妖怪タクシー 料金割増で引導渡します。

早乙女かおる

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都市伝説

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 引導は昼の町で1人の女性を乗せた。赤いドレスの女性だ。

「引導さん、今回の男………美味しかったわ」
「それは良かった。友引(ともびき)さんも満足のいく旨さで」
「クズならクズな程良い。もっと卑劣な奴を食べさせて」
「いけませんよ。その分、相手が不幸になるんですから」
「貴方の料金は?」
「そうですね。彼女の黒い魂が弱った時に、ミミちゃんが取りましたから。もちろん、バレない様に」
「でも、命は取らない。暇人なの?都市伝説とかで引導さんが有名よ」
「どんな話ですか?」
「そうね~………」

 友引さんは周りが暗くなっていくのを見ながら微笑んだ。

「苦しみと引き替えに相手の望みを叶える、悪魔か天使か分からない、幸薄いオッサンって」

 引導はハンカチで涙を拭く。

「やっぱり、おっさんなんですね」
「若くもないだろ」

 ミミが助手席で背伸びをしていた。

「ほれ、早く食え」
「彼女の魂の闇ですね」
「そうじゃ。闇のリンゴじゃ」

 引導は受け取ると、いい音を出して食べた。

「うん、やっぱり旨い!」
「ほれ、引導。友引に聞かんのか?」
「そうでした。友引さん、何処までですか?」
「地獄の一丁目よ」
「分かりました。でも、その赤のドレスも似合いますね」
「本当は白だけどね。フフフッ」
「彼の血ですか?」
「食い散らかしたわよ。なんたって、お漏らしさんなんだから」

 友引はあくびをしたが、彼女の口はもう一つある。それが彼女の頭部にある口だ。でも、引導も驚かない。
 流石に同じ妖怪だからだ。

「それより、ミミちゃん」
「どうした、友引?」
「お土産にお菓子を貰って置いたわ」
「例の男のか?」
 
 ミミは後ろに振り返る。

「そうよ。どうせ、もう食べる事もないし、口もないでしょ?」
「食べるのだ」

 袋を渡す友引からミミは受け取ると、引導を指差した。

「稼ぎの少ないダメダメなオッサンとは違うな」
「酷いです!実家に帰ります!」
「主に実家などあるわけがないだろう。家族全員を殺されたのだからな。そして、ソイツを殺して、主は怪異になったのだからな」
「オッサンだけどね」
「友引さん、あの頃はまだ十代だったんです!」

 ミミと友引は笑っていた。

「もう、良いです!さあ、今夜もやりますよ、妖怪タクシーを」

 引導はハンドルを握り直す。

「出発進行!」

 引導は今夜も町を流す………まだ、世の中に人間がいる限り。
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