毛は大したことないんだから、レルリラの援護をするような発言をしないでほしかった。
いや、リノス自身としてはとても大切だと感じているからああいう発言をしたんだろうけれど。
私達三人は歩きやすいように縦並びになってエリアの中を歩いていく。
今日の授業内容は、ターゲットは絞らず一日この中で過ごすことだ。
今頃騎士団と共に学園の外で活動していただろう私達は、食事面であっても自分たちでどうにかするようにと言われていたタイミングだったのだろう。
今まで学園内での授業中簡易的な携帯食料の持ち運びが認められていたのだが、今日から「食事は各々で用意するようにな」とか言われエリアの中にぶち込まれたのだ。
でも「どうしよう」という気持ちはなかった。
だって…
「サラ、私貴方に伺いたいことがあるのです…」
「ん?なに?」
シェイリンが先頭を歩き、その後ろをリノス、そして私といった順番で歩いていると、速度を落としたリノスが私に小声で話しかける。
シェイリンに聞こえないように気を使っているのか、かなり声が小さかった。
「貴方今色々な方の呼び出しを受けていますよね…。その…大丈夫ですか?」
心配の色を瞳に宿し、私を窺うリノス。
「そ、その……私は伯爵家の者です。レロサーナ様やエステル様の立場では難しくとも、それなりに力がある家です。
なので……」
「心配してくれてありがとう~~!」
言葉を最後まで待たずに、遮るように言った私をリノスが見上げる。
実はBクラスの金髪縦ロール女性からの呼び出し以降、いくつかの呼び出しがあった。
金髪縦ロール女性の件もあり、レロサーナとエステルには「私達にもサラを守らせて」と言われていたが私は断った。
二人の気持ちは嬉しいけど、レロサーナもエステルも男爵の家柄の子だからだ。
貴族の中で男爵は、一番低い準男爵意を除くともっとも低い爵位であることは私だって知っていることだ。
学園の中では平等を謳っている為、階級制度を設けていない。
身分の高いものが下の者に対して”そういう態度”を取ることも禁じられている。
でも学園を卒業してしまったらそうにもいかない。
貴族の子は学園を卒業しても貴族なのだ。
勿論私だって平民だけど、でも貴族と関りがある平民でもある。
なら、せめてレロサーナやエステルが反感を買ってしまわないよう、そういう可能性があることには巻き込まない。
そう決めた。
だから私は断ったのだ。
渋る二人だったが今後の対策について話を聞くと、「それなら…」と引き下がってくれた。
「大丈夫だよ。私にはとっておきの秘策があるからね!」
そう胸を張った私にリノスは首を傾げる。
「秘策?なんですの?」
「それはね……ッ、シェイリン!前方500メートル先!“何体”かくる!」
耳を近づけたリノスのは悪いがかけておいた探知魔法にかかった反応に私はすぐさま前方を歩くシェイリンに伝える。
私の探知魔法はまだ精度が高くない。
自分を中心に円のように魔力を広げるのなら半径500メートル程の範囲で、尚且つ動きのある反応しかわからない。
本当ならレルリラのように、もう少し精度を高くしたいけれどこれも経験がものをいうってやつね。
私の探知魔法に引っかかった反応からみるに明らかに魔物であるそれに、私は警戒するように声を掛けた。
探知した時点では500メートルだったから、速度を出してこちらに向かってくる魔物はもう肉眼で確認できるほどに近づいていた。
その魔物をシェイリンは目を細めて確認する。
「あれは!!小さいがアウルベアか!?」
「とりあえず鳥と熊どっち!?」
「熊!」
私の質問にシェイリンが答える。
リノスはなにがなんだかわからない様子だったが、アラさんの指導を受けた私達には意味が通じているから安心して欲しい。
「リノス!雷魔法は出来る限り抑えて欲しい!
打つなら気絶するくらいの威力でお願い!」
「え?え、ええ…、わかりましたわ」
「シェイリンはアウルベアが逃げないように引き寄せつつ、リノスの魔法に備えて!」
「わかってる!」
シェイリンとチームを組むことは片手で数えるくらいしかないが、それでも同じ水属性でアラさんの元で共に習っていた。
だから他属性のクラスメイトよりは今私が何を目的にしているか、きっとわかっているだろう。
シェイリンがアウルベアに近づく中、私はアウルベアの全方向に防御魔法を展開させる。
勿論獲物であるシェイリンが目の前にいるのだから、前方向に向かってアウルベアは私が展開した防御魔法に攻撃し、防御魔法を破っていく。
パリンパリンといくつも掛けた防御魔法が破られていく中、私はリノスを振り返った。
「リノス!アウルベアの上から雷落とせる!?」
「はい!」
「じゃあ弱でお願いね!シェイリン!防御!」
私が展開させた防御魔法に鋭い爪を立てさせながら、なんとか破ろうともがくアウルベアにリノスが雷を落とす。
勿論私の声を合図にシェイリンが自身を覆うように防御魔法を展開させているから、シェイリンには被害はない。
アウルベアの体にはビリビリとした稲妻が纏い、少しだけ動きが止まったが、すぐに目を開き意識を取り戻した。
「さ、サラ!やはり威力が…!」
「大丈夫!シェイリン!首めがけて攻撃!」
「ああ!」
シェイリンは即座に氷の針を生み出しアウルベアへと放つタイミングで、私はシェイリンとアウルベアの間にある防御魔法を消した。
氷の針で首を釘刺しされたアウルベアはそのまま消える。
私とシェイリンはもう本命であるもう一匹の“動物”に向かって駆け出した。
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