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第三章 再確認する魔塔主と距離が近づく弟子
76.甘いティータイム
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準備が整うと、レイヴンも席に着く。
「いただきます」
丁寧に手を合わせてから、嬉しそうにマカロンを摘んで口へと運ぶ。
その仕草を見ているだけで腹いっぱいになりそうなんだが、そのマカロンってヤツは食べたことねぇな。
俺も試しに食べてみるが、固いんだか柔いんだかはっきりしねぇな。
味は悪くないが、進んで食べるかって言われると微妙だ。
「苺が爽やかに広がって……甘酸っぱさがちょうどいいですね。食べたことあります? マカロン」
「いや、名前も初めて聞いたわ。味は言われりゃ分かるが、このよく分からねぇ歯応えがなー」
「カッチコチのマカロンなんて、ありえませんよ。まぁ、師匠に繊細なスイーツのことは分かりませんよね」
「お前が酒の味が分かんねぇのと一緒だな」
ですよね、と気にした風もなくレイヴンもカップを傾ける。
お上品すぎるってヤツなのか?
まぁ、折角だから食べてるんだが、何個食べても良さがイマイチ分かんねぇ。
まだシュークリームの方がイケそうだな。
また甘そうな気もするが、今日は付き合うって決めたしな。
手に取って思い切って齧る。
「……思ってたより甘くねぇな。チョコレートの割には」
「ダークですか? ……って、師匠。食べ方雑すぎません?」
あぁ、何か大口開けて食べたから適当だったな。
レイヴンがここだと指差すのは良いんだが、どっちなのか分かりづらい。
拭くものも見当たらねぇなと思っていたら、レイヴンの細い指が俺の唇の横に触れてクリームを掬いあげる。
ついでに指についたクリームをペロリと舐めた。
「……あー、確かに甘いもの苦手な人でも食べやすそう」
「……お前もシュークリーム食べてみたら?」
ただ単に味見しただけなんだろうが、自然にやられるのはいいもんだな。
仕草が色っぽく見えるじゃねぇか。
自然とニヤつくのが分かる。
俺がこういう顔をするとすぐレイヴンが警戒するが、シュークリームにも手を伸ばす。
こりゃあ、俺ものっかっていくか。
レイヴンがシュークリームを口に運んだ時に合わせて手を出してシュークリームを口に押し付けた。
「むぐぅ!?」
「ハハ! ガッツキすぎじゃねぇの? あー……クリーム付けてんなァ?」
分かっちゃいるが、クリームがいっぱい付いて舐めがいがありそうな顔になったな。
文句を言われる前に、シュークリームを口から離した瞬間を狙って鼻先をペロリと舐める。
「なっ……何して……ちょ、コレが、したかったとか……」
「……コッチは流石に甘いな」
「も、どれだけ舐めたい……ん――」
ダークじゃねぇ普通のクリームは余計に甘い気がする。
ごっこ遊びを愉しむように、唇の脇もペロと舐め抗議しそうな口も塞いで何度か唇に吸い付いた。
唇に舌先を這わせると、逃れたがって唇が少し開く。
すかさずピタリと重ねて舌を口内へと伸ばして探っていく。
軽く舌を合わせて、もう少し遊んでやろうとしていると俺の乗り出した身体を両手で何とか押し返してきた。
「…はぁっ……普通に、食べられませんか?」
「先に誘ったのはレイちゃんだぞー?」
「だぞー? じゃないですよ! アホですか?」
赤い顔して文句言われてもなぁ?
溜め息混じりに気を取り直そうと紅茶を飲んでるのが、照れ隠しバレバレなんだよな。
まぁ、今はこれくらいにしといてやるか。
席に座り直して珈琲を飲んで甘さを掻き消していく。
「いただきます」
丁寧に手を合わせてから、嬉しそうにマカロンを摘んで口へと運ぶ。
その仕草を見ているだけで腹いっぱいになりそうなんだが、そのマカロンってヤツは食べたことねぇな。
俺も試しに食べてみるが、固いんだか柔いんだかはっきりしねぇな。
味は悪くないが、進んで食べるかって言われると微妙だ。
「苺が爽やかに広がって……甘酸っぱさがちょうどいいですね。食べたことあります? マカロン」
「いや、名前も初めて聞いたわ。味は言われりゃ分かるが、このよく分からねぇ歯応えがなー」
「カッチコチのマカロンなんて、ありえませんよ。まぁ、師匠に繊細なスイーツのことは分かりませんよね」
「お前が酒の味が分かんねぇのと一緒だな」
ですよね、と気にした風もなくレイヴンもカップを傾ける。
お上品すぎるってヤツなのか?
まぁ、折角だから食べてるんだが、何個食べても良さがイマイチ分かんねぇ。
まだシュークリームの方がイケそうだな。
また甘そうな気もするが、今日は付き合うって決めたしな。
手に取って思い切って齧る。
「……思ってたより甘くねぇな。チョコレートの割には」
「ダークですか? ……って、師匠。食べ方雑すぎません?」
あぁ、何か大口開けて食べたから適当だったな。
レイヴンがここだと指差すのは良いんだが、どっちなのか分かりづらい。
拭くものも見当たらねぇなと思っていたら、レイヴンの細い指が俺の唇の横に触れてクリームを掬いあげる。
ついでに指についたクリームをペロリと舐めた。
「……あー、確かに甘いもの苦手な人でも食べやすそう」
「……お前もシュークリーム食べてみたら?」
ただ単に味見しただけなんだろうが、自然にやられるのはいいもんだな。
仕草が色っぽく見えるじゃねぇか。
自然とニヤつくのが分かる。
俺がこういう顔をするとすぐレイヴンが警戒するが、シュークリームにも手を伸ばす。
こりゃあ、俺ものっかっていくか。
レイヴンがシュークリームを口に運んだ時に合わせて手を出してシュークリームを口に押し付けた。
「むぐぅ!?」
「ハハ! ガッツキすぎじゃねぇの? あー……クリーム付けてんなァ?」
分かっちゃいるが、クリームがいっぱい付いて舐めがいがありそうな顔になったな。
文句を言われる前に、シュークリームを口から離した瞬間を狙って鼻先をペロリと舐める。
「なっ……何して……ちょ、コレが、したかったとか……」
「……コッチは流石に甘いな」
「も、どれだけ舐めたい……ん――」
ダークじゃねぇ普通のクリームは余計に甘い気がする。
ごっこ遊びを愉しむように、唇の脇もペロと舐め抗議しそうな口も塞いで何度か唇に吸い付いた。
唇に舌先を這わせると、逃れたがって唇が少し開く。
すかさずピタリと重ねて舌を口内へと伸ばして探っていく。
軽く舌を合わせて、もう少し遊んでやろうとしていると俺の乗り出した身体を両手で何とか押し返してきた。
「…はぁっ……普通に、食べられませんか?」
「先に誘ったのはレイちゃんだぞー?」
「だぞー? じゃないですよ! アホですか?」
赤い顔して文句言われてもなぁ?
溜め息混じりに気を取り直そうと紅茶を飲んでるのが、照れ隠しバレバレなんだよな。
まぁ、今はこれくらいにしといてやるか。
席に座り直して珈琲を飲んで甘さを掻き消していく。
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