影の女帝

シエル

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後始末

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断罪劇が幕を閉じ、セリーナは各方面の後始末に追われた。


講習に参加した者たちから、少し漏れたのか噂が流れ、学院内も少し騒がしくなった。


主犯のダリウス、アメリア、アーサンはローゼンベルク公爵令嬢であるマルガレーテへの虚偽告訴並びに、学院生徒への教唆、虚偽証言への脅迫など…数え上げると多すぎる程だった。

アメリアに関しては初めは気付かなかったとは言え、断罪劇前には気付いており、あえて魔力量を増やしたことから内乱罪も適用された。


また、進んで証言などを買って出た者やダリウスとアメリアの関係を各家の当主から「支持をしないように」忠告されていたにも拘わらず、その後も支持し続けた者は学院を自主退学とし、廃籍されたり修道院へ送られたりと、予め各家へ通達済みだった為、こちらはすんなりと終わったようだった。


ただ、ダリウスとアメリアの関係を支持していた者たちは思った以上に多く、かなりの生徒がいなくなってしまったうえ、生徒会もアーサンが退学となったことで、また役員が一人減ることになり、仕事を二人で捌いている状態だった。

結局、ダリウスとアメリア、アーサンはどうなったかとセリーナに聞くと、主犯の二人は各家を廃籍され、アーサンも次期商会長の座を追われ隣国との交易船の一乗組員として働かされているらしい。



「マルガレーテにも処罰を?」



今回の件でセリーナは、マルガレーテにも処罰を与えると言い出した。



「そうよ。確かに一見、彼女は加害者に見られていた被害者ではあるけど、実際は彼女も加害者だったのよ」


「どういう意味だ?」


「あの日の断罪劇の証言は完全な虚偽ではなかったのよ。嘘の中に事実を混ぜて信憑性を増したのね」



マルガレーテは帝国貴族の中で最高位である公爵令嬢なのだ。

高位貴族としてのプライドが高く、例え、それが自分に不利であっても曲げない。


ある意味では褒められることなのかもしれないが、今回に至っては、マルガレーテのそのプライドがすべてマイナスに働き、学院を巻き込み、ここまで大事になった一面は否めないのだ。



「例えば、教室での出来事ね。あれはダリウスたちが、マルガレーテの性格を逆手に取って印象操作をしたでしょ?」


「あれを見ていたのか?」



生徒会役員はダリウスたちも含め、全員Sクラスに在籍していた。

セリーナはあえて目立たない為に成績を操作し、Aクラスへ在籍している。


Aクラスは、基本的にはそこそこ優秀な伯爵家以上のクラスなのだが、一部男爵家や子爵家でも成績が優秀であれば在籍できるのである。



「見てたわよー!ちょうど教室に入ろうとしていた時に、あの三人がこそこそと何かしていたから一応、確認しておこうと思って…まぁ、そんなことはどうでもいいんだけれど、あの時、マルガレーテは謝罪だけ受け取れば良かったのに、伯爵家へ圧力をかけるなどという余計な発言をしたわ」



あれが、ダリウスたちとマルガレーテしかいない場での発言であれば、まだ良かったが実際は教室のど真ん中で、たくさんの衆人の目があった。


最高位の貴族令嬢であれば、下位貴族を従えることも多く、その為に人心掌握がある程度出来ないと話にならない。

下位貴族が暴走し、上位貴族の指示に従わないなどということが起きてしまえば、取り返しのつかないことにもなり得るのだ。



「マルガレーテは、場や人の気持ちなどを予測するよりも自分の感情やプライドを優先させてしまう。新しい婚約者候補を紹介しようかと思っていたけど、あのまま、他国の王族や高位貴族に嫁いだらトラブルしか生まないわ」


「…確かに一理あるな。なぜか、想像がついてしまう」



セリーナはそうだろうと言わんばかりにお菓子を食べながら、首を縦に振っている。



「何か、いい罰則はないかしら?とりあえず、今のままでは高位貴族の婚約者候補は紹介できないから、他国の伯爵家あたりを何人か見繕ったのだけれど…」


「結婚する前にマルガレーテのプライドをへし折って、人心掌握術を身につけさせたいんだな?」



大国である帝国の公爵令嬢の嫁ぎ先が、格下の国の伯爵家と言うだけでも難ありと分かるうえに、社交界も掌握できないなど更にお話にならないのだ。



「そうね、それが出来たら王族や高位貴族でもいいわ。帝国貴族の血筋を入れるだけにしかならないのであれば国内で十分だもの」



被害者であるはずのマルガレーテではあるが、学院という小さな帝国であり、社交界でもあった場を上手く掌握出来なかったというのは、思った以上にマルガレーテ自身の瑕疵となった。





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