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「えっと、どういうことですか?」
ユノ様も動揺しているようで、声が震えていました。
「ユノ。お前を試していたんだよ。昔からお前はどこか臆病な所があった。最終的には周りの意見に流され、楽な道を行く癖があった。だからこそアリスを婚約者に選んだ。犯罪者の孫だと知った時、お前がどうするのか見たかったのだ。次期国王の技量をな……」
国王様はそう言うと、少年のような無邪気な笑みを浮かべました。
緊張の糸が一気に途切れ、私はその場にしゃがみこみました。
ユノ様が「大丈夫かい?」と肩を持ってくれました。
「ははっ……申し訳ないことをしたな。謝るよ二人とも」
冗談っぽく笑う父親に、ユノ様は声を荒げます。
「全く……!これじゃあ父上の方が子供じゃないですか!」
しかしその顔はどこか嬉しそうです。
ユノ様が嬉しいと私も嬉しくなります。
「だが、お前が王位を捨てるとまで言うとは思わなかった。よほどアリスのことが気に入ったのだな」
「ま、まぁ……」
ユノ様が恥ずかしそうに目を遠くに向けました。
いつまでもしゃがんではいられません。
私はゆっくり立ち上がると、国王様に頭を下げました。
「私をユノ様の婚約者に選んでくれて、本当にありがとうございました!」
「ちょっと、アリス!?」
「ははっ……どうやらお前よりアリスの方が随分と大人じゃないか。さあユノ、お前も私にお礼の一つでも言ってみたらどうだ?二人を出会わせたのは私なのだぞ?」
いたずらっぽい笑顔を作る国王様に、ユノ様はやはり目をそらしながら言いました。
「た、助かりました……」
私と国王様は顔を見合わせて笑いました。
……その後、ユノ様が王位を捨てることはありませんでした。
国王様は初めから、犯罪者の孫である私を、ユノ様の婚約者の器であると認めてくれていたみたいです。
反逆する者がいたら黙らせてやるとまで言って頂きました。
ユノ様の秘書のドロシーさんですが、急にお仕事を辞めることになりました。
何でも新しい人生を歩みたいそうで、別れの挨拶をすることもなくあっさりと消えてしまいました。
ドロシーさんが抜けた穴には、私が入ることになりました。
これからはユノ様の秘書として、もっとお傍にいられることでしょう。
そして、私はこれからも努力を辞めません。
ユノ様に相応しい人だと皆から思われるように。
ユノ様にいつまでも愛していただけるように。
努力は得意中の得意なので!
(完)
ユノ様も動揺しているようで、声が震えていました。
「ユノ。お前を試していたんだよ。昔からお前はどこか臆病な所があった。最終的には周りの意見に流され、楽な道を行く癖があった。だからこそアリスを婚約者に選んだ。犯罪者の孫だと知った時、お前がどうするのか見たかったのだ。次期国王の技量をな……」
国王様はそう言うと、少年のような無邪気な笑みを浮かべました。
緊張の糸が一気に途切れ、私はその場にしゃがみこみました。
ユノ様が「大丈夫かい?」と肩を持ってくれました。
「ははっ……申し訳ないことをしたな。謝るよ二人とも」
冗談っぽく笑う父親に、ユノ様は声を荒げます。
「全く……!これじゃあ父上の方が子供じゃないですか!」
しかしその顔はどこか嬉しそうです。
ユノ様が嬉しいと私も嬉しくなります。
「だが、お前が王位を捨てるとまで言うとは思わなかった。よほどアリスのことが気に入ったのだな」
「ま、まぁ……」
ユノ様が恥ずかしそうに目を遠くに向けました。
いつまでもしゃがんではいられません。
私はゆっくり立ち上がると、国王様に頭を下げました。
「私をユノ様の婚約者に選んでくれて、本当にありがとうございました!」
「ちょっと、アリス!?」
「ははっ……どうやらお前よりアリスの方が随分と大人じゃないか。さあユノ、お前も私にお礼の一つでも言ってみたらどうだ?二人を出会わせたのは私なのだぞ?」
いたずらっぽい笑顔を作る国王様に、ユノ様はやはり目をそらしながら言いました。
「た、助かりました……」
私と国王様は顔を見合わせて笑いました。
……その後、ユノ様が王位を捨てることはありませんでした。
国王様は初めから、犯罪者の孫である私を、ユノ様の婚約者の器であると認めてくれていたみたいです。
反逆する者がいたら黙らせてやるとまで言って頂きました。
ユノ様の秘書のドロシーさんですが、急にお仕事を辞めることになりました。
何でも新しい人生を歩みたいそうで、別れの挨拶をすることもなくあっさりと消えてしまいました。
ドロシーさんが抜けた穴には、私が入ることになりました。
これからはユノ様の秘書として、もっとお傍にいられることでしょう。
そして、私はこれからも努力を辞めません。
ユノ様に相応しい人だと皆から思われるように。
ユノ様にいつまでも愛していただけるように。
努力は得意中の得意なので!
(完)
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