彼の素顔は誰も知らない

めーぷる

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第三章 ギルド長からのご指名

20.同意はないけれど※

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 完全に受け身なリューは僕の好みかと思っていたけれど、そうでもないらしい。
 見ている分には愉しいのだが、空っぽの状態では征服感もないしやはりつまらない気がする。

 それでも普段見せない表情で存分に感じるリューは、見ていてそそるものがあるのだけれど。

「…ぁ……」
「そんな名残惜しそうな声を出すなって。指でも反応は良かったけど、僕のことも受け入れてくれる?」

 指を優しく引き抜いてから、身体を支えてリューをゆっくりと寝かせる。
 相変わらず濁ったままの瞳は僕を見ていない。

 諦めて額に唇をそっと落としてから、僕も自身を取り出してリューの後孔へとあてがう。

「準備はいい? じゃあ、最初はゆっくり挿れていくから」

 リューの両足を持ち上げ、腰をゆっくりと進めていく。
 ツプ、と先が埋まると、リューは無意識で驚いて逃げようとする。

「痛くしないようにするから……逃げないで。お前ならできる」
「ぁ、ぁ……」

 熱く吐息を逃すリューは、僕の言葉が聞こえたのか抵抗をやめて大人しくなる。
 その隙に僕は中への侵入を試みる。

 だが、すぐに内壁が僕を捕まえて力を込めてくるので、途端に動きずらくなる。

「っくぅ……リュー、力入れすぎ。逃したくないのは分かるけど、動けないから力抜いて。いい? ゆっくり息を吐き出して、深呼吸」
「……ふ…ぅ…」

 指示に従って息を吐き出したので、締め付けが緩くなる。
 僕も息を逃してリューの中へとより深く、差し込んでいく。

「……ぅ、ぁ……アァ……」
「せま……やっぱ、初めて? まぁ、これは緊急処置っていうことで。次はリューの心ごと、気持ちよくしてあげるから」

 丁寧に進んでいき、僕も漸く全てをリューの中に沈めることができる。
 本当はこの熱さに任せて思い切り突いてしまいたいけれど、今のリューに対してするのは何だか気が咎めた。

「おかしいな……いつもの僕だったら、問答無用で僕を求めてもらうように仕向けてる。それなのに、何か遠慮してる感じ。リューって反応が薄いと思ってたけど、アレはアレで反応なんだな。それに比べて……今のお前は人形みたいだ」

 髪を整えるために顔に触れるだけで、真っ赤な顔で擽ったそうに顔を背ける。
 拒否をされているみたいで切なくなって、両頬を手で包んで無理矢理に僕の方へと向かせた。
 熱に浮かされた瞳は潤んだままで、時折ツゥっと涙を落とす。

 埋めたままで動かない僕に焦れているのか、リューの身体は素直に物欲しがって、僕の腹にグイと自身を擦り付けてくる。

「動いてあげるけど、せめて僕の名前を呼んでくれない? それとも……そんな意識さえなくしてるのか?」
「……ぁ…」
「……うん」
「……ア…アルヴァー、ノ……」

 途切れ途切れだが、僕の声が耳に届いたのか。微かな声で僕の名を呼ぶ。

「あはは。名前、言いにくいか? アリィでも、ルヴァーでも。好きに呼んで? リューだって、リューライトだしね」

 こんな状況なのに少し笑ってしまう。でも、リューは相変わらず苦しそうなままだ。
 やっぱり早く開放させてあげたほうが良さそうだと判断して、僕は注挿を再開させた。
 まずはゆっくりと探るように、トン、トン、と軽く叩いてみる。

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