めーぷる詰め合わせ<SS&短編集>

楓乃めーぷる

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☆旅行先の露天風呂付き客室

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 俺と先輩は、とある宿泊施設へ下見に来ていた。
 今度接待で外国からやってくるVIPをもてなすことになったのだが、彼らが日本の温泉に興味を持っているという話を聞き景色の良い温泉地でもてなそうということになったのだ。

 いくつか候補が上がったのだが、どうせなら現地で確かめてみるのがいいんじゃないかという話になり、先輩と何故か俺が下見役に選ばれてしまった。
 英語が堪能で、当日もVIPの通訳をすることが決まっている先輩は分かるけどなんで俺?
 上司に聞いたところ、何故か先輩が俺を指名したらしい。

「ここの展望風呂も景色が最高って聞いたけど、露天風呂付の客室が特におすすめらしい。誰の目も気にせずゆっくりと景色を楽しめるなんて贅沢だよね」
「そうですね。プライベートじゃ高くて泊まろうと思いませんよ」
「今回は経費だし、気にせず楽しもう。来てもらうのは大会社の役員だから、絶対に喜んでもらいたいみたいだし。いいところを伝えないといけないからある意味仕事だよ」

 先輩は楽しそうに笑っているが、実は俺が入社当時から先輩へ片想いしていることは知らないはず。
 先輩と一緒で嬉しい反面、ボロを出したりしないかと心臓はバクバクしっぱなしだ。
 
 この宿の部屋は全てスイートルームで、客数も限られた人数しか泊まれない。
 案内された部屋はモダンな雰囲気で、非日常的な感じがする。

「わ、露天の温泉ってすぐ見えるところにあるのか」
「絶景だね。これは喜ばれそうだ」

 室内の窓を開くとすぐに露天風呂があり、目の前に広がる景色が素晴らしい。
 日本一の山を見ながら風呂とか、最高過ぎる贅沢だ。
 先輩がお風呂にと思うと……下半身に熱が集まってくるのを感じ、慌てて妄想を振り払う。

「折角来たんだし、客室の露天風呂も入ってみようか」
「そうですね、まだ夕食まで時間の余裕もありますし。あ、先輩。先にどうぞ」

 スーツのジャケットを脱ぎながら先輩を見ると、先輩は笑顔で俺を見つめてくる。
 先輩は社内でもトップクラスの美形だから、近くで見ると余計に綺麗さが際立つ。
 俺は必死に気持ちを抑え込んで、ぎこちない笑顔を返す。

「あ、そうだ。折角旅先なんだし、いい機会だから裸の付き合いっていうの? してみようよ」
「え、それはどういう?」
「腹を割って話そう。という訳で、一緒に露天風呂へ入らない?」
「ええ!?」

 とんでもない話になってしまった。だけど、先輩の言うことには後輩として逆らえない。
 俺は頷くしかなかった。

 +++

 あまりに緊張したから、先に入ります! と宣言してシャワールームへ飛び込んだ。
 ここには内風呂とシャワーが備え付けられており、引き戸を開けると露天風呂へ出られる作りになっているみたいだ。
 露天風呂は開放的な空間になっているが、適度な目隠しもあるし他の部屋との距離も保たれているらしいので気にせず楽しめるらしい。

「どうすればいいんだ、俺……」

 落ち着こうと思って頭から水を被るとさすがに冷たすぎた。
 慌てて外へ飛び出て、露天風呂へ駆けこむ。

「あぁぁ……生き返るー……」

 眼前の景色と程よい温度の温泉を堪能していると、ガラリという音がした。
 どうやら先輩も来たらしい。俺は気づかないフリをしながら視線を必死に景色へと集中させる。

「やっぱり景色も最高だね。これなら喜んでもらえそうだ」
「そ、そうですね。あ、先輩。俺はやっぱりお先に……」

 言いかけたところで、有無を言わさず先輩が俺の隣へ入ってきた。
 二人分の体重で、ざあっとお湯が流れ出る。
 
「まだ入ったばっかりなのに?」
「や、ほら。ゆっくり入りたいですよ……ね?」

 先輩の方を見ずに必死で言い訳をしているのに、先輩はニコニコと笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
 ち、ちかい!

「照れてるの? 身体は大きいのに照れやさんとか、可愛すぎる」
「いやいや! 俺みたいなのはデカいだけで、可愛いの欠片もないですって!」

 意識しないようにしていたのに、白くて綺麗な先輩の肌まで見えてしまって頭がパニックになってきた。
 先輩はただの裸の付き合いだって言ってただけなのに、こんな過剰に反応する俺はおかしく見えるかもしれない。

「君って分かりやすい。だからこそ、興味を持ったんだけど……俺でここまで反応してくれるだなんて。嬉しいな」
「へ? わぁっ!」

 先輩は細い指で、何故か俺の半身を握りしめてきた。
 あろうことか、スッと指まで滑らせてきて……俺の顔は湯のせいで赤いのか、行為のせいで赤いのかもう分からない。

「ど、どこ触ってるんですかっ……うぅっ!」
「いつも熱い視線を投げかけてくれてたから、そんなに僕のこと好きなのかなと思って」
「え、え? あ、いや……ま、待ってくださいぃー」

 俺は情けない声をあげるくらいしかできない。
 先輩を突き飛ばすことなんてできないし、ほんのり赤く染まってきた肌を惜しみなく晒している先輩の色気にやられるばかりだ。

「先輩、のぼせちゃいますから……! そんなものから手を離してください」
「そっか、のぼせたら大変だからそこの縁に座って? 少し涼んでくれてる間に済ませちゃえばいいよね」
「済ませるって何を……せ、先輩! うわっ、あぁ……」

 先輩は信じられないくらいの力を発揮して、俺を湯舟から上がらせて湯舟の縁へ座らせると本格的に俺自身を刺激し始める。
 何故こんなことになったのか考える暇もなく、先輩の巧みなテクニックで俺はあっさりと果ててしまった。

 +++

「これが裸の付き合いですか? うぅ……」
「ちょっとからかうつもりだったんだけど、何だか楽しくなっちゃって。その、ごめんね。でも……」

 先輩が本気じゃないことくらい分かっているけど、情けなさと恥ずかしさで自然と両肩が落ちる。
 先輩はしょぼんとしている俺の頬に手を当てると、ふいうちのようにちゅっと唇を合わせてきた。
 
「僕、可愛い後輩君は好きだよ。だから、僕のこともっと好きになって?」
「それってどういう……」

 俺が意味も分からずにぽかんとしていると、もう一度優しくキスされる。
 先輩はクスクスと笑いながら、可愛いと俺へ向かって呟いた。
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