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アスタリア王国編
159 プリンの試食をします!
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エリーナが和風プリンを堪能した少し前のこと。ずらりと並んだ試食用のプリンを前にして、リズは「すごい」と呟いた。今日はエリーナに出すプリンの試食に呼ばれたのだ。
瞬く間に和風プリン計画が進み、カイルの奮闘のおかげで着々と食材が集まっていた。なんでもラルフレアの東には島国が集まっており、気候や風土が日本に近いらしい。交流は少なく、食材はあまり出回っていないが、詳しい商人に聞けばわりと伝わったらしい。
マルクは満足そうに微笑んで、リズに食べるよう勧めた。
「ひとまず、こっちの人でも食べやすそうなのを作ったから、意見を頼む」
「わかりました!」
リズは小豆色のプリンを手に取り、スプーンを持つ。
「それは小豆プリン。あんこを入れようかとも思ったんだけど、たぶん食感が好みじゃなくなりそうだったからさ」
「へ~。私、小豆プリンなんて日本でも食べたことないですね」
そう言いつつ一口食べれば、懐かしい小豆アイスの味だ。リズは驚き、目を輝かせてマルクを見る。
「すごい、おいしい。懐かしい」
すっごく硬かったアイスを思い出し、ついでにお汁粉も思い出した。この甘さは日本の甘さだ。ぷるぷるとしており、エリーナが好きな食感である。だが……
「ん~。でも、この色がこっちの人にはおいしそうに見えないかもですね。あと、甘さも足りないです」
リズは好きだが、たぶんエリーナのストライクゾーンからはズレている。変わり種として用意してもいいのだが、最初は受け入れやすいものにしたい。
「やっぱり? じゃぁ、黒ゴマプリンと黒豆プリンもアウトかな」
リズはテーブルの中で異彩を放っている黒いプリンに目を落とした。それが何か分かるリズにはおいしそうだが、こちらの人々には受け入れにくそうだ。
「おいしいんですけどね~。色と、このちょっと癖のある味が難しそうです」
リズは黒ゴマプリンを食べながら、おいしいと頷く。だがエリーナは……。それと同様に黒豆プリンもなかなか味が決まらず、お蔵入りとなった。
そして残るきな粉と抹茶を食べ、その再現率とおいしさに「おいしい!」を連発し、話し合った結果、エリーナに出すのはきな粉と抹茶プリンになった。抹茶プリンは色合いに衝撃を受けそうだが、クリスが気に入りそうだと踏んだのだ。
そして試食会が終われば、昼食の時間となったのでマルクはお弁当をリズの前に出した。プリンを食べた後なので、小さいお弁当箱だ。
「え、私の分もあるんですか!?」
「そう、今日のお礼」
籐で編まれた蓋を開けると、あまりの可愛さに目を疑った。作り手とお弁当箱を視線が二往復する。
「すごい……キャラ弁じゃないですか」
そこには有名なキャラクターが再現されていた。海苔の細工が細かく、もはや芸術品だ。マルクは気恥ずかしそうに笑い、頬をかく。
「入院中に色々見てたんだけど、作ったことはなくてさ。自分用には作りたくなかったから、ちょうどいいと思って」
「私キャラ弁なんて初めてで嬉しすぎます! いただきます!」
リズはお箸を取り上げ、久しぶりの感覚に感動する。意味なく箸先を開けては閉じを繰り返した。そして大好物の卵焼きを口に放り込む。じゅわっと染み出てきた出汁に、リズは笑いが押さえられず、うふふふと怪しく笑い、足をばたつかせた。
「おいしすぎる! 料亭の味! 料亭なんて行ったことないけど!」
「喜んでくれたならよかった」
向かいに座るマルクもお弁当を持っており、中身はキャラ弁ではないが同じものが詰まっていた。リズは顔を崩すのがもったいないと思いつつも、ご飯を食べ他のおかずに手を伸ばす。箸が止まらなかった。
「まさかこっちに来て、日本の料理を食べられるとは思いませんでした~」
「また食べたい料理があったら、言えよ。作ってやるからさ。商人から話を聞けば、しょうゆも味噌も似たのがあるみたいだし、和食の実現ができそうなんだ」
「え、本当ですか! じゃぁ、オムライスが食べたいです!」
「お前それ、洋食じゃん」
笑顔で好物をリクエストしたリズに、マルクは呆れてつっこみを入れる。日本でアレンジされたものだから、一応日本生まれの料理ではあるが。
「え~。だって、あんまり和食好きじゃなくて……。味が薄くて食べた気がしないというか。お寿司は好きだけど」
「よし、その喧嘩買った。板前として絶対和食をうまいって言わせてやる」
「あ、和風ハンバーグも食べたいです」
「絶対魚出す」
ムッとした表情のマルクを見て、リズはコロコロと笑う。テンポのよい会話が楽しくて、つい調子に乗ってしまった。マルクはリズより二つ上の二十歳で、いい先輩という感じだ。
「冗談ですって。嫌いなものはありませんから、何でも食べますよ」
「へぇ、それはいいな。何でも食うやつ好き」
マルクは二ッと笑って、唐揚げを食べた。いつもと同じ唐揚げだが、日本人と一緒に食べていると思うとさらにおいしく感じる。
リズはその言葉に嬉しそうに笑い、最後に残しておいた卵焼きをほおばった。大きめの卵焼きは出汁をたっぷり含んでいる。そのおいしさに自然と顔は綻び、笑みが零れる。
「ほんと、いい顔で食べてくれるな」
「だっておいしいんですもん」
「なら、いくらでも作ってやるよ」
「じゃぁ、オムライス!」
「まだ言うか」
ポンポンと言葉が飛び交う。不思議なほど気兼ねなく話ができていた。リズは「ごちそうさま」と手を合わせ、満足そうに息をつく。少し食べ過ぎた。
「お腹がいっぱいです」
そして、食材のついでに手に入った緑茶を飲んで、日本での家族や好きな食べ物について話せばお互い仕事の時間になる。
「じゃ、また試食会で」
「はい! 和風プリンでエリーナ様とクリス様を驚かせましょう!」
リズは笑顔で別れ、楽しさの余韻に浸りながら仕事場に向かう。エリーナはこれからクリスとお昼なので、その給仕に当たるのだ。少し速足で食事をする部屋に向かっていると、部屋から廊下を歩くクリスと出会った。
「あ、リズ。ちょうどよかった。試食会の次の日に休みが取れたから、午前中に僕の部屋に来てくれる? エリーナのことで訊きたいことがあって」
「あ、はい。かしこまりました」
リズはそう言えば前に言われていたと思い出し、頭に書き留める。そして裏口から部屋に入り、給仕をしている侍女たちの中に混ざるのであった。
瞬く間に和風プリン計画が進み、カイルの奮闘のおかげで着々と食材が集まっていた。なんでもラルフレアの東には島国が集まっており、気候や風土が日本に近いらしい。交流は少なく、食材はあまり出回っていないが、詳しい商人に聞けばわりと伝わったらしい。
マルクは満足そうに微笑んで、リズに食べるよう勧めた。
「ひとまず、こっちの人でも食べやすそうなのを作ったから、意見を頼む」
「わかりました!」
リズは小豆色のプリンを手に取り、スプーンを持つ。
「それは小豆プリン。あんこを入れようかとも思ったんだけど、たぶん食感が好みじゃなくなりそうだったからさ」
「へ~。私、小豆プリンなんて日本でも食べたことないですね」
そう言いつつ一口食べれば、懐かしい小豆アイスの味だ。リズは驚き、目を輝かせてマルクを見る。
「すごい、おいしい。懐かしい」
すっごく硬かったアイスを思い出し、ついでにお汁粉も思い出した。この甘さは日本の甘さだ。ぷるぷるとしており、エリーナが好きな食感である。だが……
「ん~。でも、この色がこっちの人にはおいしそうに見えないかもですね。あと、甘さも足りないです」
リズは好きだが、たぶんエリーナのストライクゾーンからはズレている。変わり種として用意してもいいのだが、最初は受け入れやすいものにしたい。
「やっぱり? じゃぁ、黒ゴマプリンと黒豆プリンもアウトかな」
リズはテーブルの中で異彩を放っている黒いプリンに目を落とした。それが何か分かるリズにはおいしそうだが、こちらの人々には受け入れにくそうだ。
「おいしいんですけどね~。色と、このちょっと癖のある味が難しそうです」
リズは黒ゴマプリンを食べながら、おいしいと頷く。だがエリーナは……。それと同様に黒豆プリンもなかなか味が決まらず、お蔵入りとなった。
そして残るきな粉と抹茶を食べ、その再現率とおいしさに「おいしい!」を連発し、話し合った結果、エリーナに出すのはきな粉と抹茶プリンになった。抹茶プリンは色合いに衝撃を受けそうだが、クリスが気に入りそうだと踏んだのだ。
そして試食会が終われば、昼食の時間となったのでマルクはお弁当をリズの前に出した。プリンを食べた後なので、小さいお弁当箱だ。
「え、私の分もあるんですか!?」
「そう、今日のお礼」
籐で編まれた蓋を開けると、あまりの可愛さに目を疑った。作り手とお弁当箱を視線が二往復する。
「すごい……キャラ弁じゃないですか」
そこには有名なキャラクターが再現されていた。海苔の細工が細かく、もはや芸術品だ。マルクは気恥ずかしそうに笑い、頬をかく。
「入院中に色々見てたんだけど、作ったことはなくてさ。自分用には作りたくなかったから、ちょうどいいと思って」
「私キャラ弁なんて初めてで嬉しすぎます! いただきます!」
リズはお箸を取り上げ、久しぶりの感覚に感動する。意味なく箸先を開けては閉じを繰り返した。そして大好物の卵焼きを口に放り込む。じゅわっと染み出てきた出汁に、リズは笑いが押さえられず、うふふふと怪しく笑い、足をばたつかせた。
「おいしすぎる! 料亭の味! 料亭なんて行ったことないけど!」
「喜んでくれたならよかった」
向かいに座るマルクもお弁当を持っており、中身はキャラ弁ではないが同じものが詰まっていた。リズは顔を崩すのがもったいないと思いつつも、ご飯を食べ他のおかずに手を伸ばす。箸が止まらなかった。
「まさかこっちに来て、日本の料理を食べられるとは思いませんでした~」
「また食べたい料理があったら、言えよ。作ってやるからさ。商人から話を聞けば、しょうゆも味噌も似たのがあるみたいだし、和食の実現ができそうなんだ」
「え、本当ですか! じゃぁ、オムライスが食べたいです!」
「お前それ、洋食じゃん」
笑顔で好物をリクエストしたリズに、マルクは呆れてつっこみを入れる。日本でアレンジされたものだから、一応日本生まれの料理ではあるが。
「え~。だって、あんまり和食好きじゃなくて……。味が薄くて食べた気がしないというか。お寿司は好きだけど」
「よし、その喧嘩買った。板前として絶対和食をうまいって言わせてやる」
「あ、和風ハンバーグも食べたいです」
「絶対魚出す」
ムッとした表情のマルクを見て、リズはコロコロと笑う。テンポのよい会話が楽しくて、つい調子に乗ってしまった。マルクはリズより二つ上の二十歳で、いい先輩という感じだ。
「冗談ですって。嫌いなものはありませんから、何でも食べますよ」
「へぇ、それはいいな。何でも食うやつ好き」
マルクは二ッと笑って、唐揚げを食べた。いつもと同じ唐揚げだが、日本人と一緒に食べていると思うとさらにおいしく感じる。
リズはその言葉に嬉しそうに笑い、最後に残しておいた卵焼きをほおばった。大きめの卵焼きは出汁をたっぷり含んでいる。そのおいしさに自然と顔は綻び、笑みが零れる。
「ほんと、いい顔で食べてくれるな」
「だっておいしいんですもん」
「なら、いくらでも作ってやるよ」
「じゃぁ、オムライス!」
「まだ言うか」
ポンポンと言葉が飛び交う。不思議なほど気兼ねなく話ができていた。リズは「ごちそうさま」と手を合わせ、満足そうに息をつく。少し食べ過ぎた。
「お腹がいっぱいです」
そして、食材のついでに手に入った緑茶を飲んで、日本での家族や好きな食べ物について話せばお互い仕事の時間になる。
「じゃ、また試食会で」
「はい! 和風プリンでエリーナ様とクリス様を驚かせましょう!」
リズは笑顔で別れ、楽しさの余韻に浸りながら仕事場に向かう。エリーナはこれからクリスとお昼なので、その給仕に当たるのだ。少し速足で食事をする部屋に向かっていると、部屋から廊下を歩くクリスと出会った。
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