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旅は道連れ
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やはり黒川温泉か。
写真から見ても、木が沢山あって陽射しが少ない。全体が狭くて日光に当たる時間も減らせそう。あとランキング1位だし。
どうせ行くなら、ティア独りでは絶対に行けない遠い所……と、雑誌を眺めるレイコがいるのは、またしてもティアの部屋。
「——や、おかしいよ! レイちゃん、当然のようにうちに帰って来すぎだよ!」
キッチンでつまみを用意していたティアの、唐突な突っこみが響いた。
リビングのソファに腰かけるレイコは、雑誌から目を上げる。大げさにきょとりとしてみせた。
「旅行の計画は、一緒に考える必要があるでしょ?」
「雑誌を読んでるだけだよね? 僕いま必要じゃないよね?」
「決めた、黒川温泉にしよう」
「えっ、僕の意思なく決めた?」
「日程は、宿の空き具合かつ金額と相談するね」
「僕とは相談しないのっ?」
「ティアくんはほぼ空いてるでしょ?」
「そうだけど……」
納得のいっていないティアの顔から、ダイニングテーブルの上に置かれていた紙袋へと目を流した。
「私、テーブルの上、片付けようか?」
「え? ……あ、それはレイちゃんへのプレゼントだから、貰っていって」
「私に? なに?」
「日焼け止め」
「…………まさか、また高い物を……」
「や、高くないよ。普段使いの日焼け止めレビューを頼まれて……いろいろ試したなかで、よかったから。どうぞ」
テーブルに寄って、紙袋をのぞき取り出してみる。内容物は、ふたつ。
「アクアシャボン……あ! スティックタイプ!」
「そ、塗りなおし用に。僕が試したのはもうひとつのポンプのほうで……そっちは玄関にでも置いておいて」
「ポンプか……今のがなくなったら、楽そうなスプレーでも買おうと思ってたんだけどな……」
「うん、きみは絶対に買わないから。あとスプレーは吸っちゃう心配もあるし……素直に塗って?」
「……はい、先生」
「いいこだね?」
にこっと笑う顔が、つまみのプレートを持ってテーブルへ。
その顔に、横目を投げる。
「早々に日焼け止め買ってくるなんて……なんだかんだティアくんも、旅行かなり楽しみにしてるよね?」
ふっと笑みを鳴らす唇は、否定しない。
代わりに、
「スティックタイプだと、旅行にも便利でしょ?」
「……ありがと」
新しい日焼け止めを手に、旅行への期待を募らせる。
そんなレイコに、ティアが普段の響きでアドバイスを加えた。
「日焼け止めは、来年まで保たないから、ちゃんと使いきってね」
「えっ……そうなの?」
「なるべくワンシーズンで。酸化した液体を塗ってるようなものだからね?」
「………………」
「……きみが使ってるの……いつの日焼け止め?」
「……記憶にない……」
あきれかえったティアの目は、肩をすくめて受け流しておいた。
写真から見ても、木が沢山あって陽射しが少ない。全体が狭くて日光に当たる時間も減らせそう。あとランキング1位だし。
どうせ行くなら、ティア独りでは絶対に行けない遠い所……と、雑誌を眺めるレイコがいるのは、またしてもティアの部屋。
「——や、おかしいよ! レイちゃん、当然のようにうちに帰って来すぎだよ!」
キッチンでつまみを用意していたティアの、唐突な突っこみが響いた。
リビングのソファに腰かけるレイコは、雑誌から目を上げる。大げさにきょとりとしてみせた。
「旅行の計画は、一緒に考える必要があるでしょ?」
「雑誌を読んでるだけだよね? 僕いま必要じゃないよね?」
「決めた、黒川温泉にしよう」
「えっ、僕の意思なく決めた?」
「日程は、宿の空き具合かつ金額と相談するね」
「僕とは相談しないのっ?」
「ティアくんはほぼ空いてるでしょ?」
「そうだけど……」
納得のいっていないティアの顔から、ダイニングテーブルの上に置かれていた紙袋へと目を流した。
「私、テーブルの上、片付けようか?」
「え? ……あ、それはレイちゃんへのプレゼントだから、貰っていって」
「私に? なに?」
「日焼け止め」
「…………まさか、また高い物を……」
「や、高くないよ。普段使いの日焼け止めレビューを頼まれて……いろいろ試したなかで、よかったから。どうぞ」
テーブルに寄って、紙袋をのぞき取り出してみる。内容物は、ふたつ。
「アクアシャボン……あ! スティックタイプ!」
「そ、塗りなおし用に。僕が試したのはもうひとつのポンプのほうで……そっちは玄関にでも置いておいて」
「ポンプか……今のがなくなったら、楽そうなスプレーでも買おうと思ってたんだけどな……」
「うん、きみは絶対に買わないから。あとスプレーは吸っちゃう心配もあるし……素直に塗って?」
「……はい、先生」
「いいこだね?」
にこっと笑う顔が、つまみのプレートを持ってテーブルへ。
その顔に、横目を投げる。
「早々に日焼け止め買ってくるなんて……なんだかんだティアくんも、旅行かなり楽しみにしてるよね?」
ふっと笑みを鳴らす唇は、否定しない。
代わりに、
「スティックタイプだと、旅行にも便利でしょ?」
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そんなレイコに、ティアが普段の響きでアドバイスを加えた。
「日焼け止めは、来年まで保たないから、ちゃんと使いきってね」
「えっ……そうなの?」
「なるべくワンシーズンで。酸化した液体を塗ってるようなものだからね?」
「………………」
「……きみが使ってるの……いつの日焼け止め?」
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あきれかえったティアの目は、肩をすくめて受け流しておいた。
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