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第一章・強欲の王ギルタレス
強欲の王ギルタレス5
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「ああ惜しい。ペットにするならあなたが良かったかも。でもやっぱり、物分かりの悪い人間はいらないわ!!」
ドドドドドドドッ!!
「ほらほら、キャンキャン鳴いて逃げ回りなさい!」
調子に乗った悪魔は鉄糸の数を増やして襲いかかってくる。
私は悪魔の背後に回って魔法陣を出現させる。魔力を発動して暴風を巻き起こした。
「こんなそよ風でなにをするつもりかしら」
悪魔が風と戯れるように移動する。私の攻撃を嘲笑っているのだ。
でもそれを待っていた!!
悪魔が礼拝堂の真ん中まで来た刹那、四隅の魔法陣が強烈な光を放つ。
「もちろん勝てるとは思ってないわよっ、だから封印するの!! 永遠に寝てろ!!!!」
カッ!!
四隅の光柱が悪魔を囲んだ。
私は両手を重ね合わせて包んでいく。光柱は私の手の動きと連動し、悪魔を包んで徐々に小さく小さくなっていく。
「離せ!! 手をどけろっ、このクソ聖女おぉぉ!!!!」
「寝てろ! 二度と出てくるな!!」
握り潰すように全力で手を合わせていく。
でも悪魔の抵抗する力が強いっ。
握り潰したいのに、逆にじりじりと手を開かされていく。
「聖女候補生ごときが上級悪魔のワタシを舐めるなあああああ!!!!」
「うわあっ!」
逃げられた!!
四隅の魔法陣も弾けて無効にされる。
「もう殺す! 地獄に引きずり込んで嬲り殺しにしてやる!!」
「しまったっ!!」
ドドドドドドドドドッ!!!!
鉄糸が襲いかかってきた。
咄嗟に転がって避けたが、左腕に鋭い痛みが走る。
「くああッ!!」
腕が熱い。
鉄糸が貫通したのだ。
祭壇の影に転がり込んで身を潜ませる。
「ッ、あのクソ悪魔っ……!」
みるみる左腕が赤く染まっていく。
このままじゃまずい、制服のスカートを裂いて止血する。
でもすぐに血が滲んできて舌打ちした。いつまで耐えられるか分からないが、悪魔に殺されるなんて死んでもごめんだ。
「あら次はかくれんぼかしら。どこに隠れたの? ここかしら」
ガシャン!! 鉄糸が長椅子を破壊した。
「それともここかしら」
ガシャン!! また長椅子を破壊する。
ガシャン!! ガシャン!! 長椅子を破壊しながら祭壇に近付いてくる悪魔。
まるで獲物を弄るような嘲笑を浮かべている。完全に面白がっていた。
そして白々しく祭壇に気付く。
「あらこの祭壇があやしいわ。ほら聖女さん、――――さあ出ておいで!!!!」
悪魔が大量の鉄糸で襲ってきた。
祭壇ごと串刺しにするつもりなのだ。
死ぬ。このままじゃ死ぬ! そんなの冗談じゃないっ、聖女になって自由を買う!!!!
「オラアアア!!!!」
ガシャアアアアアアン!!!!
渾身の力で祭壇を蹴り飛ばした。
祭壇が悪魔に直撃する。間髪入れずに攻撃魔法を発動しようとしたが、悪魔の攻撃の方がわずかに速い。攻撃の衝撃を身構えた、その時。
「あ、ああっ、あ……」
悪魔が硬直していた。
怯えた顔で青褪めてガタガタと震えている。
先ほどまで絶対的優位に立っていたというのに、今は見る影もなく縮こまって怯えている。
「……な、なに、どうしたの?」
予想もしていなかった展開に私まで動揺してしまう。
しかも悪魔は私の足元を見て恐怖に慄いているようだ。悪魔の視線を追って足元を見る。
そこには古い魔法陣があった。
そう、蹴り飛ばした祭壇の下に古い魔法陣が描かれていたのだ。
「なにこれ」
封印魔法陣のようだが、なにが封じられているか分からない。
魔法陣に描かれた古代文字を解読すれば分かるのかもしれないが、この古代文字は座学で学習する一般的な古代文字よりもさらに古いもののようだった。
そして思い出す。この教会が移築される前、ここは古代遺跡だったという。
「……古代のなにかが封印されてるってことだよね」
そう言って魔法陣に触れようとすると。
「さ、触るな!! その魔法陣に触るな!!」
悪魔が必死の形相で制止してきた。
今までにない悪魔の反応。……ふーん、そう。そういうことね。分かりやすくて助かる。
「答えて。この魔法陣はなにを封印してるの?」
「さ、さあ、ワタシも知らないわ。なんでしょうね……」
白々しい嘘。
上級悪魔もこんな反応するのね、笑えてきた。
「分かんないんだったら封印を解くしかないよね」
「やめろ!!」
「やめろ? 命令されるの嫌いなんだけど」
「……や、やめた方がいいわ。その封印を解いてはいけないの。お願い、分かって」
「気安い言葉も嫌いなの」
「っ、……ごめんなさい。お願いします。何もしないでいてくれたら、ワタシはすぐにここから出ていきます。ほんとです、もうなにもしません。そこのペットも返します。ワタシは地獄で静かにしてるから、もうやめましょう。ね?」
猫なで声でお願いしてきた。
プライドよりも恐怖が勝っているその姿。
やはり何かあるのだ。上級悪魔が恐れるほどの何かが。
「そう、そこまで言うなら」
「分かってくれたのね!」
「――――なんて約束するわけないでしょう!!」
悪魔の顔が絶望に歪む。ああいい気味。
私は足元の魔法陣に手を置き、そこに描かれていた模様を一気に消し去った。
瞬間、低い地鳴りが響く。
それはまるで地獄の底から響く怨念のよう。
「じ、地獄の門が開いたっ……。くるっ。盟主様が来るっ……!」
悪魔は愕然とし、その場に手をついてひれ伏した。
今この悪魔は盟主と言った。
地獄にいる盟主とは、地獄の七大盟主のこと。それは上級悪魔ですら恐れる悪魔の最高位。
まさか、ほんとうにっ……?
「人間界は三千年振りか」
背後から男の低い声がした。
いる。背後にいる。振り向きたいのに、息が詰まるほどのプレッシャー。
全身に冷や汗が噴きだす。上級悪魔に感じた絶望感など比べものにならないそれ。
「……!」
背後から肩を掴まれ、体が強張る。
そして有無を言わせず顎を掴まれ、上向かされた。
至近距離にあったのは、爛々とした赤い瞳が特徴的な男の顔。精悍で野性味のある美しい顔立ちに息を飲む。
「地獄の七大盟主が一人・強欲の王ギルタレスの門を開いたのはお前か」
「っ……」
……一歩も引くな。この悪魔に飲み込まれるなっ
この悪魔は本物の地獄の盟主。今まで対峙してきた悪魔とは次元が違う。
私はギルタレスをまっすぐ見据える。
ドドドドドドドッ!!
「ほらほら、キャンキャン鳴いて逃げ回りなさい!」
調子に乗った悪魔は鉄糸の数を増やして襲いかかってくる。
私は悪魔の背後に回って魔法陣を出現させる。魔力を発動して暴風を巻き起こした。
「こんなそよ風でなにをするつもりかしら」
悪魔が風と戯れるように移動する。私の攻撃を嘲笑っているのだ。
でもそれを待っていた!!
悪魔が礼拝堂の真ん中まで来た刹那、四隅の魔法陣が強烈な光を放つ。
「もちろん勝てるとは思ってないわよっ、だから封印するの!! 永遠に寝てろ!!!!」
カッ!!
四隅の光柱が悪魔を囲んだ。
私は両手を重ね合わせて包んでいく。光柱は私の手の動きと連動し、悪魔を包んで徐々に小さく小さくなっていく。
「離せ!! 手をどけろっ、このクソ聖女おぉぉ!!!!」
「寝てろ! 二度と出てくるな!!」
握り潰すように全力で手を合わせていく。
でも悪魔の抵抗する力が強いっ。
握り潰したいのに、逆にじりじりと手を開かされていく。
「聖女候補生ごときが上級悪魔のワタシを舐めるなあああああ!!!!」
「うわあっ!」
逃げられた!!
四隅の魔法陣も弾けて無効にされる。
「もう殺す! 地獄に引きずり込んで嬲り殺しにしてやる!!」
「しまったっ!!」
ドドドドドドドドドッ!!!!
鉄糸が襲いかかってきた。
咄嗟に転がって避けたが、左腕に鋭い痛みが走る。
「くああッ!!」
腕が熱い。
鉄糸が貫通したのだ。
祭壇の影に転がり込んで身を潜ませる。
「ッ、あのクソ悪魔っ……!」
みるみる左腕が赤く染まっていく。
このままじゃまずい、制服のスカートを裂いて止血する。
でもすぐに血が滲んできて舌打ちした。いつまで耐えられるか分からないが、悪魔に殺されるなんて死んでもごめんだ。
「あら次はかくれんぼかしら。どこに隠れたの? ここかしら」
ガシャン!! 鉄糸が長椅子を破壊した。
「それともここかしら」
ガシャン!! また長椅子を破壊する。
ガシャン!! ガシャン!! 長椅子を破壊しながら祭壇に近付いてくる悪魔。
まるで獲物を弄るような嘲笑を浮かべている。完全に面白がっていた。
そして白々しく祭壇に気付く。
「あらこの祭壇があやしいわ。ほら聖女さん、――――さあ出ておいで!!!!」
悪魔が大量の鉄糸で襲ってきた。
祭壇ごと串刺しにするつもりなのだ。
死ぬ。このままじゃ死ぬ! そんなの冗談じゃないっ、聖女になって自由を買う!!!!
「オラアアア!!!!」
ガシャアアアアアアン!!!!
渾身の力で祭壇を蹴り飛ばした。
祭壇が悪魔に直撃する。間髪入れずに攻撃魔法を発動しようとしたが、悪魔の攻撃の方がわずかに速い。攻撃の衝撃を身構えた、その時。
「あ、ああっ、あ……」
悪魔が硬直していた。
怯えた顔で青褪めてガタガタと震えている。
先ほどまで絶対的優位に立っていたというのに、今は見る影もなく縮こまって怯えている。
「……な、なに、どうしたの?」
予想もしていなかった展開に私まで動揺してしまう。
しかも悪魔は私の足元を見て恐怖に慄いているようだ。悪魔の視線を追って足元を見る。
そこには古い魔法陣があった。
そう、蹴り飛ばした祭壇の下に古い魔法陣が描かれていたのだ。
「なにこれ」
封印魔法陣のようだが、なにが封じられているか分からない。
魔法陣に描かれた古代文字を解読すれば分かるのかもしれないが、この古代文字は座学で学習する一般的な古代文字よりもさらに古いもののようだった。
そして思い出す。この教会が移築される前、ここは古代遺跡だったという。
「……古代のなにかが封印されてるってことだよね」
そう言って魔法陣に触れようとすると。
「さ、触るな!! その魔法陣に触るな!!」
悪魔が必死の形相で制止してきた。
今までにない悪魔の反応。……ふーん、そう。そういうことね。分かりやすくて助かる。
「答えて。この魔法陣はなにを封印してるの?」
「さ、さあ、ワタシも知らないわ。なんでしょうね……」
白々しい嘘。
上級悪魔もこんな反応するのね、笑えてきた。
「分かんないんだったら封印を解くしかないよね」
「やめろ!!」
「やめろ? 命令されるの嫌いなんだけど」
「……や、やめた方がいいわ。その封印を解いてはいけないの。お願い、分かって」
「気安い言葉も嫌いなの」
「っ、……ごめんなさい。お願いします。何もしないでいてくれたら、ワタシはすぐにここから出ていきます。ほんとです、もうなにもしません。そこのペットも返します。ワタシは地獄で静かにしてるから、もうやめましょう。ね?」
猫なで声でお願いしてきた。
プライドよりも恐怖が勝っているその姿。
やはり何かあるのだ。上級悪魔が恐れるほどの何かが。
「そう、そこまで言うなら」
「分かってくれたのね!」
「――――なんて約束するわけないでしょう!!」
悪魔の顔が絶望に歪む。ああいい気味。
私は足元の魔法陣に手を置き、そこに描かれていた模様を一気に消し去った。
瞬間、低い地鳴りが響く。
それはまるで地獄の底から響く怨念のよう。
「じ、地獄の門が開いたっ……。くるっ。盟主様が来るっ……!」
悪魔は愕然とし、その場に手をついてひれ伏した。
今この悪魔は盟主と言った。
地獄にいる盟主とは、地獄の七大盟主のこと。それは上級悪魔ですら恐れる悪魔の最高位。
まさか、ほんとうにっ……?
「人間界は三千年振りか」
背後から男の低い声がした。
いる。背後にいる。振り向きたいのに、息が詰まるほどのプレッシャー。
全身に冷や汗が噴きだす。上級悪魔に感じた絶望感など比べものにならないそれ。
「……!」
背後から肩を掴まれ、体が強張る。
そして有無を言わせず顎を掴まれ、上向かされた。
至近距離にあったのは、爛々とした赤い瞳が特徴的な男の顔。精悍で野性味のある美しい顔立ちに息を飲む。
「地獄の七大盟主が一人・強欲の王ギルタレスの門を開いたのはお前か」
「っ……」
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