【完結済】やり直した嫌われ者は、帝様に囲われる

紫鶴

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弟子

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早朝。



もう日常となっている朝ご飯を作りをしていると、何やらバタバタと騒がしい足音がした。

紫さんと叢雲さんがそろそろ起きてきて手伝いに来てくれる時間だから彼らだろうかと初め思っていたが聞いている内に彼らの足音ではないことに気付く。かといって、そーちゃんでもない。

一体誰の足音だろうか。一旦隠れた方がいいか?いやでもそれだといったん火を消す必要が……。勿体ない……。



そんなことを思っていると現れたのは一人の少年である。



「師匠の家からご飯の良い匂いがするなんておかしい!もしや、火事!?」



そう言って飛び込んできたが、俺の姿を見るとはたと目を瞬かせた。

それから首を傾げる。



「子供……?」

「……おはようございます」

「あ、お、おはようございます……?」



お互いに誰か分からないけれどとりあえず朝の挨拶をする。そして沈黙。

どうしよう。こういう時っていったい何を話せば……。



「梓!!」



すると、紫さんの声が聞こえた。それから彼の足音が聞こえてこちらに慌てた様子で飛び込んでくる。

それからむんずっと彼の襟首をつかむと簡単に持ち上げる。



「何勝手に入って来てんだお前!」

「申し訳ありません。でも、師匠の家からご飯の良い匂いがするなんておかしいと思い……。煙出てるし、火事だと……」



少年は申し訳なさそうな表情でそういった。すると紫さんは力強くうなずく。



「いつもならそうだ!!」

「やっぱり!!」

「でも今は違う!」

「なぜ!?」

「作ってるのは俺じゃないから!!」

「……はっ!」



そこで、厨に立っているのが俺であることに気付いて少年ははっと我に返る。そして俺を上から下まで見た後にばっと紫さんを見る。



「誘拐ですか?」

「誘拐したのは兄さんだから」

「見損ないました。通報します」

「違います!保護!保護してくれて今は雇われてます!!」



ご飯作ってるだけなのにまさかの火事騒ぎから誘拐事件に発展するとは思わない。慌ててそう言うとえっともっと驚きの表情を見せた。



「この人、刀を作る腕しかないですよ……?無駄にご飯食べるし、弟子にたかるし、厳しいし、ご飯丸焦げにするし」

「お前の俺に対する評価は分かった。来い、今日は特別に鍛えてやる」

「そう言って、ずっと鉄を打つだけじゃないですか」

「基本が出来てねえって言ってんだよ!」



ぎゃいぎゃいと二人が言い合いを始めてしまった。

おろおろとその場でどうするべきか迷っていると、のっそりと叢雲さんがやって来た。そして言い合いをしている彼らをちらっと見た後にすすすっと俺に近づく。




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