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3、猫まみれの刑で反省してくださぁい
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王都の繁華な通りに面した猫カフェの店舗は、猫のシルエットが施された看板が特徴的だ。
「おや、いらっしゃいませ。初来店のお客さんなんて久しぶりですよ」
猫カフェの店員さんは三角帽子をかぶっていて、見るからに魔法使い風の格好のお兄さんだ。胸のあたりに名札をつけていて、「エミル」と書いてある。
「猫カフェとは、なんですか? 私、猫が好きなので気になってお邪魔してみたんです」
おずおずと問えば、エミルさんはお店について教えてくれた。
「このお店は特殊な結界を張っていて、魔力量とか猫好きとか善良さとか、いろんな条件をクリアした人にしか見付けられないんだ」
猫カフェというのは、遠い国からやってきた商人がこの国に持ち込んだ特殊な店らしい。
店内にはたくさんの猫がいて、なんとお客さんは猫を愛でることができるという。
私がお店を見つけることができたのは、魔眼のおかげみたい。魔眼があってよかった!
「わーーっ、猫がいっぱい!」
木のぬくもりを感じる内装のカフェ内には、自由に歩き回る猫たちがいる。
「みゃー」
「にゃ~ん」
茶トラの猫は、柱にすりすりと体の側面をこすりつけている。
真っ白のふわふわの猫がその横で後ろ脚で立ち上がってお客さんの猫じゃらしを捕まえようとして、コテンッと後ろに倒れて「かわいいー!」と言われている。
ソックス模様の猫が黒猫に「ふしゃーっ!」と威嚇して、黒猫が逃げていく。
三毛猫はハチワレ猫と一緒になって、ソックス模様の猫の周囲をうろうろ。
「なんて癒し空間なの……!」
私は猫用の丸い寝床で丸くなって寝ている灰色の猫の隣にそーっと座ってみた。
灰色の猫は「うにゃ?」と薄く眼を開けてこっちを見たけど、すぐ興味を失ったみたいに目を閉じてしまった。
「そこにいてもいいよ。じゃあおやすみ」って許してもらえたみたい!
すやーすやーと眠る無防備な小さな命に、どきどきする。
触っちゃだめかな? 寝てるのを起こしちゃうから、だめよね?
意見をきこうとエミルさんの方を見たとき、壁に「お店のお手伝い募集」という張り紙があることに気付いた。
こんなお店で働いてみたい。猫たちのお世話をしてみたい――衝動が湧きあがって、私は声をあげた。
「エミルさん。私、ここで働きたいです!」
「おお。募集中ですよ。では採用! 明日から」
「えっ、そんな二つ返事でいいんですか」
「お店を見つけられる時点で、変な人ではないとわかっていますので。そちらこそ、良家のお嬢様のご様子ですがお家の人に反対されませんか?」
「いろいろあって、両親は私に今やさしいので。大丈夫だと思います……」
あっさりとお手伝いになれて、私は狐につままれたような気分だ。
と、そんな私の耳に、さらさらと紙とペンが擦れる音が聞こえた。
「いいぞ~、ぐっとくる。いいね、いいね。そのまま……アッ、動かないで。頼む。今、いい感じだったんだよ」
えっ、やだ。なんか変な男の人がいる。スケッチブックに絵を描いてる?
でも、「お店を見つけられる時点で、変な人ではない」はずよね?
エミルさんを見ると、肩をすくめられる。
「ここは秘密のお店といいますか、さる高貴な方のサロンみたいな場所なんですよね。その方は変な人ではありますが、身元はしっかりしてますし、悪い人ではありませんよ」
――変な人ではあるけど、悪い人ではないらしい!
「おや、いらっしゃいませ。初来店のお客さんなんて久しぶりですよ」
猫カフェの店員さんは三角帽子をかぶっていて、見るからに魔法使い風の格好のお兄さんだ。胸のあたりに名札をつけていて、「エミル」と書いてある。
「猫カフェとは、なんですか? 私、猫が好きなので気になってお邪魔してみたんです」
おずおずと問えば、エミルさんはお店について教えてくれた。
「このお店は特殊な結界を張っていて、魔力量とか猫好きとか善良さとか、いろんな条件をクリアした人にしか見付けられないんだ」
猫カフェというのは、遠い国からやってきた商人がこの国に持ち込んだ特殊な店らしい。
店内にはたくさんの猫がいて、なんとお客さんは猫を愛でることができるという。
私がお店を見つけることができたのは、魔眼のおかげみたい。魔眼があってよかった!
「わーーっ、猫がいっぱい!」
木のぬくもりを感じる内装のカフェ内には、自由に歩き回る猫たちがいる。
「みゃー」
「にゃ~ん」
茶トラの猫は、柱にすりすりと体の側面をこすりつけている。
真っ白のふわふわの猫がその横で後ろ脚で立ち上がってお客さんの猫じゃらしを捕まえようとして、コテンッと後ろに倒れて「かわいいー!」と言われている。
ソックス模様の猫が黒猫に「ふしゃーっ!」と威嚇して、黒猫が逃げていく。
三毛猫はハチワレ猫と一緒になって、ソックス模様の猫の周囲をうろうろ。
「なんて癒し空間なの……!」
私は猫用の丸い寝床で丸くなって寝ている灰色の猫の隣にそーっと座ってみた。
灰色の猫は「うにゃ?」と薄く眼を開けてこっちを見たけど、すぐ興味を失ったみたいに目を閉じてしまった。
「そこにいてもいいよ。じゃあおやすみ」って許してもらえたみたい!
すやーすやーと眠る無防備な小さな命に、どきどきする。
触っちゃだめかな? 寝てるのを起こしちゃうから、だめよね?
意見をきこうとエミルさんの方を見たとき、壁に「お店のお手伝い募集」という張り紙があることに気付いた。
こんなお店で働いてみたい。猫たちのお世話をしてみたい――衝動が湧きあがって、私は声をあげた。
「エミルさん。私、ここで働きたいです!」
「おお。募集中ですよ。では採用! 明日から」
「えっ、そんな二つ返事でいいんですか」
「お店を見つけられる時点で、変な人ではないとわかっていますので。そちらこそ、良家のお嬢様のご様子ですがお家の人に反対されませんか?」
「いろいろあって、両親は私に今やさしいので。大丈夫だと思います……」
あっさりとお手伝いになれて、私は狐につままれたような気分だ。
と、そんな私の耳に、さらさらと紙とペンが擦れる音が聞こえた。
「いいぞ~、ぐっとくる。いいね、いいね。そのまま……アッ、動かないで。頼む。今、いい感じだったんだよ」
えっ、やだ。なんか変な男の人がいる。スケッチブックに絵を描いてる?
でも、「お店を見つけられる時点で、変な人ではない」はずよね?
エミルさんを見ると、肩をすくめられる。
「ここは秘密のお店といいますか、さる高貴な方のサロンみたいな場所なんですよね。その方は変な人ではありますが、身元はしっかりしてますし、悪い人ではありませんよ」
――変な人ではあるけど、悪い人ではないらしい!
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