風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第四章 行動に移す魔塔主と色々認めたくない弟子

95.裏切り者の末路

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「な、何のことでしょうか。ご心配なさらずとも、用事を済ませて戻りますので。どうか、落ち着いて……」
「まぁ、そうだよな。しらを切らねぇとお前の命が危ないってか?」

威圧的な態度を崩さずに、呪文を紡ぎ出していく。

俺が独自に作った空間を切り取る魔法で辺りの風景がくすんでいく。

外部からの接触を遮断、ついでに空間内にいる者の気配は外に漏れることもない。
つまり、今は誰にも見られない状態な訳だ。
認識妨害と防音結界を重ね合わせて、範囲を狭めることによってこの魔法が成立する。

二人のいる空間だけが逆に切り取られたかのように鮮明になって、鮮やかな色を放つ。
この空間だけは先程と何も変わらない状態な訳だ。

「こ、これは、一体……」
「認識妨害と防音の掛け合わせみたいなもんだな。空間を切り取ってあるから、誰も俺たちがココにいることに気づかない」
「何故、私が閉じ込められているのか分かりませんが……」
「コッチが優しくしてやればつけあがりやがって。証拠はあがってんだよ、馬鹿が」

俺が手のひらを返すと魔道具がフッと現れ、怪しい男との会話シーンが空間に映し出される。
一方は黒い影のようなフードの男、もう一方はフードを目深に被った男だ。

顔は判別つきづらいが、話している声は完全にヨウアルだ。

跪いて俺の足に纏わりつくが、容赦なく蹴り飛ばし腹を押さえて蹲っているのを上から冷たく見下ろして唾を吐く。

「こうなることは分かっていて実行したんだろう? ならば、それ相応の報いを受けて当然だよなァ。なんせ、俺の可愛い弟子が死にかけたんだからな」

これでもおさえてやってんだよ。
今、この場で、八つ裂きにしてやりてぇのをよ。

我慢はしてるが、魔力マナは垂れ流したままだ。
別に優しくしてやるつもりなんて、欠片もない。

「が…ッ、た、たすけ……」
「――――誰も来ないって、言っただろう? 安心しろ、簡単にはヤらねぇよ。同じように苦しみながら死んでいけ。陛下のお許しもあるから存分に処分してやろう」

魔法具を元の位置へと転送すると、ヨウアルに向けて手のひらを向ける。

コイツを見てるだけで胸糞悪い。
さっさと終わらせてやろう。

それが俺からの最大限の慈悲だ。

魔力マナのプレッシャーで身動きが取れず、呼吸もままならず、青い顔で震える反逆者に向けて容赦なく魔法を浴びせかける。

「――――凍れフリーズ

基礎魔法とはいえ、俺が放てば威力はどうなるか分かるだろう? お前も一応は魔法使いの端くれなんだからな。

ビキ、ビキ、と音を立て、じっくりと獲物を捉えるように下半身から身体が凍っていく。

その勢いは相手の恐怖を煽るように、じわりじわりと。
少しずつ身体を侵食する。
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