41 / 64
いざ、クニさんのマンション。
お迎えが来た
しおりを挟む
クニは20分ほどであずみの待つところにやって来た。
あずみは何のためらいもなく開けられたドアに乗り込んだ。
「クニさん。ありがとうございます。」
「いいんだ。あずみ君のピンチに呼んでもらえて、とてもうれしい。
しかも、ちょうど近くで仕事をしていたんだ。なんだか運命を感じてしまったよ。
送って行くのは僕のマンションでいいかな?」
「はい。いいです。僕はもうお家には帰りません。」
「それって・・・愛の告白って受け取っていいのかな?」
「はい。構いません。僕、クニさんのところへお嫁に行きます。これから末永く宜しくお願い致します。」
「あずみ君・・・・」
クニは車を路肩に止めてあずみを抱きしめた。
「あ、あ・・・うれしいよ、とっても・・・半分は諦めていたんだ。僕は君よりかなり年上だから、僕といてもきっと面白くないんだろうな・・・と思っていた。
約束の日を迎えるのがとても怖くて・・・でも、こんなに早くうれしい返事が貰えるなんて・・・」
クニは目を潤ませてあずみの顔を見た、ほおに手を当てて静かに唇を寄せて来た。
けれど、軽く触れあっただけで、クニはさっとあずみから手を放し車を走らせた。
「どうしてもっとキスしてくれないのですか?」
「ここでキスしたら君を抱き締めたまま、ここで朝を迎えてしまいそうだ。
だから・・・」
車はさっき雅が走らせていた方向とは逆の方向に走って行った。
あずみはもうベッドで寝れるならどこでもいいや・・・と思い、スマフォの電源を切った。
電源を切ったことで、クニはあずみの愛を感じていた。
マンションはとても高く、見晴らしのいいところだった。見下ろすときらびやかな街の明かりと大きな駅が見えて、電車がしきりに出入りするのが見えた。
「いいところですね。僕の家は郊外で、静かですが何もないところです。」
「それもいいじゃないか・・・」
窓に寄りそうように立ったあずみを後ろから抱き、頬を寄せた。
「お腹すいているだろ。出前を取っておいたから届いたら先食べて。シャワーの使い方はわかるかい?」
「クニさんお出かけするのですか?」
「ああ・・・僕にも仕事があるからね。
君から返事をもらう約束の日まで、一人で何も考えないことが怖くて・・・仕事をたっぷりと入れてしまったんだ。でも、早く終わらせるからね。君はここで待っていて・・・。」
「はい。」
「素直でいいね・・・先にシャワー浴びてきなさい。僕はまだ少し時間があるから、出前を待っていてあげるよ。」
あずみは返事を返すこともなくシャワールームへ向かった。
(遊園地に行く約束をしたときはあんなに楽しかったのに、今は全く楽しくない。あれはただ、遊園地に行けることが楽しかったからで、クニといることが楽しかったわけじゃなかったんだ・・・)
そう気づいてはいたが、今更帰る場所も、帰る手立てもなく、少し冷たいシャワーに打たれていた。
(雅のことは忘れよう・・・忘れるのが一番いい。
土台無理な話だ。もともとお兄様のモノだったのだし、お兄様とキスしているのも、それ以上のことをしているのも何度も見ている。なのに、なんなんだ、この気持ち・・・
しかも、雅に抱かれたときのあのすっぽりと納まったあの感じ・・・
ずっと持っていた箸がたまたまもらった箸箱にちゃんと納まって、やった!と思うようなあの感じ・・・いや、箸なんかだいたいのサイズが決められているものは、ちゃんと納まって当たり前だ、そんなんじゃない・・・
そんなんじゃないが・・・規夫君も言っていた、胸の幅、腕の長さが、自分にちょうどいい・・・そんな感じがした。けど・・・勘違いだった・・・)
あずみはシャワーから出られなくなった。また涙が出て止まらなくなっていた。
踵から背中を通って頭の先まで、自分を埋めていた何かが壊れて涙と一緒に流れ落ちていく。とめどなく・・・
(え、ひょっとして・・・これって・・・失恋?)
あずみはまさか・・・そんなことはないはずだど、シャワーを強く出した。ほぼ水だった。
まるで修行をするかのように、ものすごい勢いの・・・立ってはいられないほどの水に当たった。
あずみは何のためらいもなく開けられたドアに乗り込んだ。
「クニさん。ありがとうございます。」
「いいんだ。あずみ君のピンチに呼んでもらえて、とてもうれしい。
しかも、ちょうど近くで仕事をしていたんだ。なんだか運命を感じてしまったよ。
送って行くのは僕のマンションでいいかな?」
「はい。いいです。僕はもうお家には帰りません。」
「それって・・・愛の告白って受け取っていいのかな?」
「はい。構いません。僕、クニさんのところへお嫁に行きます。これから末永く宜しくお願い致します。」
「あずみ君・・・・」
クニは車を路肩に止めてあずみを抱きしめた。
「あ、あ・・・うれしいよ、とっても・・・半分は諦めていたんだ。僕は君よりかなり年上だから、僕といてもきっと面白くないんだろうな・・・と思っていた。
約束の日を迎えるのがとても怖くて・・・でも、こんなに早くうれしい返事が貰えるなんて・・・」
クニは目を潤ませてあずみの顔を見た、ほおに手を当てて静かに唇を寄せて来た。
けれど、軽く触れあっただけで、クニはさっとあずみから手を放し車を走らせた。
「どうしてもっとキスしてくれないのですか?」
「ここでキスしたら君を抱き締めたまま、ここで朝を迎えてしまいそうだ。
だから・・・」
車はさっき雅が走らせていた方向とは逆の方向に走って行った。
あずみはもうベッドで寝れるならどこでもいいや・・・と思い、スマフォの電源を切った。
電源を切ったことで、クニはあずみの愛を感じていた。
マンションはとても高く、見晴らしのいいところだった。見下ろすときらびやかな街の明かりと大きな駅が見えて、電車がしきりに出入りするのが見えた。
「いいところですね。僕の家は郊外で、静かですが何もないところです。」
「それもいいじゃないか・・・」
窓に寄りそうように立ったあずみを後ろから抱き、頬を寄せた。
「お腹すいているだろ。出前を取っておいたから届いたら先食べて。シャワーの使い方はわかるかい?」
「クニさんお出かけするのですか?」
「ああ・・・僕にも仕事があるからね。
君から返事をもらう約束の日まで、一人で何も考えないことが怖くて・・・仕事をたっぷりと入れてしまったんだ。でも、早く終わらせるからね。君はここで待っていて・・・。」
「はい。」
「素直でいいね・・・先にシャワー浴びてきなさい。僕はまだ少し時間があるから、出前を待っていてあげるよ。」
あずみは返事を返すこともなくシャワールームへ向かった。
(遊園地に行く約束をしたときはあんなに楽しかったのに、今は全く楽しくない。あれはただ、遊園地に行けることが楽しかったからで、クニといることが楽しかったわけじゃなかったんだ・・・)
そう気づいてはいたが、今更帰る場所も、帰る手立てもなく、少し冷たいシャワーに打たれていた。
(雅のことは忘れよう・・・忘れるのが一番いい。
土台無理な話だ。もともとお兄様のモノだったのだし、お兄様とキスしているのも、それ以上のことをしているのも何度も見ている。なのに、なんなんだ、この気持ち・・・
しかも、雅に抱かれたときのあのすっぽりと納まったあの感じ・・・
ずっと持っていた箸がたまたまもらった箸箱にちゃんと納まって、やった!と思うようなあの感じ・・・いや、箸なんかだいたいのサイズが決められているものは、ちゃんと納まって当たり前だ、そんなんじゃない・・・
そんなんじゃないが・・・規夫君も言っていた、胸の幅、腕の長さが、自分にちょうどいい・・・そんな感じがした。けど・・・勘違いだった・・・)
あずみはシャワーから出られなくなった。また涙が出て止まらなくなっていた。
踵から背中を通って頭の先まで、自分を埋めていた何かが壊れて涙と一緒に流れ落ちていく。とめどなく・・・
(え、ひょっとして・・・これって・・・失恋?)
あずみはまさか・・・そんなことはないはずだど、シャワーを強く出した。ほぼ水だった。
まるで修行をするかのように、ものすごい勢いの・・・立ってはいられないほどの水に当たった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる