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一年が経った。
私は学園を卒業し、新たな婚約者も出来た。
彼は私と一緒にいると心地よいと言ってくれ、この人となら人生を添い遂げられると思った。
マルネとロザーナ様は学園を退学処分となり、刑務所に入れられた。
二人とも反省している様子だったので刑は少しだけ軽くなるみたいだったが、出てくるのは何十年後らしい。
「シャルロット様。アデル様がみえました。応接間にてお待ち頂いております」
「ありがとう、すぐ行くわ」
部屋を出て、応接間に向かう。
お世辞にも足は軽いとは言えなかったが、それでも私は進まねばならない。
応接間に入ると、ソファーに座っていたアデルが立ち上がった。
「シャルロット……本当にすまなかった……」
「……アデル様。お座りください」
私が彼の正面に座ると、彼も腰を下ろす。
「ずっと君に謝りたかったんだ。僕は間違っていた。君の外見しか見ずに、内面を見ようとしなかった。結果、最低な言葉をたくさん言ってしまった」
アデル様は一年前の出来事を境に、皆から避けられるようになった。
特に女性は、『アデル様に近づくと階段から落とされる』と恐れおののき、誰一人彼に近づこうとはしなかった。
その波が男性にも渡り、アデル様は独りになった。
「……独りになってやっと分かったんだ。自分がどれだけ愚かな行為をしていたのかを……本当にすまない……」
アデル様は涙を浮かべていた。
それが彼の本心だと信じたいが、信じられない自分もいた。
「もういいんです」
私は静かに言った。
「人は過ちを繰り返す生き物ですから。誰だって失敗はあります。しかし失敗してからどうするか……それが大事なのではないでしょうか?」
アデル様は私の言葉の続きを待っていた。
私は考えるように少し待つと、口を開く。
「アデル様はこうして謝罪をしにきてくれました。だからこの話はもう終わりです。全て水に流しましょう」
「シャルロット……ありがとう……本当にありがとう……」
アデル様は何回も頭を下げて、どこか清々しい顔で帰っていった。
彼を玄関まで見送った後、私は自室に戻った。
窓を開けてみると、温かい風が部屋に流れ込む。
「きっと大丈夫」
雲一つない青空を見上げ、私は呟いた。
私は学園を卒業し、新たな婚約者も出来た。
彼は私と一緒にいると心地よいと言ってくれ、この人となら人生を添い遂げられると思った。
マルネとロザーナ様は学園を退学処分となり、刑務所に入れられた。
二人とも反省している様子だったので刑は少しだけ軽くなるみたいだったが、出てくるのは何十年後らしい。
「シャルロット様。アデル様がみえました。応接間にてお待ち頂いております」
「ありがとう、すぐ行くわ」
部屋を出て、応接間に向かう。
お世辞にも足は軽いとは言えなかったが、それでも私は進まねばならない。
応接間に入ると、ソファーに座っていたアデルが立ち上がった。
「シャルロット……本当にすまなかった……」
「……アデル様。お座りください」
私が彼の正面に座ると、彼も腰を下ろす。
「ずっと君に謝りたかったんだ。僕は間違っていた。君の外見しか見ずに、内面を見ようとしなかった。結果、最低な言葉をたくさん言ってしまった」
アデル様は一年前の出来事を境に、皆から避けられるようになった。
特に女性は、『アデル様に近づくと階段から落とされる』と恐れおののき、誰一人彼に近づこうとはしなかった。
その波が男性にも渡り、アデル様は独りになった。
「……独りになってやっと分かったんだ。自分がどれだけ愚かな行為をしていたのかを……本当にすまない……」
アデル様は涙を浮かべていた。
それが彼の本心だと信じたいが、信じられない自分もいた。
「もういいんです」
私は静かに言った。
「人は過ちを繰り返す生き物ですから。誰だって失敗はあります。しかし失敗してからどうするか……それが大事なのではないでしょうか?」
アデル様は私の言葉の続きを待っていた。
私は考えるように少し待つと、口を開く。
「アデル様はこうして謝罪をしにきてくれました。だからこの話はもう終わりです。全て水に流しましょう」
「シャルロット……ありがとう……本当にありがとう……」
アデル様は何回も頭を下げて、どこか清々しい顔で帰っていった。
彼を玄関まで見送った後、私は自室に戻った。
窓を開けてみると、温かい風が部屋に流れ込む。
「きっと大丈夫」
雲一つない青空を見上げ、私は呟いた。
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