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8.大切な話
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僕はなるべくいつも通りの顔をして業務を終えると、真っ先に自宅へ戻った。
一応夕飯を二人分買ってしまう辺り、警戒心がないんだろうけど……これからする話を思うと気が重かった。
彼が本当に解放戦線のリーダーなら、僕の家を占拠して仲間を呼んでいてもおかしくない。
だけど……何故かそんな気はしなかった。
緊張しながら家のドアを開けると、家の中は静かだった。
「ただいま。ビントリス、いる?」
「……ん? ああ、おかえり。おかげさまでゆっくりさせてもらってた。置いて行ってくれた水とご飯、ありがとな。美味しくいただいた」
朝、水とおにぎりとパンを置いていったんだけど……綺麗に平らげたみたいだ。
人懐っこく笑う顔を見ていると、とてもじゃないけど解放戦線のリーダーには見えない。
でも……彼は警察官の僕から見たら、犯罪者になってしまうのだろう。
「あのね、夕飯を買ってきたんだ。一緒に食べよう。食べたら……話があるんだ」
「おう、悪いな。話か、一体どんな話なんだ? って。真面目な話みたいだな。分かった。夕飯を食べている間は……普通に話してもいいか?」
「……うん」
ビントリスは僕の雰囲気を察したらしい。本当に人を見る目があるんだな。
苦笑しながら、買ってきた弁当を広げてキッチンで向かい合って座る。
食べている間は好きなものとか嫌いなものとか、たわいのない話をしていたけど……僕は思い切って本題に入ることにした。
「昨日黙っていたんだけど……僕の職業はね、警察官なんだ。広報課だけど……希少種獣人区画警察署で勤務してる」
「警察官……なるほどな。だから、ふわふわしてるがしっかりしている部分もあったんだな。その顔じゃ……俺のことも知ったってことだ。こっちこそ……隠していて悪かった」
「ううん。ビントリスは僕に構うなと言ったのに、余計なことをしたのは僕だから。ビントリスは悪くないよ。その、やっていることは……」
「ああ。犯罪になっちまったな。信じてもらえないだろうが、あの爆破は組織に入ったばかりの若造が突っ走ってな。だが、止められなかった俺のせいだ」
ビントリスの話を聞いて、腑に落ちた。ビントリスは僕の知らない怖い部分もあるだろうけど、自らの思想を危険行為で注目させて見せびらかすようなことはしない気がする。
でも、彼は組織のリーダーだ。オカフュさんに撃たれたということは、警察に疑われるような危険な行為をしたってこと?
「俺は仲間たちを少しでも逃がしたくて、俺がやってやったと叫んだ。そうしたら、オカピ獣人に撃たれちまってこのザマだ。逃げ足には自信があったんだがな」
「危険な行為を見過ごすわけにはいかないし、解放戦線は元々警察がマークしていたんだ。どうして爆破なんて無茶なことを……」
僕が言うと、ビントリスもそうだなと悲しそうな顔をした。やっぱり、ビントリスはそこまで攻撃的なことはしたくなかったんだろう。
「解放戦線なんて名乗っちゃいるが、元々は親なしの悪ガキ共が集まって外の世界を見てみたいってところから始まったんだ。それが、少しずつ人が集まってきてな。最近はダチの一人と揉めてたんだ」
「揉めてた?」
「ああ。俺たちの訴えなんて誰も聞いちゃいない。もっと積極的な行動に移さないと世間は動かせないって言われてな。俺はそんな大層なことを望んじゃいなかったってのに」
ビントリスの寂しそうな表情がとても気になった。やっぱり、彼は主犯じゃなかったんだ。
外の世界を見たいという純粋な想いが、いつの間にか世間に知らしめようと言う傲慢《ごうまん》な考えにすり替わってしまったんだな。
「ビントリス……」
「今日まで世話になったら、消えるつもりだった。ただ……お前のことが好きになっちまったから、俺と一緒に来ないかと誘うつもりだった」
「誘うって……」
僕は彼の蜂蜜色の瞳のゆらぎに魅入ってしまう。
戸惑いながら、僕を見つめる視線。
その視線は純粋な少年のようにも感じられて、とても魅力的だった。
一応夕飯を二人分買ってしまう辺り、警戒心がないんだろうけど……これからする話を思うと気が重かった。
彼が本当に解放戦線のリーダーなら、僕の家を占拠して仲間を呼んでいてもおかしくない。
だけど……何故かそんな気はしなかった。
緊張しながら家のドアを開けると、家の中は静かだった。
「ただいま。ビントリス、いる?」
「……ん? ああ、おかえり。おかげさまでゆっくりさせてもらってた。置いて行ってくれた水とご飯、ありがとな。美味しくいただいた」
朝、水とおにぎりとパンを置いていったんだけど……綺麗に平らげたみたいだ。
人懐っこく笑う顔を見ていると、とてもじゃないけど解放戦線のリーダーには見えない。
でも……彼は警察官の僕から見たら、犯罪者になってしまうのだろう。
「あのね、夕飯を買ってきたんだ。一緒に食べよう。食べたら……話があるんだ」
「おう、悪いな。話か、一体どんな話なんだ? って。真面目な話みたいだな。分かった。夕飯を食べている間は……普通に話してもいいか?」
「……うん」
ビントリスは僕の雰囲気を察したらしい。本当に人を見る目があるんだな。
苦笑しながら、買ってきた弁当を広げてキッチンで向かい合って座る。
食べている間は好きなものとか嫌いなものとか、たわいのない話をしていたけど……僕は思い切って本題に入ることにした。
「昨日黙っていたんだけど……僕の職業はね、警察官なんだ。広報課だけど……希少種獣人区画警察署で勤務してる」
「警察官……なるほどな。だから、ふわふわしてるがしっかりしている部分もあったんだな。その顔じゃ……俺のことも知ったってことだ。こっちこそ……隠していて悪かった」
「ううん。ビントリスは僕に構うなと言ったのに、余計なことをしたのは僕だから。ビントリスは悪くないよ。その、やっていることは……」
「ああ。犯罪になっちまったな。信じてもらえないだろうが、あの爆破は組織に入ったばかりの若造が突っ走ってな。だが、止められなかった俺のせいだ」
ビントリスの話を聞いて、腑に落ちた。ビントリスは僕の知らない怖い部分もあるだろうけど、自らの思想を危険行為で注目させて見せびらかすようなことはしない気がする。
でも、彼は組織のリーダーだ。オカフュさんに撃たれたということは、警察に疑われるような危険な行為をしたってこと?
「俺は仲間たちを少しでも逃がしたくて、俺がやってやったと叫んだ。そうしたら、オカピ獣人に撃たれちまってこのザマだ。逃げ足には自信があったんだがな」
「危険な行為を見過ごすわけにはいかないし、解放戦線は元々警察がマークしていたんだ。どうして爆破なんて無茶なことを……」
僕が言うと、ビントリスもそうだなと悲しそうな顔をした。やっぱり、ビントリスはそこまで攻撃的なことはしたくなかったんだろう。
「解放戦線なんて名乗っちゃいるが、元々は親なしの悪ガキ共が集まって外の世界を見てみたいってところから始まったんだ。それが、少しずつ人が集まってきてな。最近はダチの一人と揉めてたんだ」
「揉めてた?」
「ああ。俺たちの訴えなんて誰も聞いちゃいない。もっと積極的な行動に移さないと世間は動かせないって言われてな。俺はそんな大層なことを望んじゃいなかったってのに」
ビントリスの寂しそうな表情がとても気になった。やっぱり、彼は主犯じゃなかったんだ。
外の世界を見たいという純粋な想いが、いつの間にか世間に知らしめようと言う傲慢《ごうまん》な考えにすり替わってしまったんだな。
「ビントリス……」
「今日まで世話になったら、消えるつもりだった。ただ……お前のことが好きになっちまったから、俺と一緒に来ないかと誘うつもりだった」
「誘うって……」
僕は彼の蜂蜜色の瞳のゆらぎに魅入ってしまう。
戸惑いながら、僕を見つめる視線。
その視線は純粋な少年のようにも感じられて、とても魅力的だった。
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