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2.解放戦線
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二人で雑談をしているうちに、署長室の前へ辿り着いた。
僕が軽くノックすると、中からどうぞと低い声が聞こえてくる。
「オカフュさんをお連れしました」
「わざわざすまないな。では、オカフュ君。よろしく頼むよ」
「はい、署長。よろしくお願いします」
僕は一礼をして、そのままお茶の準備をしようと給湯室へ向かう。
署長は濃いめの緑茶、オカフュさんは熱いお茶が得意じゃないので少し冷ましてから淹れる。
何度か淹れているうちに二人の好みを覚えてしまった。
「……という訳だ。君も忙しいとは思うが、頼めるか?」
「そうですね。絶対とお約束はできませんが、子どもたちの安全を守ることも仕事ですので」
「失礼します。お茶をお持ちしました」
話している二人の間の机の上に、好みのお茶を置いていく。
署長も話の切れ目だったためか、すぐにお茶に手を付けた。
「うむ。君のお茶はいつも好みピッタリだな。助かる」
「……本当に。トッカーブ君は気遣いもできて素晴らしいよ」
「いえ。お話の途中ですみませんでした。では、僕はこれで」
一礼して部屋を出て行こうとすると、オカフュさんの綺麗な瞳と目が合った。
その黒の瞳は何かを語ろうとしている気がしていたが、署長がすぐに続きの話を始めてしまったので真相を知ることはできなかった。
僕はそのまま静かに部屋を出ていく。
「……今日もオカフュさん、最高にカッコよかったなぁー」
僕も大勢の中の一人ではあるけれど、オカフュさん推しだ。
なんでもこなす彼は憧れだし、手の届かない存在だとしても大好きだという気持ちには変わりがない。
僕はこの少しのやり取りだけでも天にも昇る気持ちだった。
お尻の尻尾がむずむずと震えているのが分かる。
「お。お帰り。ご機嫌みたいだな」
「うん。おかげさまで。オカフュさんに褒められたよ。ありがとう、トパント」
「貸しだからな。今度笹ケーキでもおごってくれよ」
「了解」
耳をぴょこぴょこさせて笑いあいながら、僕らもいつもの業務へ戻る。
署長とオカフュさんは暫く話し込んでいたみたいだけど、何の話をしていたのかは結局分からなかった。
+++
数日後、事件が起こった。
最近噂されている、解放戦線の爆破事件らしい。
長い間守られてきた希少種獣人区画で、爆破事件なんて……物騒だよな。
というか、僕が警察官になってからは初めてな気がする。
解放戦線は希少種たちの自由と開放を宣言している団体で、閉鎖されている区画を開放し外への行き来を自由にしろと訴えている団体だった。
最初は街頭演説程度だったので見逃されていたのだけど、最近は区画を仕切るゲートを破壊するといった過激なことも行うようになっているせいか警察の動きも活発化していた。
でも、まさか爆破なんて……過激すぎるよな。
「またか……僕たちはのんびり暮らせればそれでいいのに。どうしてだろう?」
「世の中には色々と考えるヤツがいるんだよ。でも、オレたちだって一度も区画の外へ行ったことはないじゃないか」
「まあね。だって。それが当たり前だと思って生きてきたから」
広報課でも危険な場所へ近づかないようにと、学校や幼稚園を回って紙芝居や演劇で何度も伝えてきた。
最近はその依頼も多くて、大きい学校にはオカフュさんと一緒に出向いて特に力を入れて広報活動をしていたのだ。
「でも、オカフュさんが参加してくれると子どもたちも良く話を聞いてくれるから助かるよ」
「さすがオカフュさんだよ。刑事課の仕事も今は特に忙しいのに……優しいよね」
僕たちはオカフュさんの活躍を応援することくらいしかできないけど、応援も推し活の一種だと信じて毎日オカフュさんのポスターへ向かって無事を祈っていた。
そして、また数日後。オカフュさんがついにリーダーを見つけたという話が舞い込んできた。
僕が軽くノックすると、中からどうぞと低い声が聞こえてくる。
「オカフュさんをお連れしました」
「わざわざすまないな。では、オカフュ君。よろしく頼むよ」
「はい、署長。よろしくお願いします」
僕は一礼をして、そのままお茶の準備をしようと給湯室へ向かう。
署長は濃いめの緑茶、オカフュさんは熱いお茶が得意じゃないので少し冷ましてから淹れる。
何度か淹れているうちに二人の好みを覚えてしまった。
「……という訳だ。君も忙しいとは思うが、頼めるか?」
「そうですね。絶対とお約束はできませんが、子どもたちの安全を守ることも仕事ですので」
「失礼します。お茶をお持ちしました」
話している二人の間の机の上に、好みのお茶を置いていく。
署長も話の切れ目だったためか、すぐにお茶に手を付けた。
「うむ。君のお茶はいつも好みピッタリだな。助かる」
「……本当に。トッカーブ君は気遣いもできて素晴らしいよ」
「いえ。お話の途中ですみませんでした。では、僕はこれで」
一礼して部屋を出て行こうとすると、オカフュさんの綺麗な瞳と目が合った。
その黒の瞳は何かを語ろうとしている気がしていたが、署長がすぐに続きの話を始めてしまったので真相を知ることはできなかった。
僕はそのまま静かに部屋を出ていく。
「……今日もオカフュさん、最高にカッコよかったなぁー」
僕も大勢の中の一人ではあるけれど、オカフュさん推しだ。
なんでもこなす彼は憧れだし、手の届かない存在だとしても大好きだという気持ちには変わりがない。
僕はこの少しのやり取りだけでも天にも昇る気持ちだった。
お尻の尻尾がむずむずと震えているのが分かる。
「お。お帰り。ご機嫌みたいだな」
「うん。おかげさまで。オカフュさんに褒められたよ。ありがとう、トパント」
「貸しだからな。今度笹ケーキでもおごってくれよ」
「了解」
耳をぴょこぴょこさせて笑いあいながら、僕らもいつもの業務へ戻る。
署長とオカフュさんは暫く話し込んでいたみたいだけど、何の話をしていたのかは結局分からなかった。
+++
数日後、事件が起こった。
最近噂されている、解放戦線の爆破事件らしい。
長い間守られてきた希少種獣人区画で、爆破事件なんて……物騒だよな。
というか、僕が警察官になってからは初めてな気がする。
解放戦線は希少種たちの自由と開放を宣言している団体で、閉鎖されている区画を開放し外への行き来を自由にしろと訴えている団体だった。
最初は街頭演説程度だったので見逃されていたのだけど、最近は区画を仕切るゲートを破壊するといった過激なことも行うようになっているせいか警察の動きも活発化していた。
でも、まさか爆破なんて……過激すぎるよな。
「またか……僕たちはのんびり暮らせればそれでいいのに。どうしてだろう?」
「世の中には色々と考えるヤツがいるんだよ。でも、オレたちだって一度も区画の外へ行ったことはないじゃないか」
「まあね。だって。それが当たり前だと思って生きてきたから」
広報課でも危険な場所へ近づかないようにと、学校や幼稚園を回って紙芝居や演劇で何度も伝えてきた。
最近はその依頼も多くて、大きい学校にはオカフュさんと一緒に出向いて特に力を入れて広報活動をしていたのだ。
「でも、オカフュさんが参加してくれると子どもたちも良く話を聞いてくれるから助かるよ」
「さすがオカフュさんだよ。刑事課の仕事も今は特に忙しいのに……優しいよね」
僕たちはオカフュさんの活躍を応援することくらいしかできないけど、応援も推し活の一種だと信じて毎日オカフュさんのポスターへ向かって無事を祈っていた。
そして、また数日後。オカフュさんがついにリーダーを見つけたという話が舞い込んできた。
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