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アメリアの増長
しおりを挟むダリウスとアメリアはひっそりと交流を深め、それと同時にマルガレーテとの溝は深まっていった。
最近では、そこにアーサンも加わり生徒会の中でも微妙な空気が流れる事も増えた。
マルガレーテはダリウスに苦言を呈したが、それを聞き入れる事はなく、あくまでも友人として付き合っており、やましい事はないと一蹴されていた。
ダリウスとの事だけではなく、高位貴族のマルガレーテのところには婚約者がアメリアと距離が近い事を相談してくる者もいる為、本人にも注意したが、すぐに涙を浮かべ「そんなつもりはなかった」と謝罪を口にする。
その後に、ダリウスや取り巻きたちがマルガレーテに抗議をし、アメリアを慰めるというパターンの状況が増えていき、中には婚約を解消する者たちが出てきていた。
そんな中、行事の相談をすることがあり生徒会室で昼食会をする事になった。
集まっているとダリウスとアーサンが遅れてやってきて、その後ろには何故かアメリアの姿があった。
「アメリア嬢も一緒にどうかと思って連れてきたんだ。一生徒の意見も聞いてみるのもいいだろう?」
ダリウスがにこにこしながら言うと、アーサンも同意見らしくうなずいている。
そんな二人の間に立つアメリアは表情を緩め、わずかに頬を赤らめている。
「ダリウス様、アーサン様、本日は生徒会の昼食会ですわ。友人とのランチではありません。生徒会役員以外の方の参加はいかがなものかと思いますわ。」
眉をひそめながらマルガレーテがそう言えば、アメリアはビクッと体を震わせ、ピンクブラウンの瞳に涙を浮かべる。
「す、すみません…ダリウス様達は悪くないんです。わたしでもお役に立てたらと思ってついてきてしまったんです。」
「君は何でそんなに冷たいんだ!アメリア嬢が好意で言っているのに、もう少し優しく接する事はできないのか?」
ダリウスがマルガレーテを睨みつけて怒鳴ると、それに続いてアーサンも参戦する。
「マルガレーテ嬢はーアメリア嬢に嫉妬してるんでしょ?僕たちはただ友人として付き合っているだけでやましい事はないんだよー?アメリア嬢に当たるのは醜いからやめなよー」
(はぁ、こいつらは本当に…)
公私混同しているダリウスとアーサンにも呆れるが、ついに生徒会にまで入り込もうとしているアメリアの増長っぷりにも危機感を覚える。
「はい、そこまでだよー、ダリウス?アーサン?マルガレーテ嬢の言っている事は正しいよ?今日は生徒会役員での話し合いなんだ、勝手に部外者を連れてくるのはルール違反じゃないのかい?」
アメリアがいる為、表用の喋り口調で柔和な笑顔を見せながらレイルに言われると、ダリウスたちは少し気まずそうな顔をした。
「ブライトン伯爵令嬢も申し訳ないが、こういうのは控えてくれないかな?一応、ここには機密情報もあったりするから、こちらが正式に呼んだ時以外にあまり部外者に入って欲しくないんだ。」
さすがに皇子であるレイルに言われてしまえば押し通す事もできない。
これで諦めて戻るだろうと思った。
「す、すみません…わたし、皆さんともう少し親しくできたらと思っていただけなんです…」
そう言ったかと思えば、うるうるとした瞳でレイルを上目遣いに見つめていた。
「……うん、じゃあ、今度何か手伝って欲しい事があれば声をかけるから今日のところは戻ってくれるかな?」
まさか食い下がってくるとは思わなかったのか、眉が一瞬ピクッと動いたが笑みを浮かべたまま退室を促した。
皇子が声をかけてくれる、という事に納得したのか、ようやく退室して行った。何故か、ダリウスとアーサンと共に。
ようやく過ぎ去った嵐に三人とも、どっと疲れを感じながら溜め息をついた。
「あの二人って、あんなにバカだったか?あれじゃあ、俺の側に置いておけないぞ?」
「ブライトン伯爵令嬢は人の懐に入り込むのが上手なんだろうが…少し増長してきたな」
プライベートモードに切り替えたレイルが呆れながら吐き出した。
確かに公私混同する者を皇族の傍には置けない。
下手をすれば身を危険に曝す事になるかもしれない。
(ダリウスとアーサンは脱落するかもな…)
これからの事を考えると溜め息しか出なくなった。
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