ファイナル・ウォー・ファンタジー

れつ

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人類が太陽を失ったのは、人間のせいだ

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 バルとエクラーザが、レオンランザ派の集落へ到着すると、魔族たちはエクラーザの生還を驚き、そして大歓声で迎えた。

 バルは人間であったが、魔族たちはバルの事を厚遇した。エクラーザを救った恩人として、バルを認めたからだった。魔族たちはバルに、豪華な食事をふるまった。

 朝から何も食べておらず、空腹でハラに穴が空きそうな思いをしていたバルは、夢中で食らいついた。これは17年間の人生で食べてきた中で、一番うまい食事であった。

 食事を終えたあと、バルのところに、長身で細身の魔族がやってきた。
 ディピノという名のこの男は、レオンランザ派のリーダー格の男であった。

「バル、君に話したい事がある。
まず、レオンランザ様の忘れ形見であるエクラーザ様を救ってくれた事については、君に深く感謝しよう。
彼女が生きていた事は、我々に非常な勇気を与えてくれた。これで我々レオンランザ派の結束も、さらに強まるだろう。
そのエクラーザ様を、ここまで連れてきてくれた事は、君の大きな功績だ。その事を認めている者は、多い。私もその1人だ」

 そこまで話すとディピノは、一息ついた。そして多少、冷たい口調になって、話を続けた。

「だが1つ、君に忠告しておかねばならない。
人間に対する、われわれ魔族の目は、今非常に、厳しいものがある。
なぜなら現在、人間が我々魔族の領土を侵略し、すでにかなりの死者が、魔族に出ているからだ。
君の左足は、重度の肉離れだ。治るまで、しばらくここに逗留せざるをえないだろうが、滞在する間、このレオンランザ派の集落を、あまり勝手に出歩かない方が良い。
人間を快く思わない魔族の中には、キミに危害を加える者もいるかもしれないからな。
万一そうなった場合、我々としても責任はとれない」

 そう言われたバルは、いささか不満げな様子で答えた。
「そんな事、いちいち言われなくたって・・・・・・
この足じゃ、満足に動けないから、勝手に出歩いたりはしないさ。
それとアンタ、今起きてる戦争の話をしたけど・・・・・・
それは俺たち人間のせいじゃ無い。魔族のせいじゃないか。アンタら魔族が、人間から太陽を奪ったせいで、今、戦争になってるんじゃないか。
今オレたち人間界は、太陽が昇らない、暗黒の世界だ。
アンタら魔族が、『7色の神器』の魔力を悪用して、人間から太陽を奪ったせいで、そうなった。
オレたち人間が再び、太陽を取り戻すには、『七色の神器』を、全て手に入れるしか無い。だから『七色の神器』の最後の1個を、手に入れるために、いま必死に、人類は戦ってるんだ。
つまり今、戦争が起きているのは、オレたち人間のせいじゃない。アンタら魔族のせいだ」

 ディピノは“一体、なんの話をしてるんだ?”というような顔つきで、呆れたように、何度も首を振った。
「それは違う!
我々は、人間から太陽を奪ってなどいない!」

 この全否定するディピノの言葉に、バルは応戦した。
「じゃあ聞くけど、人間から太陽を奪ったのは、誰なんだ?
アンタら魔族以外、考えられないじゃないか!」

 するとディピノは、さっきとは打って変わって、落ち着いた様子で答えた。
「どうやら君は・・・人間界から、太陽が消えた理由を、まるで理解していないようだな。
ならばよろしい、君に教えてやろう。
人間界から、太陽が消えた理由――それは我々魔族のせいでは無い。
他ならぬ、キミたち人間のせいだよ。自業自得の結果として、そうなったのだ」

「自業自得??? どういう事だ???
人類が太陽を失ったのは、人間のせいだと?」とバルが聞くと、
ディピノは力強く「そうだ!」と答えた。

 するとバルは、強く首を横に振った。
「そんな話は、とても信じられない。
何か証拠でもあるのか?」

 このバルの質問に、ディピノは答えようとしなかった。
 しばらくバルの事を見つめた後、ディピノは言った。

「・・・・・・ちょっと、私と一緒に来て欲しい。
君に会わせたい者がいる」
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