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近付く運命の日〜ダリウスside
しおりを挟むようやく父上からの謹慎が解けた為、翌日から学院に復学した。
マルガレーテとの婚約は、中立派であるローゼンベルク公爵家を皇帝派に近付ける為に結ばれた政略的な物だった。
初めて会った時のマルガレーテは、緊張しているのが丸わかりでそれを必死に隠そうと、釣り目にぎゅっと力が入っているのが可愛いなと思った。
私はレイルの側近候補で帝城に行く機会も多く、「病弱でなかなか会えないんだ」と、なかなか会えない双子の姉皇女殿下を思い、寂しそうに漏らしたレイルの為にもいいんじゃないか?と思い、マルガレーテも連れて行くようになった。
それからはレイルと私とマルガレーテ、そしてセドリックの四人の時間が増えた。
もちろん、たまにマルガレーテと二人の時間も作った。
しかし、公爵令嬢のマルガレーテは高位貴族としての教育が進むにつれ、出会った頃のように感情がすぐ表情に出ないようになっていった。
いずれ、カスティエール公爵夫人になるのなら必要な事ではある。
ただ何を言っても、プレゼントを送っても変わらない表情、口調を聞いてるうちに私も表面的な対応しかしなくなっていった。
15歳になり、学院に入学しても今までと何も変わらない日々…
当然だ、学院はただ勉強だけを学ぶ場ではない。
平民から皇族まで通うこの『小さな帝国』中で、次期公爵としての適正を示さなければならない。
その為には隙を見せてはいけないのだ。
そんな時にアメリアに出会った。
学院に途中入学したアメリアが、愛人の子であり平民育ちの令嬢だという噂は耳にしていた。
三年生になり、アメリアと同じクラスになった際には驚いた。
私のクラスは学院で成績が上位の者だけだ。
数年前まで平民だったアメリアが入るには、相当な努力が必要だっただろう。
そこから、何となく目で追っていたような気がする。
アメリアは勉強面では、かなり優秀だったが平民の時のクセが抜け切らないのか、異性との距離が近かったりと貴族としてのマナーなどが足りていなかった。
そのせいで令嬢達に目を付けられ、たまに嫌がらせのような事をされていた。
その筆頭にいたのが、マルガレーテだった。
高位貴族としてマルガレーテは、下位の貴族令嬢をまとめなければならない為、注意をしなければならなかったのだろう。
マルガレーテは口調がキツく感じられる事がある。
注意をされて怯えているアメリアとの間に入り、優しく諭していた。
アメリアはマルガレーテよりも身長が低く、私を見る時に見上げて話す。
柔らかそうな栗色の髪、潤んだピンクブラウン色の瞳…
これまで、マルガレーテには感じた事のない庇護欲を掻き立てられた。
そう感じた後は、マルガレーテのキツい口調が鼻に付くようになった。
注意されて直らない事はアメリアにも非があるが、そのキツい口調が改善されていないのは、マルガレーテも同じなのだ。
そう指摘し、アメリアを庇う事が増えたが、マルガレーテからの嫌がらせはなくならなかった。
私の婚約者が、アメリアに嫌がらせをしているのだから、私がフォローするのが当たり前だ…と共に行動する時間が増え、逆にマルガレーテとの時間は減っていった。
嫉妬という感情に振り回され、格下の身分の者にあたるなど公爵夫人に相応しくない。
そんな、嫌悪感が降り積もっていった。
アメリアとの時間は温かく、これが恋愛感情である事はこの頃には気付いていたが、婚約者のいる私が持っていい感情ではない事は分かっていた。
だから、胸に閉まったまま…何も変えるつもりはなかった。
「あの、ダリウス様が好きなんですっ…」
アメリアに泣きながら言われた瞬間、歓喜し思わず抱き締めてしまった。
アメリアは勇気を出して伝えてくれたのに、私は狡く、逃げていたのだ。
『将来をアメリアと共にしたい』
もう、この未来以外考えられなかった。
しかし、マルガレーテとの婚約は政略的な問題もある為、解消できない…
そんな鬱憤を抱えながら過ごし、こっそりと誰もいないところで二人で会い、抱き締め口付けを交わした。
そして、先日起こった事件だ。
マルガレーテがヴァレンシュタイン女子爵を使い、アメリアと私を嵌めたのだ。
おかげでレイルとセドリックから不興を買い、生徒会役員を罷免され、父上からは叱責され、謹慎を言い渡された。
もはや、マルガレーテへの怒りは我慢の限界だった。
アーサンやアメリアの友人たちの協力で、マルガレーテからの嫌がらせなどの証拠や証言を集め、マルガレーテに婚約破棄を言い渡す…
父上も、マルガレーテの瑕疵が明らかであれば反対しないだろうし、ローゼンベルク公爵は公平な方だからマルガレーテの非を認め、カスティエール家との関係を切る事はないだろう。
衆人の前でマルガレーテの横暴さも印象付けた。
舞台は整った…
私とアメリアの運命の日はもうすぐだ…
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