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※設定縛り<キス・ファンタジー・明るい性格・戦う男・甘々な世界>
しおりを挟む※若干ホラーな要素が含まれます。具体的描写は避けていますが苦手な方はご注意ください。
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僕は黒のレインコートを着込み、振り続いている雨の中を速足で歩いていた。
夕方の帰宅時間のせいか、すれ違う人たちもどこか急いでいるように見える。
僕にはどうしても確かめたいことがあった。
想い人である、彼の元へ急ぐ。
そろそろ彼の通っている予備校の授業が終わる時間だ。
どうか僕の勘違いであってほしい。
はやる気持ちを抑えて、目的地へ向かう。
僕の横を通り過ぎようとする女子高生の明るい声は、耳障りなくらいのかしましさだ。
彼女たちはお喋りしながら、楽しそうに歩いてくる。
「ねえ、また刺されたって。最近この事件ばっかり」
「やだぁー! しかも男の子だけって怖くない?」
「私たちは女だから大丈夫じゃない? ねえ、私欲しいものがあるんだけど」
携帯でニュースでも見ているのか、話している内容は物騒だ。
確かに最近騒がれている事件だけど、今の僕にとって重要なことではない。
きゃっきゃと騒ぎながら、彼女たちは僕の隣を通り過ぎていく。
漸く予備校のビルが見えてきた。
遠目に彼がビルから出てきたのが見えて駆け寄ろうと足を踏み出した瞬間、見たくなかった光景が目に飛び込んできた。
信じたくなかったけれど、僕の悪い予感は当たってしまった。
建物から出てきた彼は、別の男と一緒だ。
アイツは彼と同じ予備校に通ってる男で、いつもへらへらとしている。
なんで、軽薄そうなヤツに彼は笑顔を向けているんだろう?
心の奥がもやもやする。
僕は少し離れたところから、彼らの後を追うことにする。
二人は仲良く相合傘までして、途中まで一緒に帰るつもりなのだろう。
といっても、彼の家はこの先の公園の中を通った方が近いはずだ。
あともう少し我慢すれば、アイツは彼から離れていくに違いない。
我慢して五分ほど後を追い続けると、予想通り彼は一人になった。
傘を彼に押し付けると、邪魔者は笑顔で走り去っていく。
「良かった……これで彼に確かめることができる」
僕は安堵して、公園へ向かう彼の背中を追いかける。
大丈夫、彼は僕の思っている通りの優しい人だ。
「彼も分かってくれる。僕の気持ちを」
右手をレインコートのポケットに差し入れる。
中に忍ばせた冷たく固い感触の柄を握りしめながら、距離を縮めていく。
後、数歩で彼の背中へ追いつける。
日が沈みかけた公園には、僕と彼の二人きりだ。
驚かせないように、慎重に彼の背後に近づく。
あぁ、これで彼も僕のものだ。
「そうだよね、僕の大切な想い人」
明るく声をかけると、驚いた彼が振り返る。
僕は微笑んで、ポケットの中から引き抜いた右手を彼へ突き出した。
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