彼の素顔は誰も知らない

めーぷる

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第六章 二人の距離感

46.のるかそるかの攻防※

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 僕とリューは身体を起こして向かい合う。
 ベッドの上で怪訝そうな表情をしているリューに対して、掻い摘んで説明を始める。

「自分たちを刺激し合って、先に出した方が言いたくないことを一つ話すことにしようか。僕はリューが昨日うなされていた訳を知りたい」
「俺は……」
「リューは別に聞きたいことなんてないって言うつもりだろう? 僕が負けたら、興味がないだろうが僕がなぜおかしかったのか、それを話す」
「本当にやるつもりか?」

 未だやる気を見せないリューの下半身に手を伸ばし、やる気を見せつけるようにリュー自身を取り出してしまう。
 その様子を抑え込む訳でもなく僕に触ることを許した時点でリューがノッてくれることは分かっていたので、ニッコリと笑いかけた。

「……」

 納得しない表情のまま、リューは言う事を聞いて僕の下半身に手を伸ばして、仕方なくという空気のまま僕を握り込んだ。

「フフ……準備は良さそうだね。じゃあ、行きますか。あ、出させる方法は何をしてもいいけど、挿入るのはナシ。キスは最初だけしますか」

 リューは何も言わないが、目線で早くしろと急かすのが分かった。

 僕はリューへと更に近づいて、唇を合わせる。
 まずは何度か軽く触れさせながら、優しくリュー自身を撫であげる。

「……っ」

 リューが眉と僅かな声だけで反応する。
 朝なこともあってお互いに準備は整っているようなものだ。

 リューの気配が変わり、濡れてきた唇を少し浮かせると舌で突いてきた。

 (早く終わらせたいのか、攻めてくるな。ここは受けてたちますか)

 僕は自然と微笑んで、まずは受けて立つ。
 少し唇を開くとリューの舌が僕の口内に侵入してきて僕の舌の表面を擽った。

「……ふ、……」
「……ぅ、…ック」

 舌の動きに夢中になっているリューを後目に、僕は握り込んだリューの鈴口を親指で擽る。
 触れた指に粘着質な液が糸を引く。
 そのまま何度も擦ると、じわじわと溢れてくる。

 リューも負けじと大胆に舌を合わせて、僕自身を上下して擦ってくる。

「ぁっ、……んん、っふあ」
「っ、……う、……」

 必死に声を殺している様子が分かり、楽しくなってきてしまう。
 最早、勝ち負けよりも勝負のことしか考えずに必死になっているリューを目で追ってしまう。

 グリ、と強めに擦ると、リューが苦しそうな息を逃す。
 リューも同じように僕のことを擦るので、僕も思わず声が漏れる。

「んぁっ、ぁ……ふ、っ、……ふふ」
「な……にを、わら……っ、ぅ……」

 二チュ、という粘着質な音と、クチュ、という水音が、ごちゃ混ぜになって耳も侵してくる。
 ついウットリとしてしまって、熱い吐息が漏れ出した。

「って……リューってば…ぁ、あぁ……んなに、必死になって……ァン」
「……さっさと……ぅぁっ!」

 指を輪の形にして、グリグリと擦り上げるとリューから堪らずに声が漏れた。

 経験の差から言っても、リューが不利なことは分かっていただろうに。
 耐えるだけ耐えているところがリューらしい。

 (残念だけど、この勝負なら負けることなんて……)

 緩急を付けて動かすと、リューの手の動きが止まってくる。
 僕の与える刺激に耐えられなくなってきて、手に力が入らなくなってきているようだ。
 それでも必死に堪えているリューが唇を噛みそうになるので、少しだけ動きを緩めてまたキスをする。

「……ぅ、あ、……っふ、ぅ……」
「……イイ、声……」

 口端を丁寧に舐めあげて、また動きを早めるとリューは必死に入らない力をこめて僕の昂りを握り込む。
 ただ、すがるように握り込んでいるだけで自分が先に出しそうなのを耐えているようだ。

「フフ……動き、止まってる」
「……の、……っ、……」

 限界が近くなってきたらしく、必死になってシーツを掴んでいる姿が愉しくて堪らない。
 僕は左手を頬に添えて、ゆるりと撫でる。

 右手の動きは止めずに、耳元で囁いた。

「リュー……堪らないだろう? 僕も、リューが触れなくても本当は……」
「……ぅあ、……ック――」

 とうとう堪えきれなくなったリューが自分の口に手の甲を当てると、吐息と共に先に果てた。
 ドクドクと白濁を零して、僕の手を汚していく。
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