ファイナル・ウォー・ファンタジー

れつ

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受け入れられないし、信じたくもない話

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 ここでディピノが、口を開いた。
「その平和をやぶったのが、人間だ。
天候を、再び『神の意思』から『種族の意思』にすることを目論んで、約1300年前、聖護国が他の人間国には黙って、ひそかに『われわれ魔族の聖地』に侵攻し、『七色の神器』を1つ、奪ってしまった。
これは決して、やってはならない行為だったんだ。というのも『七つある、七色の神器』が全て、聖地と一体となった状態で、はじめて自然界の秩序が、保たれるからだ。
にもかかわらず聖護国は勝手に、『魔族の聖地』から『七色の神器』を1つ、持ち去ってしまった。
だから自然界のバランスが崩れて、『ネファーンド大陸(人間の大陸)』から太陽が消えた。
聖護国は、それを『魔族が七色の神器を、悪用したせい』と主張して、太陽が消えた責任を、われわれ魔族に、なすりつけた。
魔族への『不信感や差別意識』から、全人類も、聖護国の言い分を信用してしまった。
聖護国は、魔族への『不信感、差別、憎しみ』を、あおる事によって、全人類を協力させて、魔族への戦争を開始した。
ちょうど今、キミら人間が行なっている戦争だよ」

 ディピノの説明を受け継ぐ形で、マールが話し始めた。
「いま人間が行なっている戦争は、『七色の神器』を『魔族の聖地』から『人間の聖地』へ移動させることによって、天候を、再び『神の意思』から『種族の意思』の支配下におくための戦争よ。
人間は、あともう1歩で、その目的を達成しようとしている。『七色の神器』の最後の1つさえ手に入れれば、『太陽の冠』の力を復活させることができる。そうすれば『太陽の冠』によって、天候を、人間の意のままに操ることが出来るようになる。
でもそれは、さっきも言ったように『太陽の冠』の奪い合いになって、人間同士の戦争になる危険があるの」

 バルは、マールとディピノの話を、必死で理解しようとしていた。彼らの話は、初めて聞いた話ばかりだったからだ。
 また彼らの話は同時に、バルにとって、受け入れがたく信じたくもない話でもあった。というのも「真の悪者は、魔族では無く、バルの祖国の聖護国である」という内容だったからだ。
 しばらくして、バルは口を開いた。

「でも・・・・・・仮に『今の話が、全て事実だ』としても、『七色の神器』全てを、『人間の聖地』に設置する事によって、太陽は復活するんですよね?
それと『天候を、自由に操ること』自体は、別に悪い事じゃないと思いますが・・・・・・
天気を、思い通りに出来るのであれば、むしろ良い気もします。たとえば、台風や大雨といった自然災害を、減らすことも出来ますよね?
であれば、人間と聖護国が今している事は、特に問題ないんじゃないんですか?」

 マールは答えた。
「たしかに、キミの言う通りね。
『七色の神器』全てを、『人間の聖地』に設置する事で、太陽は復活するし、また天気を操ることが出来るようになるので、自然災害を減らすことも出来る。
でもそれは、あくまで『太陽の冠の力を、悪用しなければ』の話。
キミは今『自然災害を、減らすことが出来る』と言ったけど、『太陽の冠』の力を悪用すれば、逆のことも、また可能なの。
さっきも、ちょっと話したけど、意図的に人為的に、特定の国に対して、『自然災害を、引き起こすことも出来る』ってワケ。
太古の記録を調べてみると、『太陽の冠を持った国』は、おうおうにして『太陽の冠』を、全人類のためには使おうとしないで、自分の利益のために、悪用する事が多かったの。
つまり『自国に敵対的な国』に対して、『自然災害による攻撃』を加える、といった事を、『太陽の冠を持った国』は、たびたび行なってきたのよ。
そうした事が原因となって、国家間での『太陽の冠』の奪い合いとなり、その結果、太古の時代では、大戦争(太陽戦争)が起きてしまったけど・・・・・・
今回も、もし『全ての七色の神器』が『人間の聖地』へ設置されて、『太陽の冠』が使えるようになったら、『再び、大戦争が起きる危険性が高い』と、私は考えてるの」

 バルは少し首をかしげながら、納得できない表情で言った。
「んー・・・・・・どうだろう。
『太陽の冠の奪い合いとなって、大戦争が起きるかもしれない』か。そんな事には簡単には、ならないんじゃないんじゃないかなあ。
人間だって、そうバカじゃないと思う。
『天気を、自由に操れる』ってこと自体は、決して悪い事じゃ無いから、人間は、きっと良い方向に使うんじゃないかな。
それに・・・・・・今、人間にとっての一番の問題は、『天気を、自在に操れるようになる事』じゃなくて、『人間の世界に、太陽が無いこと』だよ。
このまま『七色の神器』が手に入らなければ、いつまでたっても、オレたち人間の世界は、真っ暗なままだ。
だから太陽を復活させるために、オレたちは『七色の神器』を手に入れなきゃいけないんだよ。
それが、オレたち人間に残された唯一の道なんだ」

 このバルの主張を、マールは語気を強めて否定した。
「いいえ、それは違う。
人間が『七色の神器』を全て、魔族に返せば、すむ話じゃない。
『七色の神器』を全て、『魔族の聖地』に設置すれば、太陽は復活するわ」

バルは、首を横に振りながら言った。
「そんな事は不可能だよ。
なぜって『7色の神器を全て、魔族に返すべきだ』なんて事を言い出す人間は1人も、いないだろうから。
人間は、7つある『7色の神器』の内、もう6つまでを手に入れてる。残るは『あと1つ、たった1つ』なんだ。
ここまできたら、太陽を復活させるために、『全ての7色の神器』を『人間の聖地』に設置するしか無い・・・・・・それは仕方ないじゃないか」

 マールは、何も言わなかった。
 皆の会話が途切れたところで、バルは立ち上がった。そしてマールに声をかけた。

「今日は、いろいろと話してくれてありがとう、マールさん。
でも心配はいらないよ。
その『太陽の冠』ってモノがあったとしても、人間は、それを奪い合って、戦争なんて起こしたりはしない。
きっと、うまく使うさ」

それに対してマールは何も言わずに、ただ小さく、うなずいただけだった。
その時、彼女は少し残念そうな表情をしていた。
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