22 / 228
Chap.2 ちいさなアリス
Chap.2 Sec.8
しおりを挟む
ティアが向かった先はシャワールームだった。ちょうど寝室でイシャンとすれ違い、ふたりは言葉を交わしていたが、聞き取れなかった。けれど、シャワールームにたどり着いたので予想がつく。やはりシャワーに入るよう勧められていたのだ。そしてティアは、洋服の着脱が私ひとりでは困難だから、手伝うために来てくれたのではないか。
「うしろ、向いてくれる?」
ティアが長い指先をくるりと回す。私は背中を見せた。ティアが背中に触れて、ワンピースが緩んでいくのがわかる。あっさり後ろを向いておきながらなんだが、毎回誰かに手伝ってもらう必要があるのは厄介ではないだろうか。なにか工夫できないだろうか。
そんなことを考えていると、ティアの手が肩に触れた。布越しではなく、素肌に直接、ひんやりとした手が当たる。
どきりとして距離をとった。振り返ると、ティアは変わらず、微笑んだまま。
「ん? 自分で脱ぎたいの? ……いいよ、どうぞ」
ティアが両手を上げた。お手上げ、のポーズにも見える。くるりと私に背を向けた。
「見えないように後ろを向いておくね。どうせ見るんだけど……アリスちゃんの心の準備とか、あるかも知れないしね?」
よどみなく何かを話しているが、背中だけでは分からない。ひとまずシャワールームに入ることを優先しようと思い、服を脱いで裸になった。服は床にたたんで置いておく。ティアに告げるべきか迷ったが、ドアが閉まれば入室したことは分かってもらえるだろうし、黙って閉めるボタンを押した。そういえば、これは鍵を掛けられないのだろうか。
ドア付近のボタンを見ていると、それらしい錠前のマークがあった。トイレを使う際にも思ったが、どの電化製品も一目で用途が分かるような仕様になっているし、あたりまえの動作は自動的だ。彼らはよく話しかけているから、声でも反応するのだろう。
ところで、これは鍵を掛けてもいいのだろうか。この錠前のマークを押せば、ドアがロックされる気がする。まさか頭上から危険な物が降ってくるとか、そういう突拍子もないボタンではないだろうし。とりあえず押してみようか。そもそもの問題で、勝手に鍵を掛けてしまってもいいのかどうか。
悩んでいると、ドアがするりと開いた。何も押していないのに。
『え』「ん?」
口の中だけでもれた私の声に、別の声でクエスチョンマークが重なった。目の前、まっさらな石膏像のような裸体が。びっくりして顔をあげると、ティアのすみれ色の眼が私を見ていた。目が合う。にっこりとしてドアを閉め、次いでこちらに手を伸ばし、私の目前にあった錠前のマークに触れた。
「そうだね、ここでロックできるね」
ティアの指先が離れ、錠前の絵が緑に光る。はずれていた錠前のマークが、きちんと締まったマークに切り替わった。
「僕を入れたくなかったのかな? それなら……押すのがすこし、遅かったね」
近づいたティアの唇が、耳許でささやいた。長い白金の髪がすぐそばで、さらさらと流れていく。なにが起こっているのか。なぜ彼が入ってきたのか。どうして裸なのか。
『あのっ……私、ひとりで洗えます』
絞りだすように出したセリフは、答えとして正しいのだろうか。この世界では身体を洗ってあげるのが普通なのかと。そんな考えが昨日は浮かんでいたが、観察していたところ誰もが個人でシャワーを浴びていた。昨日のセトは、おそらく使い方を説明してくれたのだ。後半は(私が最大値のシャワーで攻撃してしまったあとは)放置され、結局自分で洗ったのだからその結論で間違っていないと思う。
「うん? なにか訴えてるの?」
恥ずかしくて身体を隠そうとしたところ、両の手首を、しなやかな指に掴まれた。そのまま顔の横まで持ち上げられ、左右に開かれる。うまく抵抗できない。見た目からは分からないけれど、やはり性別が違うからか力では勝てそうにもない。
「恥ずかしがらないでよ。きみ、いちおう娼婦の設定でしょ?」
動揺する私に、弧をえがく唇が、何かをつぶやいている。ジェスチャーがないだけで、ティアの言葉がまったく分からなくなった。
このひとを、いま初めて、怖いと感じる。
心に恐怖が浮かんだ瞬間、ぱっと手が離れた。笑ったまま、ティアはシャワーのボタンを押して湯を浴び始めた。水を含んだ長い髪が薄いベージュに染まっていき、その濡れた髪を耳にかけて、あっけにとられている私を横目で見下ろし、
「大丈夫だよ。セト君と同じで、一緒にシャワーを浴びるだけ。何もしないよ?」
シャワーを指さし、掌を下に向けて払うような動作をした。くすくすと笑っている。セトの名前が入っていたから、昨日のことをからかわれたのかも知れない。いたずらにしては悪質だ。こちらとしては笑い話になるような体験でもない。
困惑する私に、ティアは唇だけで「今はまだ、ね」言葉をつなげた。
私の髪を指ですくい上げ、
「髪、洗ってあげようか?」
私は、彼の顔を見たまま、ずっと反応できずにいる。反対の手で髪を洗うジェスチャーをしたから、なんとなく理解はできたけれど——けれど、彼が何を考えているのか、分からない。
あれほど穏やかで優しい印象を受けていた人なのに。意識的に視界にいれないようにしているが、否でも分かる。体つきは思っていたよりもしっかりしていて、私よりもはるかに力があった。雰囲気が女性的とはいえ、女性ではないのだ。そう、彼は女性ではない。そしてその事実は、私の身体を例の対価として消費できるということ。
微笑んだままの彼の顔が、サクラのそれと重なる。
——皆が優しくしてくれるのは、お前が、身体で代償を払うからだろう?
呪いの言葉が、記憶からあふれて、耳鳴りのように響いている。
眼が熱い。いっそ泣いてしまえたらいいのに、それが無意味であると知っているからか、泣くに泣けない。なんのために、私はここにいるのだろう。
「……あれ? もしかして、僕のこと……嫌いになっちゃった?」
無邪気な声でなにかを問う、美しい青年。その芝居がかった姿に、彼のことがよりいっそう分からなくなる。
「反応してくれないと分からないよ? 黙ったままなら……イエスってことでいい?」
せっけんの泡が排出されるところに手を伸ばしたティアが、泡を拾って私の髪をなでる。慣れたようすで、私の髪を洗い始める。硬直したままの私を見て、ふいに、ばつが悪そうに眉尻を下げた。
「……ごめん。ちょっと意地悪だったかも」
ティアの唇からため息がもれた。途端に、不穏な空気が霧散する。訳が分からないままの私に、彼はもう一度はっきりと、
「……ごめんね?」
それが謝罪だと分かったのは、なぜだろう。元のやわらかな雰囲気をまとって、彼は困ったように眉を八の字にしたまま、私の顔を気遣うようにのぞき込んだ。
「怒ってる? ……というより、怖がらせちゃったみたいだね……」
苦笑するその綺麗な顔には、もう先ほどのわざとらしさはない。
「もしかして、昨日の夜……セト君、乱暴だった? ……そういえば機嫌が悪かったよね……きみが、抵抗でもしたの? ……ごめんね。僕は、セト君と違ってちゃんと優しくするから……だから、そんなに怖がらないで」
よしよしと頭をなでてくる掌越しに、ティアの人形のような顔を見上げた。温かな湯に当たったせいか、皮膚がうっすらと色付いている。その姿が、彼は人形ではなく人間なのだと安心させてくれる。心のない人形ではない、と。
彼のことがわからない。そんなふうに戸惑ったが、そもそも出会ってわずかな時間しか経っていない。
ときおり空気の変わる彼は、私で遊んでいるのか、それとも試しているのか。
——あるいは、まったく私に関係のない理由で、身にまとう雰囲気をかえている可能性だって、ある。
「……ね、もう気づいているとは思うけど……今夜、僕が君と寝るつもりなんだ。……いい?」
ティアの細い指が、彼と私を交互にさした。そして、そのまま私の鎖骨の中心に、そっとその指先を当てる。
その意味を理解して、答えるために、私はようやく口を開いた。
「……はい」
はたして、肯定しか教えてもらっていない私に、選択肢なんてあるのだろうか。
「うしろ、向いてくれる?」
ティアが長い指先をくるりと回す。私は背中を見せた。ティアが背中に触れて、ワンピースが緩んでいくのがわかる。あっさり後ろを向いておきながらなんだが、毎回誰かに手伝ってもらう必要があるのは厄介ではないだろうか。なにか工夫できないだろうか。
そんなことを考えていると、ティアの手が肩に触れた。布越しではなく、素肌に直接、ひんやりとした手が当たる。
どきりとして距離をとった。振り返ると、ティアは変わらず、微笑んだまま。
「ん? 自分で脱ぎたいの? ……いいよ、どうぞ」
ティアが両手を上げた。お手上げ、のポーズにも見える。くるりと私に背を向けた。
「見えないように後ろを向いておくね。どうせ見るんだけど……アリスちゃんの心の準備とか、あるかも知れないしね?」
よどみなく何かを話しているが、背中だけでは分からない。ひとまずシャワールームに入ることを優先しようと思い、服を脱いで裸になった。服は床にたたんで置いておく。ティアに告げるべきか迷ったが、ドアが閉まれば入室したことは分かってもらえるだろうし、黙って閉めるボタンを押した。そういえば、これは鍵を掛けられないのだろうか。
ドア付近のボタンを見ていると、それらしい錠前のマークがあった。トイレを使う際にも思ったが、どの電化製品も一目で用途が分かるような仕様になっているし、あたりまえの動作は自動的だ。彼らはよく話しかけているから、声でも反応するのだろう。
ところで、これは鍵を掛けてもいいのだろうか。この錠前のマークを押せば、ドアがロックされる気がする。まさか頭上から危険な物が降ってくるとか、そういう突拍子もないボタンではないだろうし。とりあえず押してみようか。そもそもの問題で、勝手に鍵を掛けてしまってもいいのかどうか。
悩んでいると、ドアがするりと開いた。何も押していないのに。
『え』「ん?」
口の中だけでもれた私の声に、別の声でクエスチョンマークが重なった。目の前、まっさらな石膏像のような裸体が。びっくりして顔をあげると、ティアのすみれ色の眼が私を見ていた。目が合う。にっこりとしてドアを閉め、次いでこちらに手を伸ばし、私の目前にあった錠前のマークに触れた。
「そうだね、ここでロックできるね」
ティアの指先が離れ、錠前の絵が緑に光る。はずれていた錠前のマークが、きちんと締まったマークに切り替わった。
「僕を入れたくなかったのかな? それなら……押すのがすこし、遅かったね」
近づいたティアの唇が、耳許でささやいた。長い白金の髪がすぐそばで、さらさらと流れていく。なにが起こっているのか。なぜ彼が入ってきたのか。どうして裸なのか。
『あのっ……私、ひとりで洗えます』
絞りだすように出したセリフは、答えとして正しいのだろうか。この世界では身体を洗ってあげるのが普通なのかと。そんな考えが昨日は浮かんでいたが、観察していたところ誰もが個人でシャワーを浴びていた。昨日のセトは、おそらく使い方を説明してくれたのだ。後半は(私が最大値のシャワーで攻撃してしまったあとは)放置され、結局自分で洗ったのだからその結論で間違っていないと思う。
「うん? なにか訴えてるの?」
恥ずかしくて身体を隠そうとしたところ、両の手首を、しなやかな指に掴まれた。そのまま顔の横まで持ち上げられ、左右に開かれる。うまく抵抗できない。見た目からは分からないけれど、やはり性別が違うからか力では勝てそうにもない。
「恥ずかしがらないでよ。きみ、いちおう娼婦の設定でしょ?」
動揺する私に、弧をえがく唇が、何かをつぶやいている。ジェスチャーがないだけで、ティアの言葉がまったく分からなくなった。
このひとを、いま初めて、怖いと感じる。
心に恐怖が浮かんだ瞬間、ぱっと手が離れた。笑ったまま、ティアはシャワーのボタンを押して湯を浴び始めた。水を含んだ長い髪が薄いベージュに染まっていき、その濡れた髪を耳にかけて、あっけにとられている私を横目で見下ろし、
「大丈夫だよ。セト君と同じで、一緒にシャワーを浴びるだけ。何もしないよ?」
シャワーを指さし、掌を下に向けて払うような動作をした。くすくすと笑っている。セトの名前が入っていたから、昨日のことをからかわれたのかも知れない。いたずらにしては悪質だ。こちらとしては笑い話になるような体験でもない。
困惑する私に、ティアは唇だけで「今はまだ、ね」言葉をつなげた。
私の髪を指ですくい上げ、
「髪、洗ってあげようか?」
私は、彼の顔を見たまま、ずっと反応できずにいる。反対の手で髪を洗うジェスチャーをしたから、なんとなく理解はできたけれど——けれど、彼が何を考えているのか、分からない。
あれほど穏やかで優しい印象を受けていた人なのに。意識的に視界にいれないようにしているが、否でも分かる。体つきは思っていたよりもしっかりしていて、私よりもはるかに力があった。雰囲気が女性的とはいえ、女性ではないのだ。そう、彼は女性ではない。そしてその事実は、私の身体を例の対価として消費できるということ。
微笑んだままの彼の顔が、サクラのそれと重なる。
——皆が優しくしてくれるのは、お前が、身体で代償を払うからだろう?
呪いの言葉が、記憶からあふれて、耳鳴りのように響いている。
眼が熱い。いっそ泣いてしまえたらいいのに、それが無意味であると知っているからか、泣くに泣けない。なんのために、私はここにいるのだろう。
「……あれ? もしかして、僕のこと……嫌いになっちゃった?」
無邪気な声でなにかを問う、美しい青年。その芝居がかった姿に、彼のことがよりいっそう分からなくなる。
「反応してくれないと分からないよ? 黙ったままなら……イエスってことでいい?」
せっけんの泡が排出されるところに手を伸ばしたティアが、泡を拾って私の髪をなでる。慣れたようすで、私の髪を洗い始める。硬直したままの私を見て、ふいに、ばつが悪そうに眉尻を下げた。
「……ごめん。ちょっと意地悪だったかも」
ティアの唇からため息がもれた。途端に、不穏な空気が霧散する。訳が分からないままの私に、彼はもう一度はっきりと、
「……ごめんね?」
それが謝罪だと分かったのは、なぜだろう。元のやわらかな雰囲気をまとって、彼は困ったように眉を八の字にしたまま、私の顔を気遣うようにのぞき込んだ。
「怒ってる? ……というより、怖がらせちゃったみたいだね……」
苦笑するその綺麗な顔には、もう先ほどのわざとらしさはない。
「もしかして、昨日の夜……セト君、乱暴だった? ……そういえば機嫌が悪かったよね……きみが、抵抗でもしたの? ……ごめんね。僕は、セト君と違ってちゃんと優しくするから……だから、そんなに怖がらないで」
よしよしと頭をなでてくる掌越しに、ティアの人形のような顔を見上げた。温かな湯に当たったせいか、皮膚がうっすらと色付いている。その姿が、彼は人形ではなく人間なのだと安心させてくれる。心のない人形ではない、と。
彼のことがわからない。そんなふうに戸惑ったが、そもそも出会ってわずかな時間しか経っていない。
ときおり空気の変わる彼は、私で遊んでいるのか、それとも試しているのか。
——あるいは、まったく私に関係のない理由で、身にまとう雰囲気をかえている可能性だって、ある。
「……ね、もう気づいているとは思うけど……今夜、僕が君と寝るつもりなんだ。……いい?」
ティアの細い指が、彼と私を交互にさした。そして、そのまま私の鎖骨の中心に、そっとその指先を当てる。
その意味を理解して、答えるために、私はようやく口を開いた。
「……はい」
はたして、肯定しか教えてもらっていない私に、選択肢なんてあるのだろうか。
30
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。
クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。
3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。
ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。
「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる