117 / 132
勇者と冥王のママは暁を魔王様と
第十二章・次代を告げる暁を1
しおりを挟む
魔界・魔王の城。
「イスラ、おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」
「あにうえ、おはよー!」
私の後ろからゼロスがぴょこんっと顔を出します。
そんな私たちにイスラが表情を和らげました。
「おはよう、ブレイラ、ゼロス」
以前と変わらぬイスラに安心します。
ナフカドレ教団が解散してから二週間が経過しました。
人間界統一を企んだナフカドレ教団大司教ルメニヒの野望が打ち砕かれたことで、人間界の混乱も徐々に収まっていきました。
イスラが開発を命じていた解毒剤が効力を発揮し、薬に侵されていた多くの人間、魔族、精霊族も正気を取り戻したのです。
西のピエトリノ遺跡に進軍していた連合軍はイスラの仲裁で軍を引きましたが、イスラはそれを見届けた後も戦後処理を兼ねて人間界で奔走していました。
先に魔界に帰っていた私はイスラとお手紙でやり取りしつつ、イスラの活躍や近況報告を耳にしていたのです。お手紙ではイスラの近況を知れる喜びを綴りますが、さり気なく『いつ魔界に帰ってくるのですか?』と問い続けました。最初は文末にさり気なく、でもお手紙を送り合ううちに一文二文と増えていき、最終的には便箋一枚を消費してイスラを心配している気持ちと帰って来てほしいという願いを綴っていました。
ハウストには『なにっ、三日に一度手紙を送り合っているのか?!』と驚かれました。そう、私は三日と開けずにお手紙を出し続けました。イスラも必ずお手紙を返してくれます。
それを知ったジェノキスは『……ブレイラが手紙を出すのはともかく、イスラもちゃんと返事を書いてんのか……』となんとも微妙な顔をしていました。私に隠れて『勇者が究極のマザコンでいいのかよ。歴代最強になるんだろ』とハウストにこそこそ言っていましたが、いいのです。
これは私とイスラにとって普通のこと、なんら驚くべきことではありません。
とにかく私はイスラには早く魔界で左腕を接合する手術を受けて欲しいのです。本当は私が帰る時に一緒に帰ってもらうつもりでした。
しかし、イスラは隻腕に慣れて特に不自由を感じていない事と、戦後処理という勇者としての役目があって人間界に残ったのです。
それは仕方ないことだと理解していますが、……私は知っています。イスラは連合軍総司令官だったゾルターギス将軍をはじめとした、いろんな国の将軍や武官と意気投合していると。
イスラが人間界で遊んでいるとは言いません、とても大切な役目を果たしています。それにイスラは魔界育ちの勇者なので、人間界に友人や味方が増えていくのは嬉しいことです。
……だから理解しています。理解していますが少しくらい、ほんの少しくらい心配する私の気持ちも思い出してほしいというか……。
でも、そんな憂いの日々もようやく終わりました!
昨夜ようやくイスラが魔界に帰って来てくれたのです!
翌朝の今日、さっそく左腕の接合手術をすることになりました。
私はイスラが魔界に帰って来てからずっと側に付きっきりです。だって今から手術するのですよ? きっとイスラは不安に思っているはずです!
「イスラ、痛いところはありませんか? 苦しいところは? これから手術なんですから体調が悪くなったらすぐに言ってください」
回廊を歩くイスラに話しかけました。
隣で励ます私にイスラは「ありがとう、大丈夫だ」と優しく目を細めてくれます。
私は笑いかけて、イスラの右腕を両手で捕まえて反対側を覗き込みました。
「もうすぐ左腕が戻るのですね。楽しみです」
「ああ、ブレイラが取り返してくれたお陰だ」
「当たり前です。イスラの腕が誰かに奪われたなど決して許せません」
イスラの腕が奪われ、血の海に横たわっていた姿が目に焼き付いています。
思い出すだけで胸が張り裂けそうになって怒りと悲しみに目の前が染まるよう。
でも、ようやく戻るのです!
「イスラ、腕を接合する手術は不安かもしれませんが、大丈夫、なにも不安に思うことはありません。手術中も私が側についていますよ。手を握っていてあげます」
「えっ?」
振り返ったイスラに笑顔で頷きます。
当然ですよね、イスラが不安がることがないように手術中も手を握っていてあげるのです。
枕元でイスラの右手をぎゅっと握って、励まして、慰めて。そう、決してイスラが不安がることがないように。
大丈夫、どんな手術になるのかハウストに聞いています。今回は手術といっても禁術解除の接合処置なので、主に魔力を発動しての手術。一般的な身体を切ったり縫ったりという外科手術ではありません。だからずっと側にいてあげられますね。
意気込む私に一緒にいたゼロスも大賛成してくれます。
「ぼくも! ぼくも、あにうえがんばれーっ、がんばれー! てするの!」
「ふふふ、ゼロスも応援してくれるのですね」
「うん。あにうえ、ぼくもいっしょ! おててぎゅっとしててあげる!」
「ゼロスもですか? それは困りました。私もイスラの手を握っててあげるんです。手術中なのでイスラの手は一つしか握れません」
「うーん、それじゃあ~。……あっ、ぼくは、あにうえのおなかにぎゅってする~!」
閃いたとばかりにゼロスが声を上げました。
でも私は笑ってしまいます。だって手術中にイスラのお腹にぎゅっとしているゼロスを想像するとおかしくて。
「それだとイスラが重たくなるかもしれませんよ?」
「ええ~っ。じゃあ、あにうえのおとなりに、ごろんってしてる!」
ゼロスが楽しそうに言いました。
手術中にイスラの横でごろんとしているなんて、仕方ないですね。でもイスラを思う気持ちは分かります。私も同じ気持ちですよ。
こうしてゼロスと手術中はどうやってイスラを応援するか話していましたが。
「……あの、ブレイラ」
イスラが声を掛けてきました。
振り返るとイスラはなんとも複雑な顔をしています。
「どうしました?」
「いや、あの、……手術中のことなんだけど……」
「はい、分かっています。イスラはなにも不安に思うことはありません。あなたが怖くないように手術中も私が手を握っていてあげますから。ゼロスも頑張るそうですよ?」
みなまで言わないでください。あなたの気持ちは分かっています。
だからイスラは何も恐れることはないのです。
見下ろすとゼロスも「まかせて!」と胸を張っています。きっと大好きな兄上を応援できることが嬉しいのですね。
そんな私たちにイスラがますます複雑な顔になりましたが、そうしている間にも施術を行なう部屋に到着します。
侍女に扉が開けられ、上級医務官たちに出迎えられました。そしてもちろんハウストの姿もあります。
「お待たせしました。よろしくお願いします」
「ああ、準備は出来ているぞ」
ハウストは部屋の中心に鎮座するベッドの脇に立っていました。
本来、治療は医務官の仕事なのでハウストは関わらないのですが、イスラの左腕は禁術によって切断されたこともあって接合にはハウストの力も必要なのです。
私は手術に携わる医務官一人ひとりを順に見て、深々と頭を下げました。
「本日はどうぞよろしくお願い致します。どうかイスラの腕を治してください」
「お、王妃様、おやめくださいっ」
「勿体ないことでございます……!」
「全力を尽くしますので、どうぞご安心ください!」
「ありがとうございます。とても頼もしく思っています」
そう言ってまた深々と頭を下げました。どれだけ頭を下げても足りないくらいなのです。
そしてイスラを振り返って治療台のベッドへと促しました。
「さあイスラ。頑張ってくださいね」
「ああ……」
イスラは少し警戒した顔で私を見ながらベッドに横になります。
その顔、ああやっぱり不安なのですねっ。私が側にいてあげなければ!
私もいそいそとイスラの後に続いて、枕元に腰を下ろしました。
イスラを安心させるように優しく笑いかけて、右手を両手で包むようにぎゅっと握ります。
「イスラ、おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」
「あにうえ、おはよー!」
私の後ろからゼロスがぴょこんっと顔を出します。
そんな私たちにイスラが表情を和らげました。
「おはよう、ブレイラ、ゼロス」
以前と変わらぬイスラに安心します。
ナフカドレ教団が解散してから二週間が経過しました。
人間界統一を企んだナフカドレ教団大司教ルメニヒの野望が打ち砕かれたことで、人間界の混乱も徐々に収まっていきました。
イスラが開発を命じていた解毒剤が効力を発揮し、薬に侵されていた多くの人間、魔族、精霊族も正気を取り戻したのです。
西のピエトリノ遺跡に進軍していた連合軍はイスラの仲裁で軍を引きましたが、イスラはそれを見届けた後も戦後処理を兼ねて人間界で奔走していました。
先に魔界に帰っていた私はイスラとお手紙でやり取りしつつ、イスラの活躍や近況報告を耳にしていたのです。お手紙ではイスラの近況を知れる喜びを綴りますが、さり気なく『いつ魔界に帰ってくるのですか?』と問い続けました。最初は文末にさり気なく、でもお手紙を送り合ううちに一文二文と増えていき、最終的には便箋一枚を消費してイスラを心配している気持ちと帰って来てほしいという願いを綴っていました。
ハウストには『なにっ、三日に一度手紙を送り合っているのか?!』と驚かれました。そう、私は三日と開けずにお手紙を出し続けました。イスラも必ずお手紙を返してくれます。
それを知ったジェノキスは『……ブレイラが手紙を出すのはともかく、イスラもちゃんと返事を書いてんのか……』となんとも微妙な顔をしていました。私に隠れて『勇者が究極のマザコンでいいのかよ。歴代最強になるんだろ』とハウストにこそこそ言っていましたが、いいのです。
これは私とイスラにとって普通のこと、なんら驚くべきことではありません。
とにかく私はイスラには早く魔界で左腕を接合する手術を受けて欲しいのです。本当は私が帰る時に一緒に帰ってもらうつもりでした。
しかし、イスラは隻腕に慣れて特に不自由を感じていない事と、戦後処理という勇者としての役目があって人間界に残ったのです。
それは仕方ないことだと理解していますが、……私は知っています。イスラは連合軍総司令官だったゾルターギス将軍をはじめとした、いろんな国の将軍や武官と意気投合していると。
イスラが人間界で遊んでいるとは言いません、とても大切な役目を果たしています。それにイスラは魔界育ちの勇者なので、人間界に友人や味方が増えていくのは嬉しいことです。
……だから理解しています。理解していますが少しくらい、ほんの少しくらい心配する私の気持ちも思い出してほしいというか……。
でも、そんな憂いの日々もようやく終わりました!
昨夜ようやくイスラが魔界に帰って来てくれたのです!
翌朝の今日、さっそく左腕の接合手術をすることになりました。
私はイスラが魔界に帰って来てからずっと側に付きっきりです。だって今から手術するのですよ? きっとイスラは不安に思っているはずです!
「イスラ、痛いところはありませんか? 苦しいところは? これから手術なんですから体調が悪くなったらすぐに言ってください」
回廊を歩くイスラに話しかけました。
隣で励ます私にイスラは「ありがとう、大丈夫だ」と優しく目を細めてくれます。
私は笑いかけて、イスラの右腕を両手で捕まえて反対側を覗き込みました。
「もうすぐ左腕が戻るのですね。楽しみです」
「ああ、ブレイラが取り返してくれたお陰だ」
「当たり前です。イスラの腕が誰かに奪われたなど決して許せません」
イスラの腕が奪われ、血の海に横たわっていた姿が目に焼き付いています。
思い出すだけで胸が張り裂けそうになって怒りと悲しみに目の前が染まるよう。
でも、ようやく戻るのです!
「イスラ、腕を接合する手術は不安かもしれませんが、大丈夫、なにも不安に思うことはありません。手術中も私が側についていますよ。手を握っていてあげます」
「えっ?」
振り返ったイスラに笑顔で頷きます。
当然ですよね、イスラが不安がることがないように手術中も手を握っていてあげるのです。
枕元でイスラの右手をぎゅっと握って、励まして、慰めて。そう、決してイスラが不安がることがないように。
大丈夫、どんな手術になるのかハウストに聞いています。今回は手術といっても禁術解除の接合処置なので、主に魔力を発動しての手術。一般的な身体を切ったり縫ったりという外科手術ではありません。だからずっと側にいてあげられますね。
意気込む私に一緒にいたゼロスも大賛成してくれます。
「ぼくも! ぼくも、あにうえがんばれーっ、がんばれー! てするの!」
「ふふふ、ゼロスも応援してくれるのですね」
「うん。あにうえ、ぼくもいっしょ! おててぎゅっとしててあげる!」
「ゼロスもですか? それは困りました。私もイスラの手を握っててあげるんです。手術中なのでイスラの手は一つしか握れません」
「うーん、それじゃあ~。……あっ、ぼくは、あにうえのおなかにぎゅってする~!」
閃いたとばかりにゼロスが声を上げました。
でも私は笑ってしまいます。だって手術中にイスラのお腹にぎゅっとしているゼロスを想像するとおかしくて。
「それだとイスラが重たくなるかもしれませんよ?」
「ええ~っ。じゃあ、あにうえのおとなりに、ごろんってしてる!」
ゼロスが楽しそうに言いました。
手術中にイスラの横でごろんとしているなんて、仕方ないですね。でもイスラを思う気持ちは分かります。私も同じ気持ちですよ。
こうしてゼロスと手術中はどうやってイスラを応援するか話していましたが。
「……あの、ブレイラ」
イスラが声を掛けてきました。
振り返るとイスラはなんとも複雑な顔をしています。
「どうしました?」
「いや、あの、……手術中のことなんだけど……」
「はい、分かっています。イスラはなにも不安に思うことはありません。あなたが怖くないように手術中も私が手を握っていてあげますから。ゼロスも頑張るそうですよ?」
みなまで言わないでください。あなたの気持ちは分かっています。
だからイスラは何も恐れることはないのです。
見下ろすとゼロスも「まかせて!」と胸を張っています。きっと大好きな兄上を応援できることが嬉しいのですね。
そんな私たちにイスラがますます複雑な顔になりましたが、そうしている間にも施術を行なう部屋に到着します。
侍女に扉が開けられ、上級医務官たちに出迎えられました。そしてもちろんハウストの姿もあります。
「お待たせしました。よろしくお願いします」
「ああ、準備は出来ているぞ」
ハウストは部屋の中心に鎮座するベッドの脇に立っていました。
本来、治療は医務官の仕事なのでハウストは関わらないのですが、イスラの左腕は禁術によって切断されたこともあって接合にはハウストの力も必要なのです。
私は手術に携わる医務官一人ひとりを順に見て、深々と頭を下げました。
「本日はどうぞよろしくお願い致します。どうかイスラの腕を治してください」
「お、王妃様、おやめくださいっ」
「勿体ないことでございます……!」
「全力を尽くしますので、どうぞご安心ください!」
「ありがとうございます。とても頼もしく思っています」
そう言ってまた深々と頭を下げました。どれだけ頭を下げても足りないくらいなのです。
そしてイスラを振り返って治療台のベッドへと促しました。
「さあイスラ。頑張ってくださいね」
「ああ……」
イスラは少し警戒した顔で私を見ながらベッドに横になります。
その顔、ああやっぱり不安なのですねっ。私が側にいてあげなければ!
私もいそいそとイスラの後に続いて、枕元に腰を下ろしました。
イスラを安心させるように優しく笑いかけて、右手を両手で包むようにぎゅっと握ります。
29
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる