いきなり告白ラッシュ! 僕は自分の手で幸せを掴み取ります!

楓乃めーぷる

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9.一触即発

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 彼は全ての感情をごまかすようにニッと笑う。
 
「なあ、トッカーブ。一緒に外の世界へ行ってみないか? 外には危険もあるだろうが、この狭い世界じゃ体験できないことがたくさんある。そう、言いたかったのにな」
「ビントリス……」
「いや、やめよう。お前が警察官で良かったよ。ありがとな、助けてくれて。俺、自首する。だから、警察署へ着いてきてほしい。仲間たちには悪いが、暴走したヤツらを放っておけない。法の裁きを受けるべきだ」
「ビントリスはそれでいいの? 確かに君は解放戦線のリーダーだけど、実際行動を起こしたのは友達なんでしょう?」

 僕が言うと、わしゃわしゃと頭を撫でられた。眼鏡もズレちゃうし、ちょっと文句を言おうとして上を向く。
 だけど、向けられている視線はとても穏やかだった。

「だからだ。元々不始末が起きたら俺が全部被るつもりだった。これで、生きている間はこの区画から出ることはかなわなくなっちまったが……最後にトッカーブに会えてよかった」
「でも、罪をつぐなえば……いや、そうだよね。今の法律じゃ、君は一生見張られる」

 一度犯罪を犯したものは、チップを埋め込まれて常に場所を把握される。
 罪をつぐなったとしても、自由はない。

「そうと決めたらさっさと行こうぜ。このままだとトッカーブが俺をかくまった罪に問われちまう」
「……分かった。じゃあ、行こうか」

 僕たちは夕食の片付けをして、一緒に警察署へ向かうことにした。
 彼は顔を隠しもせず、堂々と隣を歩いて僕の隣を歩く。

「なんだか、隣同士を歩いていると恋人っぽいよな」
「何、言ってるの。今から向かうところは……って。そうだよね。今だけでも……」
「そんなに真面目に考えるなよ。いい夢を見させてもらった。それで十分だ」

 ビントリスは楽しそうに笑いかけてくる。これから警察で自首する人には全く見えないくらい、吹っ切れた表情だった。
 一歩一歩、警察署へ近づくと僕の足取りも重くなってくる。
 つい、口数も減ってきてしまって何を話していいか分からない。
 それでも、ビントリスはずっと楽しそうに僕を見ていた。でも……見られているのは不思議と嫌じゃなかった。

「お、警察署が見えてきたな。じゃあ、そろそろお別れだな」
「そうだね。もう、一人で大丈夫?」
「あのなあ、子どもじゃないんだから一人で……」

 僕たちが警察署の近くで話していると、背後から足音が聞こえてきた。
 そして、声がかかる。

「もしかして、トッカーブ君……? と、お前はまさか……」

 振り返るとオカフュさんがいた。
 この時間まで捜索していたんだろう。僕の隣に立っているビントリスに気付いてしまったみたいだ。
 すると、ビントリスが僕を急に引き寄せて喉元をグッと腕で押さえつけてきた。

「ふうん。バレちまったか。あの時はどうも」
「お前、ビントリス! クソ、トッカーブ君を離せ!」
「あぁ……そういうことか。お前に告白したのはアイツだな」

 後半は僕にだけ聞こえるようにビントリスが囁いてくる。
 僕は無言で頷く。喉を締めているように見えるけど、実際は抱きしめられているだけで痛くない。
 だけど、オカフュさんは危害を加えていると判断してさっと銃を引き抜いた。

「オカフュさん!」
「大丈夫だ、こう見えても射撃の腕に自信はある。決して君に当てたりしない。さあ、大人しく離せ!」
「嫌だね。お前を見てたらちょっと対抗したくなってきた」

 ビントリスは悪戯っぽく笑ったかと思うと、グイっと僕の顎を上向かせて無理やり唇を奪ってきた。
 でも、キスの瞬間。ごめんなという優しい声が聞こえてきて余計に恥ずかしくなってしまう。
 この状況なのに、僕は何をときめいているんだ!

「なっ……!」
「残念だったな。この獣人君を見たときに惚れちまってな」
「なんてヤツ……ボクのトッカーブ君の唇を奪うなどと……」

 オカフュさんが怒りに満ち溢れているのが分かる。
 そして彼が引き金を引こうとした瞬間、先に僕の身体が動いた。
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