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Episode2・魔界の玉座のかたわらに
家族で初めての洞窟探検13
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◆◆◆◆◆◆
魔界の中心にある魔王の居城。
ハウストは政務中の短い休憩時間をサンルームで過ごしていた。
チェアにゆったり座り、一人で紅茶を飲む。茶菓子に用意されたのはブレイラ手製の焼き菓子だった。休憩時間に召し上がってくださいと用意されていたのだ。
手製の菓子を用意されていたのは喜ばしいが本人がいてくれればもっと嬉しい。しかし残念ながら最近のブレイラは御披露目式典の準備で多忙なうえ、毎日ゼロスやイスラの世話までしている。もちろんハウストも手伝っているが魔界の統治者ゆえにそれも限界があるのだ。
ハウストは紅茶を飲もうとカップに手を伸ばし、サンルームに降り注ぐ陽射しにキラリと指が光った。
いや、光ったのは正しくは指ではなく、左手薬指に嵌められた指輪・祈り石。
鍾乳洞探検から二週間が経過し、ドミニクに依頼していた指輪の加工が終了して昨日届いたのである。
環の指輪と揃いになるように作られた指輪、それは二人にとって婚礼の指輪を意味していた。歴代魔王と王妃のように二つの環の指輪ではないが、ハウストにとっては充分なものだ。
陽射しに反射して輝くそれにハウストは悪い気がしない。
いい気分で眺めていると、サンルームにリュシアンが姿を見せた。
南都の大公爵だが二日前から王都へ政務で訪れていたのだ。
「失礼します。魔王様、今よろしいでしょうか」
「ああ、いいぞ」
許すとリュシアンは恭しく最敬礼してサンルームに入ってくる。
「休憩のところ申し訳ありません。本日、王都を発ちますのでご挨拶に参りました」
「御苦労だったな」
「いいえ、御用命あらばまたなんなりとお呼び出し下さい」
そう言ってリュシアンは一礼するも、「あ」と声を出す。
ハウストの指に見慣れぬ指輪が嵌められていたのだ。しかも環の指輪に形が似ており、嵌められた石の色は琥珀色。王妃の瞳の色である。
「その指輪は、もしかして……」
「ああ。南都の鍾乳洞で手に入れた祈り石だ。ブレイラから贈られた」
「これが祈り石ですか! 伝記でしか読んだことがありませんでしたが本物が見られるとはっ」
感歎するリュシアンにハウストはニヤリと笑う。
「婚礼の証だ。まさかブレイラから贈られるとは思わなかった」
「王妃様から、ですか……。しかも婚礼の証」
「悪くないだろう。……ああ、お前にも感謝した方がいいか?」
「えっ……」
リュシアンが固まった。
顔が強張り、みるみるうちに血の気が引いていく。
そんなリュシアンにハウストは薄く笑う。
「ブレイラがどうしてもと駄々を捏ねたんだ。俺に指輪を贈りたいと、俺が自分のものだという証が欲しいと」
「そ、それはっ……」
口ごもるリュシアンにハウストが目を細めた。
リュシアンはますます青褪めたが、ハウストは構わずに言葉を続ける。
「俺が気付いていないと思っていたか? フェリシアを夜会に呼び、ブレイラを焚きつけたのはお前だな」
完全に沈黙したリュシアンにハウストは喉奥で笑う。
今のリュシアンはまさに蛇に睨まれた蛙。
今、この魔王が寵愛するのは王妃のみ。認める認めないは別にして、それを知らぬ訳ではないのだ。
「隠すなよ。別に怒っているわけじゃない、この指輪は気に入っている」
「ま、魔王様……」
怒っていないと言われても心から安堵など出来ない。
リュシアンがブレイラを王妃として認めたくないのは魔界を思ってのものだが、やはりこれとそれとは別なのだ。
「魔王様の御心に反したこと、申し開きもございません」
「なにを謝る。怒っていないと言っただろう」
「しかし、王妃様に」
「王妃のことは王妃が解決する。ブレイラ自身もそう思っているはずだ」
「王妃様が、ですか?」
意外そうな顔をするリュシアンにハウストは苦笑する。
ブレイラの美貌は黙っていれば儚げな印象を与えることもあるが、心根はそれを裏切ることをハウストは嫌というほど知っていた。
「あれは自分に降りかかった火の粉は自分で払うぞ。しかも怒らせると結構面倒なんだ」
「はあ……」
いまいち納得できず、曖昧な返事しかできない。
リュシアンのブレイラに対する印象は、ハウストの隣で控えめに寄り添っている印象しかない。あえて付け足すなら、自分はさぞかしブレイラに嫌われているだろうということくらいだ。
「まあいい、いずれ分かる」
「魔王様がそうおっしゃるなら……」
半信半疑で頷きつつ、そういえばとリュシアンがある男の嘆きを思い出す。
「ドミニクが悔しがっていました。蛇の生殺しだと……」
「やはり怒ってしまったか。だがもう充分だろう。祈り石は今回を限りに永遠に鍾乳洞から持ち出されることはない。だから奴はこの世界で唯一祈り石を加工した金細工師になったんだ」
「もっと彫りたいらしいです」
「我慢しろと伝えろ」
ハウストは面白そうに答えた。
そしてブレイラから贈られた祈り石の指輪を見つめる。
そう、ハウストは鍾乳洞から脱出した後、鍾乳洞への魔術を更に強いものにした。誰も立ち入ることができないように。万が一、誰かが立ち入って奥へ進んだとしても鍾乳洞に生息する巨大モグラが祈り石の番人となるように強化までしておいたくらいだ。
それというのも、祈り石が外へ流出しないように。
ブレイラから贈られた石は自分だけのものでなければ困るのだ。
ブレイラは祈り石が環の指輪のような婚礼の指輪になることを望んだ。環の指輪はこの世に唯一の指輪なのだから、この祈り石の指輪も唯一であるべきだろう。
「……だめだな」
ハウストは祈り石の指輪を見ながら口元を手で覆った。
だめだ。気を抜くと口元が緩む。
この石は自分とブレイラの互いの独占欲が形になったようなものなのだ。
思い出すのはハンマーとノミで原石をひたすら打っていたブレイラ。それはまるで呪……、ではなく、祈りの姿だった。
「魔王様……」
「フェリクトールには黙っていろよ。あいつは人のことを浮かれているだのなんだと煩いんだ」
「ハハ……、なんと申し上げてよろしいやら……」
フェリクトールの気持ちが分かりすぎてリュシアンは笑って誤魔化すしかない。
そんなリュシアンをハウストはぎろりと睨もうとしたが、
「ハウスト、よろしいですか?」
耳に心地よく響く声。
見ればブレイラがサンルームの入口に立っている。
ブレイラはリュシアンがいることに気付くと丁寧にお辞儀した。
「すみません。お邪魔したようですね、後ほど伺います」
「いえ、私は退室しますので王妃様はそのままで」
出直そうとしたブレイラをリュシアンが引き止める。
リュシアンがハウストに向かって恭しく最敬礼した。
「それでは魔王様、そろそろ失礼します」
「ああ、気を付けて帰れ」
頷いたハウストにリュシアンはまた深々と頭を下げる。
踵を返してサンルームの出口へ歩いていった。
そしてブレイラとすれ違う時、「王妃様もお元気で」とリュシアンが頭を下げる。
ピリッ。空気に電気が走った。
二人の目が合った瞬間、なんともいえぬ緊張感が走ったのだ。
ブレイラは涼しい顔で返礼してリュシアンを見送ったが、その内心はいろんな思いが渦を巻いていたことだろう。
……俺の王妃はなかなか過激派だ。
ハウストは口元だけで笑うと、ブレイラをサンルームに迎えたのだった。
◆◆◆◆◆◆
イスラは体術のお稽古、ゼロスはお昼寝、私は休憩時間。
ハウストが執務室近くのサンルームにいると聞き、特に用事はないけれど向かいました。
用事はないけど会いたくて、会いに行って、二人きりの時間を過ごす。まさに夫婦の特権というものですよね。それに今すぐ見て欲しい物があるのです。
「ハウスト、よろしいですか?」
私は上機嫌でサンルームに顔を出しましたが。
……なぜ、この男がここにいるのか。
リュシアンをじろりと睨みそうになって、ああいけませんね、これは王妃らしくないです。ハウストだって見ています。
「すみません。お邪魔したようですね、後ほど伺います」
穏やかさを意識して言いました。
今こそ王妃の余裕を見せてやるのです。
先日の夜会の時のように引いてあげません。
「いえ、私は退出しますので王妃様はそのままで」
リュシアンは丁寧に言うとハウストに恭しく最敬礼する。
「それでは魔王様、そろそろ失礼します」
「ああ、気を付けて帰れ」
ハウストがそう答えるとリュシアンはまた一礼して出口に向かってきました。
私の前で立ち止まり、私にも一礼する。
「王妃様もお元気で」
「南都に戻られるのですね」
「はい」
「道中お気をつけて」
「勿体ない御言葉。それでは失礼します」
そう言ってリュシアンは立ち去りました。
それを見送り、ほっと息をつく。
嫌味の一つも言われるかと思いましたが、さすがにハウストの前では黙っていてくれるようです。
私は改めてサンルームのハウストに向き直りました。
魔界の中心にある魔王の居城。
ハウストは政務中の短い休憩時間をサンルームで過ごしていた。
チェアにゆったり座り、一人で紅茶を飲む。茶菓子に用意されたのはブレイラ手製の焼き菓子だった。休憩時間に召し上がってくださいと用意されていたのだ。
手製の菓子を用意されていたのは喜ばしいが本人がいてくれればもっと嬉しい。しかし残念ながら最近のブレイラは御披露目式典の準備で多忙なうえ、毎日ゼロスやイスラの世話までしている。もちろんハウストも手伝っているが魔界の統治者ゆえにそれも限界があるのだ。
ハウストは紅茶を飲もうとカップに手を伸ばし、サンルームに降り注ぐ陽射しにキラリと指が光った。
いや、光ったのは正しくは指ではなく、左手薬指に嵌められた指輪・祈り石。
鍾乳洞探検から二週間が経過し、ドミニクに依頼していた指輪の加工が終了して昨日届いたのである。
環の指輪と揃いになるように作られた指輪、それは二人にとって婚礼の指輪を意味していた。歴代魔王と王妃のように二つの環の指輪ではないが、ハウストにとっては充分なものだ。
陽射しに反射して輝くそれにハウストは悪い気がしない。
いい気分で眺めていると、サンルームにリュシアンが姿を見せた。
南都の大公爵だが二日前から王都へ政務で訪れていたのだ。
「失礼します。魔王様、今よろしいでしょうか」
「ああ、いいぞ」
許すとリュシアンは恭しく最敬礼してサンルームに入ってくる。
「休憩のところ申し訳ありません。本日、王都を発ちますのでご挨拶に参りました」
「御苦労だったな」
「いいえ、御用命あらばまたなんなりとお呼び出し下さい」
そう言ってリュシアンは一礼するも、「あ」と声を出す。
ハウストの指に見慣れぬ指輪が嵌められていたのだ。しかも環の指輪に形が似ており、嵌められた石の色は琥珀色。王妃の瞳の色である。
「その指輪は、もしかして……」
「ああ。南都の鍾乳洞で手に入れた祈り石だ。ブレイラから贈られた」
「これが祈り石ですか! 伝記でしか読んだことがありませんでしたが本物が見られるとはっ」
感歎するリュシアンにハウストはニヤリと笑う。
「婚礼の証だ。まさかブレイラから贈られるとは思わなかった」
「王妃様から、ですか……。しかも婚礼の証」
「悪くないだろう。……ああ、お前にも感謝した方がいいか?」
「えっ……」
リュシアンが固まった。
顔が強張り、みるみるうちに血の気が引いていく。
そんなリュシアンにハウストは薄く笑う。
「ブレイラがどうしてもと駄々を捏ねたんだ。俺に指輪を贈りたいと、俺が自分のものだという証が欲しいと」
「そ、それはっ……」
口ごもるリュシアンにハウストが目を細めた。
リュシアンはますます青褪めたが、ハウストは構わずに言葉を続ける。
「俺が気付いていないと思っていたか? フェリシアを夜会に呼び、ブレイラを焚きつけたのはお前だな」
完全に沈黙したリュシアンにハウストは喉奥で笑う。
今のリュシアンはまさに蛇に睨まれた蛙。
今、この魔王が寵愛するのは王妃のみ。認める認めないは別にして、それを知らぬ訳ではないのだ。
「隠すなよ。別に怒っているわけじゃない、この指輪は気に入っている」
「ま、魔王様……」
怒っていないと言われても心から安堵など出来ない。
リュシアンがブレイラを王妃として認めたくないのは魔界を思ってのものだが、やはりこれとそれとは別なのだ。
「魔王様の御心に反したこと、申し開きもございません」
「なにを謝る。怒っていないと言っただろう」
「しかし、王妃様に」
「王妃のことは王妃が解決する。ブレイラ自身もそう思っているはずだ」
「王妃様が、ですか?」
意外そうな顔をするリュシアンにハウストは苦笑する。
ブレイラの美貌は黙っていれば儚げな印象を与えることもあるが、心根はそれを裏切ることをハウストは嫌というほど知っていた。
「あれは自分に降りかかった火の粉は自分で払うぞ。しかも怒らせると結構面倒なんだ」
「はあ……」
いまいち納得できず、曖昧な返事しかできない。
リュシアンのブレイラに対する印象は、ハウストの隣で控えめに寄り添っている印象しかない。あえて付け足すなら、自分はさぞかしブレイラに嫌われているだろうということくらいだ。
「まあいい、いずれ分かる」
「魔王様がそうおっしゃるなら……」
半信半疑で頷きつつ、そういえばとリュシアンがある男の嘆きを思い出す。
「ドミニクが悔しがっていました。蛇の生殺しだと……」
「やはり怒ってしまったか。だがもう充分だろう。祈り石は今回を限りに永遠に鍾乳洞から持ち出されることはない。だから奴はこの世界で唯一祈り石を加工した金細工師になったんだ」
「もっと彫りたいらしいです」
「我慢しろと伝えろ」
ハウストは面白そうに答えた。
そしてブレイラから贈られた祈り石の指輪を見つめる。
そう、ハウストは鍾乳洞から脱出した後、鍾乳洞への魔術を更に強いものにした。誰も立ち入ることができないように。万が一、誰かが立ち入って奥へ進んだとしても鍾乳洞に生息する巨大モグラが祈り石の番人となるように強化までしておいたくらいだ。
それというのも、祈り石が外へ流出しないように。
ブレイラから贈られた石は自分だけのものでなければ困るのだ。
ブレイラは祈り石が環の指輪のような婚礼の指輪になることを望んだ。環の指輪はこの世に唯一の指輪なのだから、この祈り石の指輪も唯一であるべきだろう。
「……だめだな」
ハウストは祈り石の指輪を見ながら口元を手で覆った。
だめだ。気を抜くと口元が緩む。
この石は自分とブレイラの互いの独占欲が形になったようなものなのだ。
思い出すのはハンマーとノミで原石をひたすら打っていたブレイラ。それはまるで呪……、ではなく、祈りの姿だった。
「魔王様……」
「フェリクトールには黙っていろよ。あいつは人のことを浮かれているだのなんだと煩いんだ」
「ハハ……、なんと申し上げてよろしいやら……」
フェリクトールの気持ちが分かりすぎてリュシアンは笑って誤魔化すしかない。
そんなリュシアンをハウストはぎろりと睨もうとしたが、
「ハウスト、よろしいですか?」
耳に心地よく響く声。
見ればブレイラがサンルームの入口に立っている。
ブレイラはリュシアンがいることに気付くと丁寧にお辞儀した。
「すみません。お邪魔したようですね、後ほど伺います」
「いえ、私は退室しますので王妃様はそのままで」
出直そうとしたブレイラをリュシアンが引き止める。
リュシアンがハウストに向かって恭しく最敬礼した。
「それでは魔王様、そろそろ失礼します」
「ああ、気を付けて帰れ」
頷いたハウストにリュシアンはまた深々と頭を下げる。
踵を返してサンルームの出口へ歩いていった。
そしてブレイラとすれ違う時、「王妃様もお元気で」とリュシアンが頭を下げる。
ピリッ。空気に電気が走った。
二人の目が合った瞬間、なんともいえぬ緊張感が走ったのだ。
ブレイラは涼しい顔で返礼してリュシアンを見送ったが、その内心はいろんな思いが渦を巻いていたことだろう。
……俺の王妃はなかなか過激派だ。
ハウストは口元だけで笑うと、ブレイラをサンルームに迎えたのだった。
◆◆◆◆◆◆
イスラは体術のお稽古、ゼロスはお昼寝、私は休憩時間。
ハウストが執務室近くのサンルームにいると聞き、特に用事はないけれど向かいました。
用事はないけど会いたくて、会いに行って、二人きりの時間を過ごす。まさに夫婦の特権というものですよね。それに今すぐ見て欲しい物があるのです。
「ハウスト、よろしいですか?」
私は上機嫌でサンルームに顔を出しましたが。
……なぜ、この男がここにいるのか。
リュシアンをじろりと睨みそうになって、ああいけませんね、これは王妃らしくないです。ハウストだって見ています。
「すみません。お邪魔したようですね、後ほど伺います」
穏やかさを意識して言いました。
今こそ王妃の余裕を見せてやるのです。
先日の夜会の時のように引いてあげません。
「いえ、私は退出しますので王妃様はそのままで」
リュシアンは丁寧に言うとハウストに恭しく最敬礼する。
「それでは魔王様、そろそろ失礼します」
「ああ、気を付けて帰れ」
ハウストがそう答えるとリュシアンはまた一礼して出口に向かってきました。
私の前で立ち止まり、私にも一礼する。
「王妃様もお元気で」
「南都に戻られるのですね」
「はい」
「道中お気をつけて」
「勿体ない御言葉。それでは失礼します」
そう言ってリュシアンは立ち去りました。
それを見送り、ほっと息をつく。
嫌味の一つも言われるかと思いましたが、さすがにハウストの前では黙っていてくれるようです。
私は改めてサンルームのハウストに向き直りました。
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