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復讐、山内和人、如月への愛
復讐、山内和人、如月への愛
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月曜、如月の乗った車は高速道路から一般道に移り、山のほうへ向かっていた。
建物も外灯も少なく、夜は闇のように深い。
空には星が輝いていた。憎らしいほどの満天の星が輝く美しい空だった。
そしてさらに深い闇の奥へと吸い込まれるように車は走った。
その場所についたのはまだ、あたりが深い闇の中にいる時だった。
表向きにはごく普通の街医者だ。外来の患者を受け入れる入口もある。
だが、迎え入れられたのは、脇にある別の扉からだった。運転手が扉を開けると、如月ひとりが入ってすぐに扉は閉じられた。
暗い病院の中で頼りになるあかりは非常口を知らせる看板のあかりと、所々にある非常灯だけ。
壁つたいに、とにかくまっすぐに歩き、唯一明かりのついていた階段を登った。
二階に上がり、長い廊下を左に曲がると急に広いフロアに出た。
如月はその光景をとても奇妙に感じた。広いフロアは長い廊下とガラスで仕切られ、中には子供から老人まで、年も性別もいろいろな人が、この階だけで三十人ほどはいるだろうか・・・
ベッドで点滴をうつもの、なんだかよくわからない器械につながれているもの、いろいろだった。
「やっと会えましたね。」
和人は不穏な笑を浮かべて近づいてきた。
「如月教授。懐かしい。」
如月はニコリともしなかった。
「ココはいったい何の施設だ。」
「それを知ってどうしますか?」
和人は如月の警戒した顔を見て声をあげて笑った。
「如月さんには特別に教えてあげますよ。ココは新薬や新しい手術方を検査してデータを取っています。でもここにいる患者は、みなさん自分から進んでココへ来るんですよ。まあ、僕たちもチョッとは営業には行きますけどね。けっこう喜んでいただけています。
病院を出されたら帰る家のない人って結構いるんですよ。誰しもが日の当たる場所を歩けるとは限らない。
まさか、という人生の溝に落ちる人だっていますよ。そういう人たちの居場所を提供しているだけです。」
「それで君は金儲けをしているのだろう。」
「僕も生きていかなければならないのでね。少しは・・・」
「君の幸せはいったい何人の犠牲の上にあるんだ。」
「さあ・・・足元は見たことがないのでわかりません。では、あずみくんのところに参りましょうか・・・」
如月は案内されるがままに細長い廊下を歩み、表からはそこに部屋があるとは思えないような奥に通された。
「あずみは・・・」
「まあ、久しぶりに会えたのですから、ゆっくりと・・・まず椅子に座ってください。今、お茶を持って来させます。」
「お茶はいらない。わけのわからない奴から出されたものは口にしないときめている。」
「かっこいいね。相変わらず。そのクールなところ大好きです。」
如月は少し気味が悪くなり目をそらした
「僕はね、隼人があの大学に合格した時、如月さんを絶対手にいれてきてねとお願いした。
なのにいつまでたっても連れてこない。
気づいたら谷中って男といちゃついて、頭にきて叱ってやったら、あずみくんの家庭教師になったって。
あずみ君に合わせてもらった時、僕は隼人を初めて褒めました。ほんとうに嬉しかった。
あずみ君は頭がいいし可愛いし、なんといってもあなたの弟だった。
あなたに近づけたかと思っただけで、鳥肌が立った。」
「私に怨みがあったんじゃないのか。」
「怨み?いえいえ。僕はあなたに恋をしていた。あなたを愛していたんですよ。
気づきませんでしたか?でもあなたは手に入らない。
その代わりあずみ君を手にいれた。かわいいですね。純真で世間知らずで・・・でも、僕にはちょっと物足らない。やはりあなたのようにサディスティックに僕を見つめ、蔑み、徹底的に無視し続ける。なかなか手に入らない極上のダイヤのようなあなたでないと、僕にはふさわしくない。」
「相変わらず気味の悪い男だ。」
「嬉しいな…あなたがそういうと胸が踊るよ。」
「あずみのところへ案内しろ。」
「会いたいですか?」
「ああ、会わせてくれ。」
「わかりました。今は眠っていますよ。それでもいいですか。」
「ああ。」
如月は今いた場所からさらに奥へと通された。
ガラスで仕切られた小さな部屋にあずみは寝かされていた。
部屋の隅にはひどい傷を負った隼人が座っていた。
「隼人君・・・どうしたんだその傷。まさか・・・お前がやったのか。」
「ヤダな、如月さん。言うことを聞かないからお説教をしただけですよ。
あずみ君にちゃんと薬を与えるように言っているのに、あげないんです。
だからあずみ君はとても苦しんで・・・可哀そうでしょ。」
「違います。先生。あずみ君の飲んでいる薬は、本当は使ってはいけない薬で・・・」
そこまで言った隼人の顔を足で蹴ると、勢いよく床に体ごと投げ出された。
「大丈夫か・・・」
如月は隼人に駆け寄ると、隼人は眉のあたりが切れ、血を流していた。
それでも笑顔を見せ、
「先生、ごめんなさい。僕、先生を裏切ってしまいました。
あずみ君をこんな目に合わせて・・・僕、取り返しのつかないことをしてしまいました。
先生にもご迷惑をおかけして。本当にごめんなさい。」
「ああ、わかった、まず、手当てしてもらおう。」
「僕は大丈夫。あずみ君を見てあげてください。」
隼人は如月の手を取り、あずみのベッドのそばまで連れて行った。
あずみは仰向けに寝ていたが目を開けていた。
如月が覗き込むとうっすらと笑ったような気がしたが、何を見ているのか、自分とは焦点が合わない。
「あずみ・・・あずみ・・・」
何度か肩を揺らしてみたが望楼としたその様に変化はなかった。
「あずみ君は今、ちょうど薬が効き始めたころなんですよ。明日のお昼頃にはごく普通のあずみ君になりますよ。大丈夫。」
「大丈夫って・・・おまえなんてことしたんだ。」
「あれ如月さん。泣いているんですか?やめてくださいよ。あなたの冷ややかに人を見下したような顔が僕は好きなのにな…」
バカにしたような甲高い笑い声をあげながら、指先で如月のほほを流れる涙を指でたどった。
「クールで知的で氷のように冷たいのにみんなに愛される。
羨ましいじゃないですか。頭も良くて将来も約束されている。
望まなくても全てを手に入れてしまう。
僕の欲しいものはみんな持っている。
だからあなたの大切なものをもらった。
でもたった1個じゃないですか。」
如月は山内をもう一度見た。いったいどんな顔をしてこんなおそろしい事が言えるのかとまじまじと見た。
悪びれる様子もなく、次から次と動く唇に震えるほど苛立った。
「それで、できればもう一つほしいものあるんですけど。」
如月は返事すらしなかった。もう一刻もはやくこの場を立ち去りたかった。
「山波さん。いただけませんか?」
「断る。」
「でも来ますよ。山波さんは、絶対にここへ来る。
その時、あなたが山波さんを僕にくれるならこのままあなたには何もしない。
けれど山波さんを僕にくれないのなら、あなたは僕とずっとここにいる。
どちらがいいですか?」
如月は一度額に手を当て、山内の顔を見てきっぱりと言った。
「あずみと隼人も返してやってくれ。私はそのくらいの価値があるはずだ。」
山内はそのキリリとにらみつけた顔に感動し、猟奇的に笑った。
「いいですよ。あなたならきっとそう言ってくれると思っていました。
そういう自意識過剰なところ、大好きです。
あずみ君は僕の知り合いの病院に入院させます。隼人はその付き添いとして行かせましょう。
何かあっても、ここへ連絡が入るようにしておきますから、あなたは何も心配せずにここで私と暮らせますよ。」
「あずみも隼人もうちの鈴木さんに迎えに行くよう、屋敷に電話をかけてくれ。」
「それはちょっと・・・あずみ君にはまだ治療が必要ですし・・・隼人は・・・」
「隼人ももう自由にしてやれ。可哀そうだと思わないのか。」
「如月さん・・・違いますよ、根本的なことをわかっていない。
隼人は、どこでどんな風に生きるのかを理解した上で自分から戻ってくるんですよ。
帰巣本能です。僕はほんのたまに電話をかけるだけ。それでもちゃんと言うことを聞くように、小さい時からしつけをしてあるんです。だから、如月さんのところで飼いならせないんですよ。」
「彼はやっと本当の愛を知ったところだったんだ。頼む。自由にさせてやってくれ。」
「如月さん・・・頼むとか、言ってほしくなかったな・・・まあいいです。賭けましょう。僕の元から離れて、あなたに飼いならせるかどうか・・・あ、あなたはここにいるんでしたね。」
また山内は気味悪く館内に響き渡るような大声をあげて笑い出した。
何処から現れたのか二人の白衣を着た男に両腕を掴まれ、その部屋から出されようとしていた。
隼人は涙を流しながら如月の名前を何度も叫んだが無情にも扉は閉められ、二人の様子を見ることもできなくなった。
「では、特別室へご案内いたします。」
白衣を着た男は、同じフロアの角にある小さな個室へと連れて行き、ベッドに拘束すると、血圧や脈拍、心拍数の計測器をとりつけられた。
「山波さんに助けを求めますか?電話貸しますよ。山波さんに電話を掛けてくれるなら今すぐ、はずします。」
山波の挑発するような言葉に、如月はなにも言わず横を向いた。
「そうですか。如月さんともっとお話ししていたいですけど僕にも仕事があるので、
この人たちはちゃんとしたお医者様だから安心してください。チョット眠くなるだけです。」
「何をするつもりだ。」
「今は言えません、知らない方が幸せでしょう。それでは・・・」
如月はそのままベッドに吸い付くように眠った。
建物も外灯も少なく、夜は闇のように深い。
空には星が輝いていた。憎らしいほどの満天の星が輝く美しい空だった。
そしてさらに深い闇の奥へと吸い込まれるように車は走った。
その場所についたのはまだ、あたりが深い闇の中にいる時だった。
表向きにはごく普通の街医者だ。外来の患者を受け入れる入口もある。
だが、迎え入れられたのは、脇にある別の扉からだった。運転手が扉を開けると、如月ひとりが入ってすぐに扉は閉じられた。
暗い病院の中で頼りになるあかりは非常口を知らせる看板のあかりと、所々にある非常灯だけ。
壁つたいに、とにかくまっすぐに歩き、唯一明かりのついていた階段を登った。
二階に上がり、長い廊下を左に曲がると急に広いフロアに出た。
如月はその光景をとても奇妙に感じた。広いフロアは長い廊下とガラスで仕切られ、中には子供から老人まで、年も性別もいろいろな人が、この階だけで三十人ほどはいるだろうか・・・
ベッドで点滴をうつもの、なんだかよくわからない器械につながれているもの、いろいろだった。
「やっと会えましたね。」
和人は不穏な笑を浮かべて近づいてきた。
「如月教授。懐かしい。」
如月はニコリともしなかった。
「ココはいったい何の施設だ。」
「それを知ってどうしますか?」
和人は如月の警戒した顔を見て声をあげて笑った。
「如月さんには特別に教えてあげますよ。ココは新薬や新しい手術方を検査してデータを取っています。でもここにいる患者は、みなさん自分から進んでココへ来るんですよ。まあ、僕たちもチョッとは営業には行きますけどね。けっこう喜んでいただけています。
病院を出されたら帰る家のない人って結構いるんですよ。誰しもが日の当たる場所を歩けるとは限らない。
まさか、という人生の溝に落ちる人だっていますよ。そういう人たちの居場所を提供しているだけです。」
「それで君は金儲けをしているのだろう。」
「僕も生きていかなければならないのでね。少しは・・・」
「君の幸せはいったい何人の犠牲の上にあるんだ。」
「さあ・・・足元は見たことがないのでわかりません。では、あずみくんのところに参りましょうか・・・」
如月は案内されるがままに細長い廊下を歩み、表からはそこに部屋があるとは思えないような奥に通された。
「あずみは・・・」
「まあ、久しぶりに会えたのですから、ゆっくりと・・・まず椅子に座ってください。今、お茶を持って来させます。」
「お茶はいらない。わけのわからない奴から出されたものは口にしないときめている。」
「かっこいいね。相変わらず。そのクールなところ大好きです。」
如月は少し気味が悪くなり目をそらした
「僕はね、隼人があの大学に合格した時、如月さんを絶対手にいれてきてねとお願いした。
なのにいつまでたっても連れてこない。
気づいたら谷中って男といちゃついて、頭にきて叱ってやったら、あずみくんの家庭教師になったって。
あずみ君に合わせてもらった時、僕は隼人を初めて褒めました。ほんとうに嬉しかった。
あずみ君は頭がいいし可愛いし、なんといってもあなたの弟だった。
あなたに近づけたかと思っただけで、鳥肌が立った。」
「私に怨みがあったんじゃないのか。」
「怨み?いえいえ。僕はあなたに恋をしていた。あなたを愛していたんですよ。
気づきませんでしたか?でもあなたは手に入らない。
その代わりあずみ君を手にいれた。かわいいですね。純真で世間知らずで・・・でも、僕にはちょっと物足らない。やはりあなたのようにサディスティックに僕を見つめ、蔑み、徹底的に無視し続ける。なかなか手に入らない極上のダイヤのようなあなたでないと、僕にはふさわしくない。」
「相変わらず気味の悪い男だ。」
「嬉しいな…あなたがそういうと胸が踊るよ。」
「あずみのところへ案内しろ。」
「会いたいですか?」
「ああ、会わせてくれ。」
「わかりました。今は眠っていますよ。それでもいいですか。」
「ああ。」
如月は今いた場所からさらに奥へと通された。
ガラスで仕切られた小さな部屋にあずみは寝かされていた。
部屋の隅にはひどい傷を負った隼人が座っていた。
「隼人君・・・どうしたんだその傷。まさか・・・お前がやったのか。」
「ヤダな、如月さん。言うことを聞かないからお説教をしただけですよ。
あずみ君にちゃんと薬を与えるように言っているのに、あげないんです。
だからあずみ君はとても苦しんで・・・可哀そうでしょ。」
「違います。先生。あずみ君の飲んでいる薬は、本当は使ってはいけない薬で・・・」
そこまで言った隼人の顔を足で蹴ると、勢いよく床に体ごと投げ出された。
「大丈夫か・・・」
如月は隼人に駆け寄ると、隼人は眉のあたりが切れ、血を流していた。
それでも笑顔を見せ、
「先生、ごめんなさい。僕、先生を裏切ってしまいました。
あずみ君をこんな目に合わせて・・・僕、取り返しのつかないことをしてしまいました。
先生にもご迷惑をおかけして。本当にごめんなさい。」
「ああ、わかった、まず、手当てしてもらおう。」
「僕は大丈夫。あずみ君を見てあげてください。」
隼人は如月の手を取り、あずみのベッドのそばまで連れて行った。
あずみは仰向けに寝ていたが目を開けていた。
如月が覗き込むとうっすらと笑ったような気がしたが、何を見ているのか、自分とは焦点が合わない。
「あずみ・・・あずみ・・・」
何度か肩を揺らしてみたが望楼としたその様に変化はなかった。
「あずみ君は今、ちょうど薬が効き始めたころなんですよ。明日のお昼頃にはごく普通のあずみ君になりますよ。大丈夫。」
「大丈夫って・・・おまえなんてことしたんだ。」
「あれ如月さん。泣いているんですか?やめてくださいよ。あなたの冷ややかに人を見下したような顔が僕は好きなのにな…」
バカにしたような甲高い笑い声をあげながら、指先で如月のほほを流れる涙を指でたどった。
「クールで知的で氷のように冷たいのにみんなに愛される。
羨ましいじゃないですか。頭も良くて将来も約束されている。
望まなくても全てを手に入れてしまう。
僕の欲しいものはみんな持っている。
だからあなたの大切なものをもらった。
でもたった1個じゃないですか。」
如月は山内をもう一度見た。いったいどんな顔をしてこんなおそろしい事が言えるのかとまじまじと見た。
悪びれる様子もなく、次から次と動く唇に震えるほど苛立った。
「それで、できればもう一つほしいものあるんですけど。」
如月は返事すらしなかった。もう一刻もはやくこの場を立ち去りたかった。
「山波さん。いただけませんか?」
「断る。」
「でも来ますよ。山波さんは、絶対にここへ来る。
その時、あなたが山波さんを僕にくれるならこのままあなたには何もしない。
けれど山波さんを僕にくれないのなら、あなたは僕とずっとここにいる。
どちらがいいですか?」
如月は一度額に手を当て、山内の顔を見てきっぱりと言った。
「あずみと隼人も返してやってくれ。私はそのくらいの価値があるはずだ。」
山内はそのキリリとにらみつけた顔に感動し、猟奇的に笑った。
「いいですよ。あなたならきっとそう言ってくれると思っていました。
そういう自意識過剰なところ、大好きです。
あずみ君は僕の知り合いの病院に入院させます。隼人はその付き添いとして行かせましょう。
何かあっても、ここへ連絡が入るようにしておきますから、あなたは何も心配せずにここで私と暮らせますよ。」
「あずみも隼人もうちの鈴木さんに迎えに行くよう、屋敷に電話をかけてくれ。」
「それはちょっと・・・あずみ君にはまだ治療が必要ですし・・・隼人は・・・」
「隼人ももう自由にしてやれ。可哀そうだと思わないのか。」
「如月さん・・・違いますよ、根本的なことをわかっていない。
隼人は、どこでどんな風に生きるのかを理解した上で自分から戻ってくるんですよ。
帰巣本能です。僕はほんのたまに電話をかけるだけ。それでもちゃんと言うことを聞くように、小さい時からしつけをしてあるんです。だから、如月さんのところで飼いならせないんですよ。」
「彼はやっと本当の愛を知ったところだったんだ。頼む。自由にさせてやってくれ。」
「如月さん・・・頼むとか、言ってほしくなかったな・・・まあいいです。賭けましょう。僕の元から離れて、あなたに飼いならせるかどうか・・・あ、あなたはここにいるんでしたね。」
また山内は気味悪く館内に響き渡るような大声をあげて笑い出した。
何処から現れたのか二人の白衣を着た男に両腕を掴まれ、その部屋から出されようとしていた。
隼人は涙を流しながら如月の名前を何度も叫んだが無情にも扉は閉められ、二人の様子を見ることもできなくなった。
「では、特別室へご案内いたします。」
白衣を着た男は、同じフロアの角にある小さな個室へと連れて行き、ベッドに拘束すると、血圧や脈拍、心拍数の計測器をとりつけられた。
「山波さんに助けを求めますか?電話貸しますよ。山波さんに電話を掛けてくれるなら今すぐ、はずします。」
山波の挑発するような言葉に、如月はなにも言わず横を向いた。
「そうですか。如月さんともっとお話ししていたいですけど僕にも仕事があるので、
この人たちはちゃんとしたお医者様だから安心してください。チョット眠くなるだけです。」
「何をするつもりだ。」
「今は言えません、知らない方が幸せでしょう。それでは・・・」
如月はそのままベッドに吸い付くように眠った。
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