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第八節 〜遷(うつり)・夜夜中(よるよるなか)〜
100 二百五十 対 七十 〈3〉
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98 99 100 101 は“ひと綴りの物語”です。
《その3》
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
―――――――――
『バラすなよな。……悪りーな、死ななくて何より」耳元でオッサン臭満載な声で囁かれる。
囁き程度のはずなのに受け取る音量は怒鳴られるほどに感じる。声の方向に振り向くと兵舎の入り口近くの壁に背中を預けて、小太りの中年がニヤニヤ笑ってコチラを見ていた。これが団長の戦場で声を通す自個保有魔系技能か。皆が怒鳴り返す気持ちがわかる。耳の奥がキンキンするし、何よりムカつく。
「俺は金主だぜ、殺しちまったらやべーんじゃねーのか」
『そうだった、そうだった。でも死んでねーだろ。なら問題ないだろ』
こっちの声も難なく聞こえるらしい。つぶやき程度なのに。やっぱりムカつく。
『おいおい、撃ち殺したんじゃないのか? 動いてるぜ。360斗一周して元に戻ったか。そんなこったろうと思ったぜ。まあいいけどな。割増な、毎度あり』
「囮代で逆にマイナスだ」
『そりゃまた手厳しい』
オッサンの手元から今まで使っていたものより若干長く太い針が無数に放たれ飛んでくる。昆虫っぽい動きと速さ。その一本に蹴りを放つが直角に動き避けられる。そのまま僕が仕留めた複数の敵に近づき顳かみや脊髄、心臓等急所に確実に刺さる。刺さる直前で加速し、根元まで埋まる。即死だ『動かない相手だとやっぱり楽だわ。でも地味だわな』
僕は不殺を誓っている訳じゃない。威力強めの制圧弾だから運が悪ければ普通に死ぬと思う。兵舎で殺された敵も返り討ちにあった傭兵たちにも憐憫を感じた訳ではない。ただ、生から死へと移る際の虚無に慣れないだけだ。人の手で行う理不尽さに苛立つだけだ。
「まあ、死なないようにな。折角彼女さんに救ってもらったんだ。感謝しな。俺は本当は分の悪い賭けだと思ってんだがな。まあ、見ものだったな、おい」
僕は届くとは思わないが全力の実弾を奴に向かって連射した。一メートル先で霧散する無数の弾幕。
『おお、すげえすげえ、やろうと思えば出来んだけどな。まあ、いいや。誰にも言わねぇから遊んでないでこっちに戻って来い。
兵舎も城塁上でも思いの外に拮抗されているが、そっちは任せて、そろそろ上のお偉い近衛連中がやってくる頃合いだ。迎撃するぞ。俺とオマエと俺の部下七名。相手は二十五人だ。ヒリヒリするだろ。あと、赤い鎧は俺のエモノだ。手ぇ出すなよ』
小太りの中年オッサンのくせに、笑い顔だけは酷く凶悪だった。
兵舎突入から今まで十五分も経っていない。たぶん。
◇
サガン領主本館入り口の扉は実に簡素で堅牢な造りだった。まるで砦で見るような。正門門扉は細かな装飾が複雑に絡み合うような可憐で絢爛な造りだったのだが。コチラが本音っぽい。
集まったのはおっさんが言ってた通りに九人。中には先程オッサンの所業をチクった古参傭兵もシレっといた。
静かだ。既に傭兵脱走も兵舎襲撃も承知してしているだろうに。待ち伏せか? しかしながら悠長に睨み合いもいただけない。
場外での戦闘では敵兵の士気が思ったより高く、当初の奇襲から立ち直って数の有利を意識した正攻法で固められ、今は双方で損害を出さない戦いに移行し、微妙なバランスで拮抗が保たれている。いや、やはり数の差は大きく徐々に押されているか。
敵兵の士気の高さは男爵への忠誠ではなく、単純に近衛二十五人と赤鎧の力量を知っていて、恐れている感じだろう。時間の経過は我々の敗北を近づける。そして夜明けも近い。日の出と共にカトンボが飛来し、二日目が始まる。それまでに決着を付けないと。本当に摘む。
味方の傭兵も敵兵も、本館攻防戦を注視していた。
そこで全てが決まる。
館内の様子が分からなければ安易に踏み込めない。嫌な予感しかしないが、急かされて索敵が得意と思われている僕が、内部の様子を伺う為に両扉の中央最前に。って思ってた通りかよ。“押すな押すな”じゃねーし。
扉の蝶番が爆音と黒煙とを発して弾け、扉は勢いよく内部に吹っ飛んでいく。丁番を破壊したのは魔法ではなくこの世界では超貴重で珍しいリアル火薬だ。たぶん黒色火薬。異常な煙の量と臭いで解った。着火だけ魔法? 便利なハイブリット起爆装置だ。
いきなり目の前に現れる炎の塊。見え隠れする岩の塊。リアルな魔法的な攻撃は初期のハナの炎弾以来久しぶり(規模も威力も段違いだが)だが、自分が魔法戦を行うのは始めてかも。
悠長に感想を述べてる暇なんてなかった。展開、軟性金剛石壁。張り終わりの透明な壁に当たって周りに拡散する炎の波が恐ろしすぎる。一歩のけぞる。迫力がッパない。熱せられた空気が廻り込んで僕の顔を舐る。時より岩石が当たる鈍い音も不気味。でもなんか違和感が、なんだ?
そんな僕の後ろから魔法攻撃の波のスキを突いてタイミング良く七人が飛び出し、内部に侵入していく「すいやせんね。団長の命令なんで、恨むなら団長を」
やっぱり囮にされてた。僕が扉に着く前に火薬はセットされ、七人には指示が出されていたのだろう。例のオッサンの内緒話でのスキルで。僕を外して。ホント地味な癖に醜悪。使うヤツは尚更に鬼畜。更に減額だ。
突然魔法が止むと代わりに人が飛んできた。赤い鎧だ。眼の前に大上段からの唐竹割りが迫る。短銃型“魔法の杖”で迎撃。と思ったがさっき古参傭兵にあっさりと避けられた光景が過る。背筋に走る悪寒に従い軟性金剛石壁を二重三重と可能の限り重ねる。
その壁を次々と物理で切り裂き僕の脳天に伸びる。三倍早く動くなとは思っていたが、力も三倍らしい。聞いてませんけど。それでも腰の剣鉈ナイフを抜く時間は稼いだ。超超接近でテルミットを発動。たぶん僕も負傷するが赤鎧は終わりだ。互いに逃げられない距離。最初の殺人との思いで吐きそうになる。
それを防いだのはオッサンだった。オッサンの大剣が翻り僕の頭上で赤鎧の唐竹割りと打ち合った。
派手な花火が散って双方が離れる。休むことなく地を蹴り互いが斬り結ぶ。オッサンの大剣が重力を感じさせない軽さで舞う。でもそれは赤鎧も同じ。でもさ、他所でやれ、さっきから双方の剣先が僕を掠める。アタフタしている僕に再び魔法攻撃が飛んでくる。
〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。
防護壁は必要ありません、魔法は届きません。
と結論 ∮〉
なるほどと思う。さっきの違和感はこれか? 言われてみれば。
僕から一メートルの距離で敵の魔法が霧散する。僕の魔法が一メートルで霧散するのなら、この世界の魔法だって霧散してもわなくては叶わない。道理だ。
でもちょっと怖いから身体から五十センチ前に軟性金剛石の盾をアクティブに張っておく。だって備え有れば憂いなしだから。
領主館内部一階は小振りの体育館程度の広さがあり天井は二階分の吹抜だ。ただ太い柱が何本も建ち視界を遮り圧迫感がある。
僕を魔法で攻撃している三人もそんな柱の陰に隠れながらだ。大丈夫、僕にそんな遠距離攻撃はないから。だから自ら近寄る。縮地。
周りを横目で確認するが“七人”も一人で二人から三人と斬り結んでいる。やはり劣勢そうだが、人数差のある場合の遠間からの魔法の打ち合よりはマシだとの判断からの、僕の囮と七人の飛び出しなのだろう。接近戦ならフレンドリーアタックが怖くて周りからの魔法攻撃の支援はない。寡兵って辛いのよ。
んっ。違和感。人数足りなくね?
と思った瞬間に一メートル先での炎と岩石の謎の霧散現象を突破した物理の矢が正確に僕の眉間に飛んで迫る。正に“備え有れば患いなし”な軟性金剛石の盾に遮られて眉間にちょっと刺さって止まる。五十センチは近すぎた。ギリギリ九十センチに変更しておこう。
物理的な実体を持つ矢だ。でも前方の三人に弓やクロスボウを持つ者はいなかったはずだが。前方から歓声が上がる。そりゃあ普通眉間から矢が生えてたら仕留めたと思うだろうな。魔法攻撃が止んで、答えが解った。投擲の構えの者が一人。たぶんオッサンの“針”の魔法と同じだ。
僕の突進が止まらないのを見て再投擲を行うも慌てたのだろう、僕の身体から軌道が外れる。速度は弓に匹敵する程に高いが軌道修正はしない。オッサンの劣化版だろう。でも連射は通常の弓などに比べると遥かに早く優れている。なるほど、魔法にはこんな使い方もあるのか。魔力的な理力を使うのだろう。これなら。
外れて僕の脇を逸れる矢を掴み取り、投げ返そうとして、咄嗟に止める。右斜上からの殺気に気づき、視線を上げると二階部分の踊り場に投擲の構えを取る二人組がいた。一人は僕を、もう一人はオッサンを狙っている。本職の狙撃手は高所からが鉄則。
―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
よろしければ次話もお楽しみ頂ければ幸いです。
《その3》
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
―――――――――
『バラすなよな。……悪りーな、死ななくて何より」耳元でオッサン臭満載な声で囁かれる。
囁き程度のはずなのに受け取る音量は怒鳴られるほどに感じる。声の方向に振り向くと兵舎の入り口近くの壁に背中を預けて、小太りの中年がニヤニヤ笑ってコチラを見ていた。これが団長の戦場で声を通す自個保有魔系技能か。皆が怒鳴り返す気持ちがわかる。耳の奥がキンキンするし、何よりムカつく。
「俺は金主だぜ、殺しちまったらやべーんじゃねーのか」
『そうだった、そうだった。でも死んでねーだろ。なら問題ないだろ』
こっちの声も難なく聞こえるらしい。つぶやき程度なのに。やっぱりムカつく。
『おいおい、撃ち殺したんじゃないのか? 動いてるぜ。360斗一周して元に戻ったか。そんなこったろうと思ったぜ。まあいいけどな。割増な、毎度あり』
「囮代で逆にマイナスだ」
『そりゃまた手厳しい』
オッサンの手元から今まで使っていたものより若干長く太い針が無数に放たれ飛んでくる。昆虫っぽい動きと速さ。その一本に蹴りを放つが直角に動き避けられる。そのまま僕が仕留めた複数の敵に近づき顳かみや脊髄、心臓等急所に確実に刺さる。刺さる直前で加速し、根元まで埋まる。即死だ『動かない相手だとやっぱり楽だわ。でも地味だわな』
僕は不殺を誓っている訳じゃない。威力強めの制圧弾だから運が悪ければ普通に死ぬと思う。兵舎で殺された敵も返り討ちにあった傭兵たちにも憐憫を感じた訳ではない。ただ、生から死へと移る際の虚無に慣れないだけだ。人の手で行う理不尽さに苛立つだけだ。
「まあ、死なないようにな。折角彼女さんに救ってもらったんだ。感謝しな。俺は本当は分の悪い賭けだと思ってんだがな。まあ、見ものだったな、おい」
僕は届くとは思わないが全力の実弾を奴に向かって連射した。一メートル先で霧散する無数の弾幕。
『おお、すげえすげえ、やろうと思えば出来んだけどな。まあ、いいや。誰にも言わねぇから遊んでないでこっちに戻って来い。
兵舎も城塁上でも思いの外に拮抗されているが、そっちは任せて、そろそろ上のお偉い近衛連中がやってくる頃合いだ。迎撃するぞ。俺とオマエと俺の部下七名。相手は二十五人だ。ヒリヒリするだろ。あと、赤い鎧は俺のエモノだ。手ぇ出すなよ』
小太りの中年オッサンのくせに、笑い顔だけは酷く凶悪だった。
兵舎突入から今まで十五分も経っていない。たぶん。
◇
サガン領主本館入り口の扉は実に簡素で堅牢な造りだった。まるで砦で見るような。正門門扉は細かな装飾が複雑に絡み合うような可憐で絢爛な造りだったのだが。コチラが本音っぽい。
集まったのはおっさんが言ってた通りに九人。中には先程オッサンの所業をチクった古参傭兵もシレっといた。
静かだ。既に傭兵脱走も兵舎襲撃も承知してしているだろうに。待ち伏せか? しかしながら悠長に睨み合いもいただけない。
場外での戦闘では敵兵の士気が思ったより高く、当初の奇襲から立ち直って数の有利を意識した正攻法で固められ、今は双方で損害を出さない戦いに移行し、微妙なバランスで拮抗が保たれている。いや、やはり数の差は大きく徐々に押されているか。
敵兵の士気の高さは男爵への忠誠ではなく、単純に近衛二十五人と赤鎧の力量を知っていて、恐れている感じだろう。時間の経過は我々の敗北を近づける。そして夜明けも近い。日の出と共にカトンボが飛来し、二日目が始まる。それまでに決着を付けないと。本当に摘む。
味方の傭兵も敵兵も、本館攻防戦を注視していた。
そこで全てが決まる。
館内の様子が分からなければ安易に踏み込めない。嫌な予感しかしないが、急かされて索敵が得意と思われている僕が、内部の様子を伺う為に両扉の中央最前に。って思ってた通りかよ。“押すな押すな”じゃねーし。
扉の蝶番が爆音と黒煙とを発して弾け、扉は勢いよく内部に吹っ飛んでいく。丁番を破壊したのは魔法ではなくこの世界では超貴重で珍しいリアル火薬だ。たぶん黒色火薬。異常な煙の量と臭いで解った。着火だけ魔法? 便利なハイブリット起爆装置だ。
いきなり目の前に現れる炎の塊。見え隠れする岩の塊。リアルな魔法的な攻撃は初期のハナの炎弾以来久しぶり(規模も威力も段違いだが)だが、自分が魔法戦を行うのは始めてかも。
悠長に感想を述べてる暇なんてなかった。展開、軟性金剛石壁。張り終わりの透明な壁に当たって周りに拡散する炎の波が恐ろしすぎる。一歩のけぞる。迫力がッパない。熱せられた空気が廻り込んで僕の顔を舐る。時より岩石が当たる鈍い音も不気味。でもなんか違和感が、なんだ?
そんな僕の後ろから魔法攻撃の波のスキを突いてタイミング良く七人が飛び出し、内部に侵入していく「すいやせんね。団長の命令なんで、恨むなら団長を」
やっぱり囮にされてた。僕が扉に着く前に火薬はセットされ、七人には指示が出されていたのだろう。例のオッサンの内緒話でのスキルで。僕を外して。ホント地味な癖に醜悪。使うヤツは尚更に鬼畜。更に減額だ。
突然魔法が止むと代わりに人が飛んできた。赤い鎧だ。眼の前に大上段からの唐竹割りが迫る。短銃型“魔法の杖”で迎撃。と思ったがさっき古参傭兵にあっさりと避けられた光景が過る。背筋に走る悪寒に従い軟性金剛石壁を二重三重と可能の限り重ねる。
その壁を次々と物理で切り裂き僕の脳天に伸びる。三倍早く動くなとは思っていたが、力も三倍らしい。聞いてませんけど。それでも腰の剣鉈ナイフを抜く時間は稼いだ。超超接近でテルミットを発動。たぶん僕も負傷するが赤鎧は終わりだ。互いに逃げられない距離。最初の殺人との思いで吐きそうになる。
それを防いだのはオッサンだった。オッサンの大剣が翻り僕の頭上で赤鎧の唐竹割りと打ち合った。
派手な花火が散って双方が離れる。休むことなく地を蹴り互いが斬り結ぶ。オッサンの大剣が重力を感じさせない軽さで舞う。でもそれは赤鎧も同じ。でもさ、他所でやれ、さっきから双方の剣先が僕を掠める。アタフタしている僕に再び魔法攻撃が飛んでくる。
〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。
防護壁は必要ありません、魔法は届きません。
と結論 ∮〉
なるほどと思う。さっきの違和感はこれか? 言われてみれば。
僕から一メートルの距離で敵の魔法が霧散する。僕の魔法が一メートルで霧散するのなら、この世界の魔法だって霧散してもわなくては叶わない。道理だ。
でもちょっと怖いから身体から五十センチ前に軟性金剛石の盾をアクティブに張っておく。だって備え有れば憂いなしだから。
領主館内部一階は小振りの体育館程度の広さがあり天井は二階分の吹抜だ。ただ太い柱が何本も建ち視界を遮り圧迫感がある。
僕を魔法で攻撃している三人もそんな柱の陰に隠れながらだ。大丈夫、僕にそんな遠距離攻撃はないから。だから自ら近寄る。縮地。
周りを横目で確認するが“七人”も一人で二人から三人と斬り結んでいる。やはり劣勢そうだが、人数差のある場合の遠間からの魔法の打ち合よりはマシだとの判断からの、僕の囮と七人の飛び出しなのだろう。接近戦ならフレンドリーアタックが怖くて周りからの魔法攻撃の支援はない。寡兵って辛いのよ。
んっ。違和感。人数足りなくね?
と思った瞬間に一メートル先での炎と岩石の謎の霧散現象を突破した物理の矢が正確に僕の眉間に飛んで迫る。正に“備え有れば患いなし”な軟性金剛石の盾に遮られて眉間にちょっと刺さって止まる。五十センチは近すぎた。ギリギリ九十センチに変更しておこう。
物理的な実体を持つ矢だ。でも前方の三人に弓やクロスボウを持つ者はいなかったはずだが。前方から歓声が上がる。そりゃあ普通眉間から矢が生えてたら仕留めたと思うだろうな。魔法攻撃が止んで、答えが解った。投擲の構えの者が一人。たぶんオッサンの“針”の魔法と同じだ。
僕の突進が止まらないのを見て再投擲を行うも慌てたのだろう、僕の身体から軌道が外れる。速度は弓に匹敵する程に高いが軌道修正はしない。オッサンの劣化版だろう。でも連射は通常の弓などに比べると遥かに早く優れている。なるほど、魔法にはこんな使い方もあるのか。魔力的な理力を使うのだろう。これなら。
外れて僕の脇を逸れる矢を掴み取り、投げ返そうとして、咄嗟に止める。右斜上からの殺気に気づき、視線を上げると二階部分の踊り場に投擲の構えを取る二人組がいた。一人は僕を、もう一人はオッサンを狙っている。本職の狙撃手は高所からが鉄則。
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お読み頂き、誠にありがとうございます。
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