GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也

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躊躇も容赦もなく

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エセックス級正規空母、ベニントン大破炎上!
さらに、重巡3隻、駆逐艦5隻爆沈…!
「あれが、資料にあった桜花チェリーブロッサム…?」
スプルーアンスもミッチャーも戦慄を隠しきれない。
何というクレイジー。
ロケット推進で戦艦の徹甲弾並みの威力を有したカミカゼ専用機…!
しかも、まだ悪夢は終わっていない。
ゼロ中心のカミカゼ部隊が大挙殺到しているのだ。
F6Fの追加スクランブルと、熾烈な対空砲火の前に半数以上が撃墜されたが…。
特攻機が駆逐艦6隻大破
1機は戦艦ミズーリの艦橋レーダー部分に突入。
そして空母エンタープライズ、ボノム・リシャールと一機づつ突入。
共に甲板を破壊して大火災を起こし、特にボノム・リシャールの方は退避や攻撃隊発進もままならず爆装した艦上爆撃機が並んでいるところであったから最悪であった。
立て続けの誘爆、火災に手がつけられなくなり、下二層の格納甲板まで爆炎が及び、511人もの死者を出す甚大な被害であった。
結局、桜花突入で廃艦寸前となったベニントンよりはマシとは言え、本土回航を余儀なくされるということとなる。

さらに20分ほどのラグで沖縄から日本陸軍機58機が襲来。
大半は直掩F6Fに薙ぎ払われたが、それでも駆逐艦3大破、悪い事には近傍にいた上陸部隊の輸送船、強襲揚陸艦に特攻機の一部が鉢合わせ、2隻づつがこれまた大破…。
それでようやく、過去最大規模、アメリカ側にとっては悪夢のようなカミカゼの嵐は収まる。

ただ…鹿屋には1式陸攻が9機、直掩の零戦19機がようやく帰還。
陸軍の知覧基地、沖縄方面の直掩、護衛戦闘機の状況も似通った生存率であろう。
各基地とも様々な意味で、この状況下では奇跡としか言いようのない大戦果を手放しで喜べないのは共通していた。

そして、絶対優位な筈のアメリカ側も…。
スプルーアンスは苦悩していた。いや、もう断行するしかないのだが。
ミッチャーとも相談し、一旦機動部隊を沖合に退避させ、諸事立て直しとパイロット、クルーの休養を丸一日行いたかったのだが。
ハワイのニミッツ太平洋艦隊司令長官に直訴を却下されてしまったのだが…。
「貴官らの苦境はもちろん承知しているが、大統領閣下が一日も早い沖縄制圧をお望み故、なんとかそちら時間の日没までに敢行して欲しい…。」
そう言われては致し方なし。
上陸部隊、地上軍総司令官のバックナー中将からの問い合わせ(催促)も無視できない。
「当初の作戦に変更なし!
全艦艇沖縄本島中西部に向け前進!!」
「「アイ・サー!」」

夕刻…1700過ぎ、戦艦、巡洋艦の主砲が一斉に砲を吹き、同時に猛禽の如く戦闘機、爆撃機が陸地に殺到し支援爆撃を開始する。

「数が…海が…見えません!」
高台の監視哨。沖縄守備隊の見張り員が悲鳴の様な報告を首里の司令部にもたらす。
「来たか…航空…特攻攻撃はよく敢闘してくれたが。」
沖縄守備軍司令官牛島中将は重々しく頷く。
「敵の侵攻が遅延した隙に、水際で何がしか攻撃を加える計画も立てられただろうに。」
長勇参謀長が、やや嫌味を込めて言う。
「いえ、今の段階では軍民双方、余分な犠牲は避けるべきです。」
八原博通作戦参謀は釘を刺す。
自らの考案した「寝業戦法」
敵を内陸部に引き付け、自軍は堅固な陣地に立て篭もり、相手に出血を強いる。
硫黄島の時程徹底は出来ないだろうが、確実に「勝てないまでも沖縄本島を渡さない」にはそれしかない。
特攻程にはないにしても、前線で指揮を取る上層部までが、「困った時にはひたすら銃剣突撃、肉弾攻撃で打開させる」という明治後半の戦術思想からどこか抜けられないでいる。
その現状は八原の様な知米派の参謀にとっては頭の痛いところであった。

一方…。
「GO!GO!!GO!!!」
「橋頭堡を固めろ。」
「砲撃、狙撃等の反撃は無し!」
アメリカ上陸陸軍、海兵隊、その総数18万強。
あのヨーロッパ戦線のノルマンディーをも上回る空前の上陸作戦。
「3時間でようやく45%、全軍上陸する頃には日付が変わるか?」
重巡チェスター艦上から自軍を掌握、指揮を執っていたバックナーがそう呟いた瞬間。
前方の揚陸艦が火を吹く!
!?
カミカゼだ!
だれかが叫ぶ。
500キロ爆弾を積んだ日本陸軍隼戦闘機が、15機闇を切り裂き飛来したのだ。
上陸支援の為、サーチライトや照明弾を無遠慮に使いまくっていたのが仇になった。
日本の大本営は、いずれにせよ沖縄の陸海軍飛行場は守りきれず、ここまでの作戦で燃料機材もそもそも無いと見切りをつけ、疾風やベテラン搭乗の零戦のみを本土に帰還させ、残りの機体と若いパイロットには特攻攻撃…
という命令を実行させたのである。
同じ特攻をさせるにしても、残ったガラクタを片付ける様なやり方はあまりに可哀想だ。
どうしてもなら自分達も直掩、護衛についていく。
ベテランパイロット達は猛抗議したが、上層部の意思は変わらない。

それでもまだ20歳前後の若鷲達はやり遂げた。
慣れぬ夜間飛行から、護衛なしで低空を飛び、アメリカ側の上陸中の隙を突いて零戦18機も加わり上陸船団、あるいは米軍兵士の集団に突入していったのである。
「お母さん、さようなら!」
ある19歳の兵曹長はそう言って輸送艦に体当たりした。
たまたま重砲の弾薬を満載した艦で、大爆発を起こし米軍将兵の動揺を誘う。
夜間戦闘仕様のF6Fの攻撃に3分の1を喪うが、輸送、強襲揚陸艦6隻撃沈破、駆逐艦3隻大破、また少なくない機が米地上軍の集合地点や隊列に突っ込み、地上だけで1,122人の損害を与えることとなる。
また、帰還命令をよしとしなかった直掩組のパイロットも陸海軍数機づつで彼らに付き添い、敵地上軍に自身が墜とされるまで機銃掃射を仕掛け、無視できぬ人的損害を与え、一部は米軍部隊のど真ん中や輸送艦に体当たりした…。
この一件はより一層、米海軍将兵に深刻なカミカゼへの恐怖を上書きする事となる。









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