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105 朝礼
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翌朝の朝礼に昨日の事を含めて、これからの予定を皆に話す事にした。いきなり5人の弟子が出来たのだから説明しない訳にもいかないよね。
「昨日家を見た戦士団の中から5人が、僕の所で修行したいって話があったので受ける事にしました」
「「はぁ~?」」
「そう言う事なのでモーガン達は先輩として、ウェインは上司として頑張って下さい」
「エ~ド~。そう言う事は俺たちに相談してからにして欲しいんだけどな」
「とは言っても昼前だけだから。大丈夫大丈夫」
「昼前だけ?」
「そっ。昼前はこっちの手伝いをして貰って、昼過ぎは家造りを教えるって事にしたんだ」
「それにしても家の秘密を教えても良かったの?」
メイリーンが心配するのも無理は無い。利益性と危険性は従来のモノと違うのだから、余人が間違った事をすればどのような事が起きるか、その被害予測はだれにでも出来る事だろう。
「俺もそう思うな。結構良い稼ぎどころか軟膏やロウソク作るよりも儲けられそうだったのにさ」
ヘンリーがそう言うのも無理は無い。大手メーカーであればいざしらず、家内工業で作っている軟膏やロウソクよりも家の方が高価である事はどの世界でも変わらない。
しかしそれが現金であればの話であって、この世界での住宅建築に措ける常識は少しばかり意味を異とするのだから。
「まぁね。でもカイバク払いで家を建てるんだよ。ウチでそんな事をしたら倉庫をいくつ建てなきゃならないのさ。何年も気持ち悪くなるほど食べても腐らせちゃう方が多くなるよ」
「あっ」
「そう言う事。それに手伝いや食事を出して貰ったら、貰える分はさらに減るじゃない?そのくらいなら練習に家を建ててそれを教える報酬に貰った方がまだマシって事だよ」
現物納品で無ければいろいろとやりようがあると言うものだが、現金しかダメとか金属のみ受付などと言ったら、立てられる人は皆無と言っても良いほどになり、俺の評判は駄々下がりだろう。
こればかりは貨幣経済の浸透性が、今だ小額決済にしか及んでいない事の弊害と言えるだろうが、虫から金属を獲てる時点で収量が限られるので誰を責められるものでもない。
「そうなのか?」
「一~二軒建てる度にカイバク倉庫建てるって考えてれば解るよ。そんなに食べないだろ?余った分は他に売るって言っても限界があるし、今度は肉や野菜で来て見なよ。目も当てられなくなる」
「でも金でも払ってくれるかもしれないだろ?」
「それは無い。領主様のところに行った時だって、金は出せないって言われたくらいなんだ。もし貰えたとしても本当にちょっとだよ。それじゃ何の意味も無いからね」
「あれ?でも前にエドが儲かるって言ってなかった?」
「それはカイバクで貰うってのを知らなかったから。知ってたらそんな事言わなかったよ」
戦士団に援軍して貰う以外では、棟上やら屋根の吹き替えは基本的に近所が助けて家をいじるもんだから、日当代わりのカイバクを払って貰うのが当たり前。
余程他家より改修スピードが速ければ貰える量が増えるなどがあるかもしれないが、そうでなければ「そろそろ誰々のウチを直す頃」って言うのが家主の間で話し合われて相互扶助の中で改修が行われる。
そして戦士団の援軍を入れるような時でも、その支払いはカイバクで行われて団員の食糧確保となってしまうのだから、もはやお手上げである。
「要するに、お金が家みたいな物の支払いに使われるように成らない限りは、お金って意味では儲けにはならないって事だね」
「そう言う事。食べる分や税として納める分を稼ぐってだけならそれでも良いけど、そうじゃなければ畑やっても一緒だからね」
「どっちにしても香草は育てなきゃいけないんでしょ?なら畑を止める選択は無いわよね」
「畑全部止められる訳じゃないからな。それにカイバクの畑を全部香草にしたら今度は香草が余るし、茶畑に替えるには茶草が足りないし」
「今まで通りが一番って事だね」
何とも残念な結果ではあるが、残念なままにしなければ良いだけで、新しい弟子たちをしっかり指導して立派な実験住宅ⅡやⅢを建ててもらうとしよう。
Ⅱは間取りを変えただけで基本的には同じ物で行く予定だが、Ⅲはまだどう作るかは未定だが、いっその事中途半端にはなるかもしれないが、瓦やレンガを建材に使ってみるなどしても面白いかもしれない。
とは言っても焼成に使うだけの廃材が出ればだけど。乾燥軟化法の一番のメリットは廃棄物の少なさでもあるので、もしⅢを瓦やレンガにするならばⅡの内から焼成燃料用に廃棄分をまとめて置かなければならなかったりする。
「それじゃあ、いろいろと変わる事もあるとは思うけどよろしく頼むな」
「ドンと俺たちに任せとけ」
「ヘンリーは先輩風吹かせて根性叩き直されないと良いけどな」
「はははっ」と笑い声がこぼれたが、ヘンリーだけは納得できない顔をしていた。さて今日も一日頑張っていきまっしょい(笑)
「昨日家を見た戦士団の中から5人が、僕の所で修行したいって話があったので受ける事にしました」
「「はぁ~?」」
「そう言う事なのでモーガン達は先輩として、ウェインは上司として頑張って下さい」
「エ~ド~。そう言う事は俺たちに相談してからにして欲しいんだけどな」
「とは言っても昼前だけだから。大丈夫大丈夫」
「昼前だけ?」
「そっ。昼前はこっちの手伝いをして貰って、昼過ぎは家造りを教えるって事にしたんだ」
「それにしても家の秘密を教えても良かったの?」
メイリーンが心配するのも無理は無い。利益性と危険性は従来のモノと違うのだから、余人が間違った事をすればどのような事が起きるか、その被害予測はだれにでも出来る事だろう。
「俺もそう思うな。結構良い稼ぎどころか軟膏やロウソク作るよりも儲けられそうだったのにさ」
ヘンリーがそう言うのも無理は無い。大手メーカーであればいざしらず、家内工業で作っている軟膏やロウソクよりも家の方が高価である事はどの世界でも変わらない。
しかしそれが現金であればの話であって、この世界での住宅建築に措ける常識は少しばかり意味を異とするのだから。
「まぁね。でもカイバク払いで家を建てるんだよ。ウチでそんな事をしたら倉庫をいくつ建てなきゃならないのさ。何年も気持ち悪くなるほど食べても腐らせちゃう方が多くなるよ」
「あっ」
「そう言う事。それに手伝いや食事を出して貰ったら、貰える分はさらに減るじゃない?そのくらいなら練習に家を建ててそれを教える報酬に貰った方がまだマシって事だよ」
現物納品で無ければいろいろとやりようがあると言うものだが、現金しかダメとか金属のみ受付などと言ったら、立てられる人は皆無と言っても良いほどになり、俺の評判は駄々下がりだろう。
こればかりは貨幣経済の浸透性が、今だ小額決済にしか及んでいない事の弊害と言えるだろうが、虫から金属を獲てる時点で収量が限られるので誰を責められるものでもない。
「そうなのか?」
「一~二軒建てる度にカイバク倉庫建てるって考えてれば解るよ。そんなに食べないだろ?余った分は他に売るって言っても限界があるし、今度は肉や野菜で来て見なよ。目も当てられなくなる」
「でも金でも払ってくれるかもしれないだろ?」
「それは無い。領主様のところに行った時だって、金は出せないって言われたくらいなんだ。もし貰えたとしても本当にちょっとだよ。それじゃ何の意味も無いからね」
「あれ?でも前にエドが儲かるって言ってなかった?」
「それはカイバクで貰うってのを知らなかったから。知ってたらそんな事言わなかったよ」
戦士団に援軍して貰う以外では、棟上やら屋根の吹き替えは基本的に近所が助けて家をいじるもんだから、日当代わりのカイバクを払って貰うのが当たり前。
余程他家より改修スピードが速ければ貰える量が増えるなどがあるかもしれないが、そうでなければ「そろそろ誰々のウチを直す頃」って言うのが家主の間で話し合われて相互扶助の中で改修が行われる。
そして戦士団の援軍を入れるような時でも、その支払いはカイバクで行われて団員の食糧確保となってしまうのだから、もはやお手上げである。
「要するに、お金が家みたいな物の支払いに使われるように成らない限りは、お金って意味では儲けにはならないって事だね」
「そう言う事。食べる分や税として納める分を稼ぐってだけならそれでも良いけど、そうじゃなければ畑やっても一緒だからね」
「どっちにしても香草は育てなきゃいけないんでしょ?なら畑を止める選択は無いわよね」
「畑全部止められる訳じゃないからな。それにカイバクの畑を全部香草にしたら今度は香草が余るし、茶畑に替えるには茶草が足りないし」
「今まで通りが一番って事だね」
何とも残念な結果ではあるが、残念なままにしなければ良いだけで、新しい弟子たちをしっかり指導して立派な実験住宅ⅡやⅢを建ててもらうとしよう。
Ⅱは間取りを変えただけで基本的には同じ物で行く予定だが、Ⅲはまだどう作るかは未定だが、いっその事中途半端にはなるかもしれないが、瓦やレンガを建材に使ってみるなどしても面白いかもしれない。
とは言っても焼成に使うだけの廃材が出ればだけど。乾燥軟化法の一番のメリットは廃棄物の少なさでもあるので、もしⅢを瓦やレンガにするならばⅡの内から焼成燃料用に廃棄分をまとめて置かなければならなかったりする。
「それじゃあ、いろいろと変わる事もあるとは思うけどよろしく頼むな」
「ドンと俺たちに任せとけ」
「ヘンリーは先輩風吹かせて根性叩き直されないと良いけどな」
「はははっ」と笑い声がこぼれたが、ヘンリーだけは納得できない顔をしていた。さて今日も一日頑張っていきまっしょい(笑)
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