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自作品番外編
魔塔所属・魔法使いからの報告<風変わりな魔塔主と弟子>
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僕はこの魔塔所属の魔法使いになってからまだ日が浅い。
アレーシュ王国の魔塔と言えば、騎士団と共に主力でもある立派なおつとめ先だ。
魔塔に所属していると言えば、それは凄いと二つ返事で返ってくるところなので緊張しっぱなしだ。
魔法使いはどちらかと言えば個性的な人たちも多いが、基本的には親切だしいじめなど以ての外だという教えが浸透しているので、僕のような未熟者でもやっていける。
今日はまずは鍛錬から始まる日なので、みんなで訓練所へと足を運ぶ。
魔法使いたちが派遣される場合は大抵後方支援なので、後方から一斉に魔法を放てるように鍛錬をつむ。
始めは威力が不安定だったりするけれど、僕も少しずつ安定してきた。
それに今日は……僕の憧れの補佐官様であるレイヴン様が見にいらっしゃる日なので、何だかそわそわする。
「皆、揃っているな。おはよう。今日は風の弾丸で、あそこに見える木の板の胸元を号令で一斉に撃ち抜いてもらう」
鍛錬場に現れた補佐官様は今日も美しい。
補佐官様は男性なはずだけれど中性的な顔立ちをしてらっしゃるし、黒髪が理知的で似合ってらっしゃるのでつい見惚れてしまうのだ。
僕とそこまで変わらないご年齢だというのに、才能も見目も素晴らしい。
灰色のボサボサ髪の僕とは真逆の位置にいらっしゃるお方だ。
「……お前、補佐官様に見惚れすぎだから。魔塔主様に見つかったら……うぅ、考えるだけで恐ろしい……」
「そ、そんなに? 僕はまだお会いしたことはないんだけど……」
「あの方は口にするのも恐ろしい方だ。なんせ、この国で知らぬ者のいない方だからな。お前も気をつけた方がいいぞ」
「わ、分かった」
小声で同僚と会話を交わしていると、訓練が始まった。
補佐官様の号令で一列に並んだ魔法使いたちが同時に魔法を放つ。
僕も魔法自体は使用できるが、指定の場所にはなかなか当たらない。
「威力のことは考えずに、まずは狙った位置に近づけることから始めよう」
補佐官様が号令を別の者に任せて、僕たちのところへと歩み寄ってくる。
一人一人に丁寧に教えてくださるこの瞬間が一番緊張する。
「適度な緊張感は大事だ。ただ、身体が固まってしまうといざという時の対処が遅れてしまうから気をつけて。狙いは……そうだな、悪くない。角度は、このくらいだ」
僕の側にやってきた補佐官様が、手を取って教えてくださる。
心臓の音が聞こえてしまわないかと思うくらいにバクバクして、背中に変な汗が流れる。
僕の眼鏡が曇らないといいのだが、それくらいに緊張している。
「今はいいが、外に出た時に固まっていると命の危険もある。もう少し身体の力を抜いて」
「は、は……はいぃー」
俺から漏れた妙な返事に、補佐官様もクスリと笑う。
ポン、と優しく肩を叩かれ、頑張って? と優しく耳打ちされた。違う意味で倒れそうだ。
「お、お前なぁ……」
「そ、そんなこと言われても、無理だって!」
隣の同僚に笑われながら、訓練は続いていった。
本日訓練が終了する間際に、修練場にもう一人、人影が現れる。
その人物の威圧感は凄まじく、姿を認識した途端に何故か胸が違う意味で苦しくなる。
「な、な、なんで、いらっしゃったんだ……」
同僚も冷や汗をかいていることを鑑みるに、あの方こそが魔塔主のテオドール様だろう。
お噂は聞いていたが、遠目で見ても目立つ金髪にあの風格。
そして纏われている魔力の影響なのかどこか息苦しい気がする。
「……こちらにいらっしゃるのは珍しいですね」
「あぁ、補佐官殿に用があったんでな。よしよし。お前ら、これからも精進しろよ?」
ニッと我々に笑いかける様子でさえ、何故か食べられてしまいそうな気がする。
猛獣のような威圧感に耐えきれず、身体がプルプルと震えだす。
「はぁ……。もう少し魔力を抑えてくださらないと。皆が縮こまってしまうのですが」
「そうかぁ? ま、頑張れよ。」
補佐官様と魔塔主様が少し離れた位置で会話をしているのが見える。
お二人は師匠と弟子という関係性でもあり、補佐官様は皆が恐れる魔塔主様の唯一の弟子である。
お二人の連携は素晴らしく、あの魔塔主様についていけるのはこの世で補佐官様ただ一人だろう。
補佐官様のお陰で息が吸えるようになったので、今のうちに深呼吸しておく。
「良かった。今日の魔塔主様は機嫌が良さそうだ」
「機嫌が悪いとどうなるの?」
「考えたくもない。補佐官様とケンカでもした日には……訓練場なんて跡形もなく吹き飛ばされる」
「うぅ……恐ろしいお方なんだなぁ」
同僚の顔色が悪いし、それほどまでに恐ろしいお方なのだろう。
補佐官様とお話されている時は、表情が柔らかいように見えるのは気のせいだろうか。
「あ、あんまり見ない方がいいぞ。お二人の仲に入り込むだなんて、命が幾つ合っても全部消滅させられる」
「え、えぇ? それはどういう……」
「いいか、魔塔主様は補佐官様のことを大層可愛がってらっしゃる。故に補佐官様に色目なんぞ使おうものなら……」
「う……わ、わ、分かったから。気をつける」
僕も自然と補佐官様のお姿に目を奪われてしまうが、どうやらとても危険なことらしい。
心に留めておかないといけないなと改めて思う。
話が途切れると訓練終了が告げられて、補佐官様と魔塔主様も訓練場から出ていった。
僕の補佐官様への憧れも、胸の内へと留めておくのがいいのだと悟った。
アレーシュ王国の魔塔と言えば、騎士団と共に主力でもある立派なおつとめ先だ。
魔塔に所属していると言えば、それは凄いと二つ返事で返ってくるところなので緊張しっぱなしだ。
魔法使いはどちらかと言えば個性的な人たちも多いが、基本的には親切だしいじめなど以ての外だという教えが浸透しているので、僕のような未熟者でもやっていける。
今日はまずは鍛錬から始まる日なので、みんなで訓練所へと足を運ぶ。
魔法使いたちが派遣される場合は大抵後方支援なので、後方から一斉に魔法を放てるように鍛錬をつむ。
始めは威力が不安定だったりするけれど、僕も少しずつ安定してきた。
それに今日は……僕の憧れの補佐官様であるレイヴン様が見にいらっしゃる日なので、何だかそわそわする。
「皆、揃っているな。おはよう。今日は風の弾丸で、あそこに見える木の板の胸元を号令で一斉に撃ち抜いてもらう」
鍛錬場に現れた補佐官様は今日も美しい。
補佐官様は男性なはずだけれど中性的な顔立ちをしてらっしゃるし、黒髪が理知的で似合ってらっしゃるのでつい見惚れてしまうのだ。
僕とそこまで変わらないご年齢だというのに、才能も見目も素晴らしい。
灰色のボサボサ髪の僕とは真逆の位置にいらっしゃるお方だ。
「……お前、補佐官様に見惚れすぎだから。魔塔主様に見つかったら……うぅ、考えるだけで恐ろしい……」
「そ、そんなに? 僕はまだお会いしたことはないんだけど……」
「あの方は口にするのも恐ろしい方だ。なんせ、この国で知らぬ者のいない方だからな。お前も気をつけた方がいいぞ」
「わ、分かった」
小声で同僚と会話を交わしていると、訓練が始まった。
補佐官様の号令で一列に並んだ魔法使いたちが同時に魔法を放つ。
僕も魔法自体は使用できるが、指定の場所にはなかなか当たらない。
「威力のことは考えずに、まずは狙った位置に近づけることから始めよう」
補佐官様が号令を別の者に任せて、僕たちのところへと歩み寄ってくる。
一人一人に丁寧に教えてくださるこの瞬間が一番緊張する。
「適度な緊張感は大事だ。ただ、身体が固まってしまうといざという時の対処が遅れてしまうから気をつけて。狙いは……そうだな、悪くない。角度は、このくらいだ」
僕の側にやってきた補佐官様が、手を取って教えてくださる。
心臓の音が聞こえてしまわないかと思うくらいにバクバクして、背中に変な汗が流れる。
僕の眼鏡が曇らないといいのだが、それくらいに緊張している。
「今はいいが、外に出た時に固まっていると命の危険もある。もう少し身体の力を抜いて」
「は、は……はいぃー」
俺から漏れた妙な返事に、補佐官様もクスリと笑う。
ポン、と優しく肩を叩かれ、頑張って? と優しく耳打ちされた。違う意味で倒れそうだ。
「お、お前なぁ……」
「そ、そんなこと言われても、無理だって!」
隣の同僚に笑われながら、訓練は続いていった。
本日訓練が終了する間際に、修練場にもう一人、人影が現れる。
その人物の威圧感は凄まじく、姿を認識した途端に何故か胸が違う意味で苦しくなる。
「な、な、なんで、いらっしゃったんだ……」
同僚も冷や汗をかいていることを鑑みるに、あの方こそが魔塔主のテオドール様だろう。
お噂は聞いていたが、遠目で見ても目立つ金髪にあの風格。
そして纏われている魔力の影響なのかどこか息苦しい気がする。
「……こちらにいらっしゃるのは珍しいですね」
「あぁ、補佐官殿に用があったんでな。よしよし。お前ら、これからも精進しろよ?」
ニッと我々に笑いかける様子でさえ、何故か食べられてしまいそうな気がする。
猛獣のような威圧感に耐えきれず、身体がプルプルと震えだす。
「はぁ……。もう少し魔力を抑えてくださらないと。皆が縮こまってしまうのですが」
「そうかぁ? ま、頑張れよ。」
補佐官様と魔塔主様が少し離れた位置で会話をしているのが見える。
お二人は師匠と弟子という関係性でもあり、補佐官様は皆が恐れる魔塔主様の唯一の弟子である。
お二人の連携は素晴らしく、あの魔塔主様についていけるのはこの世で補佐官様ただ一人だろう。
補佐官様のお陰で息が吸えるようになったので、今のうちに深呼吸しておく。
「良かった。今日の魔塔主様は機嫌が良さそうだ」
「機嫌が悪いとどうなるの?」
「考えたくもない。補佐官様とケンカでもした日には……訓練場なんて跡形もなく吹き飛ばされる」
「うぅ……恐ろしいお方なんだなぁ」
同僚の顔色が悪いし、それほどまでに恐ろしいお方なのだろう。
補佐官様とお話されている時は、表情が柔らかいように見えるのは気のせいだろうか。
「あ、あんまり見ない方がいいぞ。お二人の仲に入り込むだなんて、命が幾つ合っても全部消滅させられる」
「え、えぇ? それはどういう……」
「いいか、魔塔主様は補佐官様のことを大層可愛がってらっしゃる。故に補佐官様に色目なんぞ使おうものなら……」
「う……わ、わ、分かったから。気をつける」
僕も自然と補佐官様のお姿に目を奪われてしまうが、どうやらとても危険なことらしい。
心に留めておかないといけないなと改めて思う。
話が途切れると訓練終了が告げられて、補佐官様と魔塔主様も訓練場から出ていった。
僕の補佐官様への憧れも、胸の内へと留めておくのがいいのだと悟った。
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