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第2話 1:2000
◆◆◆
「なるほど。イブキ様は……別世界から来られた『男』なのねすね」
説明がてら、お互いに自己紹介を済ませる。
どうやらこの世界は、俺の知る地球じゃないっぽい。女山賊然り、女騎士然り。男が希少種というのも、地球では有り得ない話だ。
女騎士・ミューレンさんはふむと口元を手で覆うと、小さく頷いた。
「わかりました。信じましょう」
「……信じてくれるんですか?」
思わず聞き直してしまった。異世界人とか地球で口にしたら、頭パッパラパーだと思われるのに。
ミューレンさんは真っ直ぐ俺を見つめ、少し苦笑いを浮かべた。
「ええ、まあ。この世界の女は、男に飢えています。もし出歩けば、街中でも襲われる可能性があるでしょう。男はそれを理解しているので、こんな山奥に1人でやって来る者はいません」
その通り過ぎてぐうの音も出ない。あんな風に襲われるとわかってたら、俺だって来ない。
……まあ、ちょっと残念な気持ちもあるけど。
「それでは、イブキ様は行く宛てはない……ということですね?」
「そうですね。なんでこんな場所にいるのか、わかりませんし……」
地球で最後の記憶は、家の玄関を開けた時だ。そこから制服とカバンごと、こっちの世界に飛ばされてしまった。
何が何やら、さっぱりだ。異世界転移ってやつなんだろうか。けど、どうして俺が……?
頭の中で思考が堂々巡りしていると、ミューレンさんが俺の手を握り、ずずいと迫ってきた。
「でしたら、私たちの本部で生活をしてみては?」
「え?」
まさかの申し出に、一瞬思考が停止した。
「町は女性のみで危険ですし、男は基本、大都市で保護されています。ですがここから都市までは、馬車で数ヶ月もかかる旅路。異世界人のイブキ様では、不安でいっぱいでしょう。この世界に慣れるまで、本部で暮らすのはどうかと思いまして……いかがですか?」
キラキラキラ~。物凄く期待している目を向けられてる。
正直ありがたい。こんな場所……しかも性的に危険な場所で、1人で生きられるわけがない。
けど……大丈夫なのだろうか。この人たちも表面上は優しいってだけで、さっきの女山賊みたいに襲ってくるんじゃ……?
俺の疑念を感じ取ったのか、ミューレンさんは慌てて手を離し、首を横に振った。
「あ、安心してください。私たち騎士は、ちゃんと訓練されています。何があっても襲うような真似はしませんし、必ず護るとお約束します」
「……それなら……お願いします」
兎に角にも、ここで断るという選択肢はない。サバイバルスキルもないんだ。ここで置き去りにされたら、間違いなく餓死する。なら、連れて行ってもらった方がまだいい。
「わかりました。それではイブキ様を賓客として、招待致します」
「そんな、大袈裟ですよ」
「何を言いますか。貴方様は男。この世で最も敬われる存在なのです。これくらい当たり前ですよ」
あぁ、そうか。男が希少な世界だから。
うーん、どうも慣れない。普通に接してくれって言っても、この調子じゃ改めてくれないだろう。
ミューレンさんはキョロキョロと周りを見渡し、1人の女騎士に向かって手を挙げた。
「クレン、いいか?」
「はっ、隊長!」
なんと、ミューレンさんは隊長だったのか。どおりで、他の人よりも鎧の細工が豪華だと思った。
クレンさんはこっちに近付くと、兜を脱いで敬礼をする。うわ、この人もめっちゃ美人。さっきの女山賊も美人揃いだったし、この世界には美人しかいないのか?
「クガ・イブキ様を我らの本部へ護送する。馬車の内装を、心地よく過ごしていただく内装に変えよ」
「おっ、男を本部へ……!? わ、わかりました! 直ちに!」
一糸乱れぬ敬礼をし、周りの女騎士たちにも声をかけて馬車へ向かっていった。みんなザワついてるし、キャーキャー言ってるし……。
そんな、俺なんかに気を遣わなくてもいいのに。って、もう今更か。
それより、この世界のことについて知りたい。なんで男が少ないのかも、気になるからな。
「ミューレンさん、この世界には極端に男が少ないみたいですけど、いったい何人いるんですか? 周りがあまりにも男を神聖視し過ぎてる気がするんですけど……」
「そうか……異世界から来たのであれば、驚きますよね。でも、それも仕方ないことなんです。現在、確認されている男の人数は、3万人程。それに対し、女は6千万人もいますから。男を見たことなく生涯を終える女も、珍しくありません」
……は……? 男が3万人で、女が6千万人?
それって単純計算で……1対2000!? どうやって種を存続させてんの……!?
「な、なんでこんなに男が少ないんですか……?」
「これはあくまで、伝説上の話ですが……数千年前、大陸の隅に、凄まじい力を持った魔女が住んでいたそうです。しかし……その……容姿がとても醜く、どんな男でも寄り付かなかったそうです。それに怒り狂い、男を嫌いになった魔女が世界に呪いを掛け、男が生まれにくい世界となった。と聞いています」
自分勝手で世界を巻き込むの、最高に異世界って感じだ。
しかしまあ、魔女もいる世界なんだなぁ。てことは、魔法とかもあるのか。ちょっとワクワクしてきた。……いやワクワクしてる場合じゃないんだけどさ。
「なるほど。イブキ様は……別世界から来られた『男』なのねすね」
説明がてら、お互いに自己紹介を済ませる。
どうやらこの世界は、俺の知る地球じゃないっぽい。女山賊然り、女騎士然り。男が希少種というのも、地球では有り得ない話だ。
女騎士・ミューレンさんはふむと口元を手で覆うと、小さく頷いた。
「わかりました。信じましょう」
「……信じてくれるんですか?」
思わず聞き直してしまった。異世界人とか地球で口にしたら、頭パッパラパーだと思われるのに。
ミューレンさんは真っ直ぐ俺を見つめ、少し苦笑いを浮かべた。
「ええ、まあ。この世界の女は、男に飢えています。もし出歩けば、街中でも襲われる可能性があるでしょう。男はそれを理解しているので、こんな山奥に1人でやって来る者はいません」
その通り過ぎてぐうの音も出ない。あんな風に襲われるとわかってたら、俺だって来ない。
……まあ、ちょっと残念な気持ちもあるけど。
「それでは、イブキ様は行く宛てはない……ということですね?」
「そうですね。なんでこんな場所にいるのか、わかりませんし……」
地球で最後の記憶は、家の玄関を開けた時だ。そこから制服とカバンごと、こっちの世界に飛ばされてしまった。
何が何やら、さっぱりだ。異世界転移ってやつなんだろうか。けど、どうして俺が……?
頭の中で思考が堂々巡りしていると、ミューレンさんが俺の手を握り、ずずいと迫ってきた。
「でしたら、私たちの本部で生活をしてみては?」
「え?」
まさかの申し出に、一瞬思考が停止した。
「町は女性のみで危険ですし、男は基本、大都市で保護されています。ですがここから都市までは、馬車で数ヶ月もかかる旅路。異世界人のイブキ様では、不安でいっぱいでしょう。この世界に慣れるまで、本部で暮らすのはどうかと思いまして……いかがですか?」
キラキラキラ~。物凄く期待している目を向けられてる。
正直ありがたい。こんな場所……しかも性的に危険な場所で、1人で生きられるわけがない。
けど……大丈夫なのだろうか。この人たちも表面上は優しいってだけで、さっきの女山賊みたいに襲ってくるんじゃ……?
俺の疑念を感じ取ったのか、ミューレンさんは慌てて手を離し、首を横に振った。
「あ、安心してください。私たち騎士は、ちゃんと訓練されています。何があっても襲うような真似はしませんし、必ず護るとお約束します」
「……それなら……お願いします」
兎に角にも、ここで断るという選択肢はない。サバイバルスキルもないんだ。ここで置き去りにされたら、間違いなく餓死する。なら、連れて行ってもらった方がまだいい。
「わかりました。それではイブキ様を賓客として、招待致します」
「そんな、大袈裟ですよ」
「何を言いますか。貴方様は男。この世で最も敬われる存在なのです。これくらい当たり前ですよ」
あぁ、そうか。男が希少な世界だから。
うーん、どうも慣れない。普通に接してくれって言っても、この調子じゃ改めてくれないだろう。
ミューレンさんはキョロキョロと周りを見渡し、1人の女騎士に向かって手を挙げた。
「クレン、いいか?」
「はっ、隊長!」
なんと、ミューレンさんは隊長だったのか。どおりで、他の人よりも鎧の細工が豪華だと思った。
クレンさんはこっちに近付くと、兜を脱いで敬礼をする。うわ、この人もめっちゃ美人。さっきの女山賊も美人揃いだったし、この世界には美人しかいないのか?
「クガ・イブキ様を我らの本部へ護送する。馬車の内装を、心地よく過ごしていただく内装に変えよ」
「おっ、男を本部へ……!? わ、わかりました! 直ちに!」
一糸乱れぬ敬礼をし、周りの女騎士たちにも声をかけて馬車へ向かっていった。みんなザワついてるし、キャーキャー言ってるし……。
そんな、俺なんかに気を遣わなくてもいいのに。って、もう今更か。
それより、この世界のことについて知りたい。なんで男が少ないのかも、気になるからな。
「ミューレンさん、この世界には極端に男が少ないみたいですけど、いったい何人いるんですか? 周りがあまりにも男を神聖視し過ぎてる気がするんですけど……」
「そうか……異世界から来たのであれば、驚きますよね。でも、それも仕方ないことなんです。現在、確認されている男の人数は、3万人程。それに対し、女は6千万人もいますから。男を見たことなく生涯を終える女も、珍しくありません」
……は……? 男が3万人で、女が6千万人?
それって単純計算で……1対2000!? どうやって種を存続させてんの……!?
「な、なんでこんなに男が少ないんですか……?」
「これはあくまで、伝説上の話ですが……数千年前、大陸の隅に、凄まじい力を持った魔女が住んでいたそうです。しかし……その……容姿がとても醜く、どんな男でも寄り付かなかったそうです。それに怒り狂い、男を嫌いになった魔女が世界に呪いを掛け、男が生まれにくい世界となった。と聞いています」
自分勝手で世界を巻き込むの、最高に異世界って感じだ。
しかしまあ、魔女もいる世界なんだなぁ。てことは、魔法とかもあるのか。ちょっとワクワクしてきた。……いやワクワクしてる場合じゃないんだけどさ。
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