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方針
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「ところで、静紀はこれからどうするの?」
「それは―――」
「そろそろ入っても良いですか?」
ふっと俺と久遠の背後に雫さんが現れた。相変わらず気配がない。雫さんは神様に近い存在だから恐らく人である俺には感知するのが難しい。それでも頑張って雫さんの気配を探ろうとはしているのだが、努力は今のところ実を結んでいない。
雫さんの登場に俺は軽く驚くが、すっと久遠は表情を無くして冷たく言い放つ。
「……空気読めば?」
「読んできました。そろそろ今回、ここに戻ってきたのはただ七宝の選定に参加するためではないことをお伝えしたくて」
「お前から聞きたくないから口閉じて?」
「く、久遠、落ち着いて……っ! 雫さんも、俺から話ますので……!」
雫さんと久遠の間で冷たい空気が流れる。慌てて俺がそう言うと雫さんは俺の後ろにたつ。じろりと久遠は雫さんを威嚇しており、必死で俺の方を見てくれと久遠の服の裾を引っ張る。どうにか、意識を俺の方に向けてほしい……。そう思ってじっと見つめているとそれに気づいた久遠がこちらを見た後にちゅっと軽く俺に唇を落とした。
「っ!!」
「ごめん、可愛くてつい……」
「う、うんわかった。とりあえず、俺の話を聞いてくれる?」
「うん!」
久遠の接吻に俺は思わず動揺する。軽く咳払いをしてどうにか平静をを保つと、久遠がこくんと素直に頷いた。
とりあえず落ち着いて話を聞いてくれるようだ。
「神様の争いに俺が雫さんの代理人として参加しているのは分かってると思う。それで他の代理人たちを脱落させてこの争いを終わらせているということも」
「うん。その無能のせいで静紀が巻き込まれてるんだよね?」
「本当、しーちゃんには負担をかけて申し訳ないです」
「分かってるなら他の人に変えるとか努力しろよ」
「ひとまず! 最後まで俺の話を聞いて欲しい!!」
「うんわかった!」
またしても口げんかが始まりそうになり、俺は仲裁する。久遠はすぐに二つ返事で了承してくれる。じっと久遠を見つめて本当に大丈夫なのだろうかと不安になるが、彼のことを信じよう。
「相手の力をそいで、最後の代理人を雫さんが突き止めて分かったんだ。それが俺の弟、毘沙門理央」
始め聞いたときは驚いた。彼に、神様と取引をするほどの願望があるなんて思わなかった。何でも持っていて、何でも俺のものを持って行く彼に欲しいものがあるなんて信じられなかった。
だから、今回俺が色々変えてしまったからだと思った。でも、雫さんは首を振った。
前のやり直しの時もそうだったのだと知ったのだ。
そうなると話は全く別物になってしまう。
前の時に結界を壊したのも、妖魔を入れたのも全部彼の仕業かもしれない。恐らくだが、自分が七宝に選ばれなかったからではないだろうか。最後に結界を張り直しするために弟も参加していたし、結界を壊す事は容易だろう。妖魔を操っているのは、弟が契約を結んだ神様にでも手伝って貰ったのだろう。
だから、今度は絶対にそんなことはさせない。
「弟と、決着をつける。此は俺個人の問題になるから久遠は見守って欲しい」
あれでも俺の家族で、今まで恐ろしいと思っていた存在。今でも、彼のことを考えると手が震えてしまうけれど、いつまでも怯えているわけにはいかない。
俺には、俺よりも大事で守らなければいけない存在がいるから。
「……分かった。静紀がそう言うなら」
久遠が、ふわりと少し困ったように笑顔を見せた。俺はそのことにほっとしながらも同じように顔をほころばせる。
「うん、ありがとう」
「でも! 必要なら何でも言ってね!?」
「勿論」
ぎゅっと手を握られて、もう一度軽く唇が重なる。はっとして、流石に雫さんがいるところでは恥ずかしいと思い軽く久遠の肩を叩くとすっと離れた。
「し、雫さんが……」
「もういないよ?」
「え?」
そんな馬鹿なと周りを見ると、確かに久遠の言うとおり雫さんはいない。こつんっと久遠の額が軽く当たる。至近距離で彼の熱っぽいまなざしを受けた。
「だから、いい……?」
そんな彼に俺はそっと目を閉じた。
「それは―――」
「そろそろ入っても良いですか?」
ふっと俺と久遠の背後に雫さんが現れた。相変わらず気配がない。雫さんは神様に近い存在だから恐らく人である俺には感知するのが難しい。それでも頑張って雫さんの気配を探ろうとはしているのだが、努力は今のところ実を結んでいない。
雫さんの登場に俺は軽く驚くが、すっと久遠は表情を無くして冷たく言い放つ。
「……空気読めば?」
「読んできました。そろそろ今回、ここに戻ってきたのはただ七宝の選定に参加するためではないことをお伝えしたくて」
「お前から聞きたくないから口閉じて?」
「く、久遠、落ち着いて……っ! 雫さんも、俺から話ますので……!」
雫さんと久遠の間で冷たい空気が流れる。慌てて俺がそう言うと雫さんは俺の後ろにたつ。じろりと久遠は雫さんを威嚇しており、必死で俺の方を見てくれと久遠の服の裾を引っ張る。どうにか、意識を俺の方に向けてほしい……。そう思ってじっと見つめているとそれに気づいた久遠がこちらを見た後にちゅっと軽く俺に唇を落とした。
「っ!!」
「ごめん、可愛くてつい……」
「う、うんわかった。とりあえず、俺の話を聞いてくれる?」
「うん!」
久遠の接吻に俺は思わず動揺する。軽く咳払いをしてどうにか平静をを保つと、久遠がこくんと素直に頷いた。
とりあえず落ち着いて話を聞いてくれるようだ。
「神様の争いに俺が雫さんの代理人として参加しているのは分かってると思う。それで他の代理人たちを脱落させてこの争いを終わらせているということも」
「うん。その無能のせいで静紀が巻き込まれてるんだよね?」
「本当、しーちゃんには負担をかけて申し訳ないです」
「分かってるなら他の人に変えるとか努力しろよ」
「ひとまず! 最後まで俺の話を聞いて欲しい!!」
「うんわかった!」
またしても口げんかが始まりそうになり、俺は仲裁する。久遠はすぐに二つ返事で了承してくれる。じっと久遠を見つめて本当に大丈夫なのだろうかと不安になるが、彼のことを信じよう。
「相手の力をそいで、最後の代理人を雫さんが突き止めて分かったんだ。それが俺の弟、毘沙門理央」
始め聞いたときは驚いた。彼に、神様と取引をするほどの願望があるなんて思わなかった。何でも持っていて、何でも俺のものを持って行く彼に欲しいものがあるなんて信じられなかった。
だから、今回俺が色々変えてしまったからだと思った。でも、雫さんは首を振った。
前のやり直しの時もそうだったのだと知ったのだ。
そうなると話は全く別物になってしまう。
前の時に結界を壊したのも、妖魔を入れたのも全部彼の仕業かもしれない。恐らくだが、自分が七宝に選ばれなかったからではないだろうか。最後に結界を張り直しするために弟も参加していたし、結界を壊す事は容易だろう。妖魔を操っているのは、弟が契約を結んだ神様にでも手伝って貰ったのだろう。
だから、今度は絶対にそんなことはさせない。
「弟と、決着をつける。此は俺個人の問題になるから久遠は見守って欲しい」
あれでも俺の家族で、今まで恐ろしいと思っていた存在。今でも、彼のことを考えると手が震えてしまうけれど、いつまでも怯えているわけにはいかない。
俺には、俺よりも大事で守らなければいけない存在がいるから。
「……分かった。静紀がそう言うなら」
久遠が、ふわりと少し困ったように笑顔を見せた。俺はそのことにほっとしながらも同じように顔をほころばせる。
「うん、ありがとう」
「でも! 必要なら何でも言ってね!?」
「勿論」
ぎゅっと手を握られて、もう一度軽く唇が重なる。はっとして、流石に雫さんがいるところでは恥ずかしいと思い軽く久遠の肩を叩くとすっと離れた。
「し、雫さんが……」
「もういないよ?」
「え?」
そんな馬鹿なと周りを見ると、確かに久遠の言うとおり雫さんはいない。こつんっと久遠の額が軽く当たる。至近距離で彼の熱っぽいまなざしを受けた。
「だから、いい……?」
そんな彼に俺はそっと目を閉じた。
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