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処分〜ブライトン伯爵家②
しおりを挟む「…そもそも、お前は伯爵ではなく代理よね?上手く処理して愛人を後妻にして、アメリア嬢をブライトン伯爵家に養子に入れたようだけど…そこまで、するなら躾けくらいしておくべきだったわね」
「なっ!!」
事実を言われただけなのだが、ブライトン伯爵夫妻は侮辱され、思わず声を漏らした。
夫人に至っては顔を真っ赤にしてセリーナを睨みつけるが、その表情はアメリアにそっくりだった。
その顔を見てセリーナはパチン!と音を立てながら扇子を閉じ、そのまま夫人に向けた。
「お前、皇族の私を睨んでるのかしら?その顔…アメリア嬢にそっくりね。格上の身分の者に対して無礼なところまでそっくりだわ」
その言葉にブライトン伯爵は自分の妻の顔を見ると、その時には冷たい瞳のまま、淡々と話すセリーナの姿に更に恐怖を覚え、今度は顔色を青白くさせ、カタカタと震えていた。
「まぁ、いいわ。話が進まないから戻しましょう」
セリーナは溜息を一つつくと威圧を緩めた。
「アメリア嬢は昨日、学院でカスティエール公爵家とローゼンベルク公爵家の婚約を壊したわ。しかも、ローゼンベルク公爵令嬢に冤罪を被せてね。二人の婚約は中立派であるローゼンベルク公爵家を皇帝派に近付ける為の政略的なものだったわ…それを、たかが庶子の伯爵令嬢が壊したのよ?」
「なっ!!まさか…そ、そんなはずは…」
「お前は何も言わなかったのかしら?たかが、伯爵家の者が、格上の、それも婚約者がいる異性に近付いてはならない、と」
セリーナが緩めたはずの威圧感が一言話すごとに強まり、閉じた扇子で掌を叩く、パシ、パシ、という音が部屋の中で妙に響いた気がした。
まさか、アメリアがそこまでの事をするとは思っていなかった為、ブライトン伯爵家の者達は言葉を失ってしまった。
しかし、それはブライトン伯爵夫妻がダリウスとの関係を知った時点で注意して関わりを絶たせていたら起こらなかった出来事だったのだ。
「そ、それは、その…」
「第一皇女殿下、発言をお許し頂けませんか?」
ブライトン伯爵が顔を青ざめさせ、冷や汗をかきながら、しどろもどろに話そうとすると、義息子であるブライトン伯爵令息が膝まずきながら発言の許可を求めた。
「…いいわ、立ちなさい」
「ありがとうございます。今回の事…まさか、義姉がそんな愚かな真似をするとは思わず、次期ブライトン伯爵として遺憾に思うとともに、ローゼンベルク公爵令嬢には大変申し訳なく思います」
ブライトン伯爵令息は立ち上がり、礼を述べるとマルガレーテへの謝意を示した。
「義姉とカスティエール小公爵様の事は義姉が嬉しそうに話していたので、この屋敷の者は全員知っていたかと思います。義父には『義姉を止めなくてよろしいのか?』と申し上げましたが、『カスティエール小公爵様に望まれて、我が家が拒否出来ない事を理解して頂けるだろう』と「なっ、何を言っている!!皇女殿下に嘘を言うな!」」
義息子にすべてをバラされ、焦ったブライトン伯爵は話を途中で遮るように大声でまくし立てた。
ほぼ、話し終えていた為、意味はなかったのだが…
ブライトン伯爵令息は義父の方へ体を向け、冷たい瞳で見ると一言だけ言った。
「義父上…だから、言いましたでしょう?よろしいのですか?と…」
「ふーん、なるほど…ブライトン伯爵令息はこれらと違って賢いのね。貴方が養子に選ばれた意味が理解出来たわ」
ブライトン伯爵はようやく義息子がこういう時の事を考えて自分へ問い掛けていたのだと言うことを理解し、それと同時に自分の立場が、もはや崩れ落ちるだけの状態である事に気付いた。
「愚かなそこの夫妻と同じ様に学院内でも、あの二人を支持している者たちが多かったわ。婚約者であるはずのローゼンベルク公爵令嬢が悪者のように貶めてね…」
「しかし、アメリア嬢が壊した婚約はカスティエール公爵家とローゼンベルク公爵家の物だけではない」
セリーナのセリフを聞き、学院の生徒たちもアメリアの味方だったなら、と希望をもったようにブライトン伯爵夫妻の顔に喜色が滲んだが、その後のセドリックの言葉に今度は困惑した。
「あの、それはどういう事でしょう?」
さすがにブライトン伯爵令息も話が理解出来ず尋ねた。
「アメリア嬢はカスティエール小公爵だけではなく、他の令息たちとも親しすぎた。中には、それが原因で婚約を解消、もしくは破棄した者もいる。私やレイル皇子殿下にも近寄ってくるほどだが、まともな令息たちは不快な思いをしていた」
「そうね。そのうえ、彼女は光魔法の魅了魔法を使っていたわ。初めは気付いていなかったようだけど、少し前から魔力をこめて魅了魔法を使っていた事を確認していたから、自分の都合のいいように周りを誘導していたわ」
アメリアが節操なしだっただけではなく、まさか禁術である精神魔法を使用し、周りを都合よく操っていた事を聞かされ、ブライトン伯爵家の者はこれ以上にないほど青ざめた。
セリーナはブライトン伯爵家の罪をあげた。
1、アメリアにまともな貴族令嬢としてのマナーや教育を身につけさせなかった事。
2、ダリウスとの関係を知った際に窘め、二人の関係を絶たせなかった事。
3、特殊属性の光魔法を持っているにも拘わらず、専門機関に相談もせず、その教育を怠った事。
「この三つがブライトン伯爵家の罪よ。以上の事から皇帝陛下の名のもとに、ブライトン伯爵家を男爵位に降爵とし、ローゼンベルク公爵令嬢への慰謝料の支払いを命ずる。また、当主代理夫妻を廃籍、そして、鉱山でローゼンベルク公爵令嬢への慰謝料の半額を支払い終えるまで鉱員として勤務する事とする」
「「そ、そんな!!!」」
元ブライトン伯爵夫妻は自分達の末路に顔色が青ざめ嘆いた。
ブライトン伯爵令息や代々ブライトン伯爵家に仕えてきた使用人達は、もはや取り潰しを覚悟していた為、男爵位ではあるが家門が残った事でほんのわずかだが安堵した。
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