払暁の魔獣使い フォルナ

小鳥葵

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10.再会

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 ◆

「フォルナさん、病人を見てくださり、どうもありがとうございました。あんたの名は世界中に広めておくのじゃ!」

「いえいえ。薬師として当然のこと。また何かあったら遠慮なく呼んでください。暫くは水の国に滞在しますから。では町長さん、お元気で。グアナ!」

 フォルナはグアナに乗って湿地の町を出た。


「そうだ、ルルートの勉強のために薬草を採る約束をしてたわね。少し寄り道していきましょう、グアナ」

 フォルナとグアナは、遺跡の近くで薬草を採った。

「ここにはたくさん良さそうな薬草がたくさんあるのに気づいてたのよ、グアナ。偉い? ほら、これはポペィ。体を落ち着かせて、睡眠の質を良くする果実になるわ。リュキが最近寝れていないようだから採っていきましょうか」


 フォルナは花畑でポペィを必死に探していた。

「グアナ、草ばっか食べないで仕事なさい。これはリュキのためなのよ。いつも頑張ってるリュキに何かお礼しないといけないでしょ……」

「相変わらず、魔獣を連れて元気そうだな」


 突然背後から男の声が聞こえ、フォルナは瞬間的にブーメランを構えて振り返った。

 誰、と言おうとしたが、フォルナの中でその言葉は出かかり、止まった。

 そこにはどこか見覚えのある顔の男がフォルナを見下ろしていた。


「フォルナ、俺のことを忘れたのか?」

 自分の名を知っている。相変わらず魔獣を連れて、と男は言った。

 男は民に見られる高身長、切れ長の目。


(まさか)


「…………シナン」

「正解だ。フォルナ。……12年ぶりに、なるか。久しぶりだな」


(あの、私がトチを連れて、力が見つかってからもう12年か)

 フォルナはブーメランを懐にしまった。


「久しぶりね……私は今とても驚いているわ。夜の国は滅びていた……なのに、なぜあなたが私の前にいるの? 私は亡霊を見ているのかしら」

「亡霊じゃない」

 シナンは、フォルナの肩に手を置く。

 シナンとの距離が、近くなった。


「そのことについて、話したいことがある。おまえを、ずっと探していた」

 シナンはフォルナの瞳を真っすぐ見つめた。


「俺と、一緒に来てくれ。国が滅びた真相を教える」

 フォルナは頷いた。


 シナンは、指笛を吹く。

 シナンの背後から、数人の男達が草木の中から現れた。

「一体、何?」

「大丈夫だ。おまえの魔獣を怖がっていただけ。さあ、行こう。落ち着いて話せる場所で。この馬に乗れ」


 シナンは男が引き連れた火馬を指差した。

「私にはグアナがいる。その馬には、乗らないわ」

「俺の部下は、そいつをとても怖がっている。そして、俺もだ。そのティメールは、俺達が管理する。絶対に攻撃しないことを誓う。だから……お願いだ」


 シナンは真剣な眼差しで、フォルナを見つめた。

 フォルナは長い間見つめていたが、グアナを男達に渡した。


 シナンはフォルナに、火馬に乗るよう仕草した。

 フォルナは首輪をつけた男達を見た。彼らはとてもグアナを恐れているのがわかった。


「グアナ‥‥ごめんなさい。私は少しの間あなたと離れるけれど、暴れたりせずに辛抱よ。わかった?」

 グアナは首輪を嫌がっていたが、フォルナの言葉に落ち着いてきた。

 フォルナはシナンが乗る火馬に跨った。


「さあ、行こう!」

 フォルナとシナンが乗る火馬が遠ざかっていくのを、グアナはじっと眺めていることしかできなかった。
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