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一章 精霊伝説が眠る街
第28話 精霊契約
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「ま、まぁ取り敢えずその話は横へと置いておきましょ」
今度は私が冷や汗をかきながら、誰にも気づかれないように話を元の方へと修正していく。
私が前世の記憶を宿しているなんて、別に隠しているわけでもないのだけれど、通常の思考の持ち主ならばまずは相手の頭の方を心配するだろう。
私ならば間違いなく病院へと通うことを提案する。
つまり私が前世の記憶を持っていると教えられるのは、同じく前世の記憶を宿している人か、それとも頭の線が何本も切れている変な人ぐらい。
なのでこの秘密は私がお墓へと入るまで持っていかなければならないのだ。
「なに慌てているのよ」
「慌ててないわよ!」
ノヴィアにすら気づかれていないという、僅かな変化をアクアにつっこまれる。
「と、とにかく何で泉を凍らせられないかちゃんと説明しなさい。貴女のお社が気になるなら、新しく日の当たる場所に立ててあげるから」
「うぐっ、新しいお家……」
先ほど見た感じでは、洞窟内の湿気やらでお社の彼方此方は腐ったり、崩れたりしている部分も多く見られた。
あのお社は建てられてから何百年かは経っているという話なので、今まで補修などを繰り返して持たせていたのだろうが、それもそろそろ限界が近づいている。
ならば今度は日の当たる場所で新しく建ててあげた方がアクアにとっても良いことだろう。決して洞窟を冷蔵庫として使用するために邪魔だからとは、口が避けても言えないけれど。
「あ、新しいお家は欲しいけれど、ダメなものはダメなの!」
思っていた以上に中々に頑固ね。
物欲に正直なところは素直で可愛いが、此方もフィオの頼みを叶えてあげたいという気持ちもある。
ならば私が取る方法はこれしかない。
「アクア、出来ない理由を説明しないなら此方も最終手段を取らなければならないわよ」
「な、何よ。最終手段って……」
若干私の迫力に押され、アクアが空中で後ずさる。
これだけは使いたくなかった。可愛い我が家の新しい家族を、こんな謎の生物にぶつけるなんて。
「喰らいなさい! タマクラーッシュ!!」
「みゃーん♪」
「きゃーーー、それだけはやめてぇーーー」
「「「……」」」
私の必殺技名とともに、ノヴィアからタマを奪い取りアクアの方へと突きつける。
流石のアクアも先ほどタマに齧られた事がトラウマなのか、泣きながら机の上で怯えだし、その様子にノヴィアを含む3人が、何やら私に向かって冷たい視線を送ってくるが、そこはあえて見なかった事として受け流す。
「さぁ言いなさい。さもないと再びタマの歯型が貴女の全身を刻むわよ!」
「わかった、わかったからその悪魔を私に近づけないでぇー」
まったくこの子のどこが悪魔だって言うのだろうか。
こんな愛らしくて可愛いタマが悪魔だなんて。
結局私の最終奥義が効いたの、アクアは素直にできない理由を教えてくれる。
「じゃなに? 泉ほどの規模を凍らせるにはその魔力とやらが足りないっていうの?」
「そうよ! 何か悪い!」
アクアの話では水を凍らせるにはそれに伴った魔力とやらが必要となるんだとか。
かつて海を凍らせたら際、限界以上に魔力を絞り出してしまった為に長き眠りについてしまった。
本人もまさか何百年も眠りに付くとは思っておらず、今度同じような事をすればせっかく目覚めたのに再び眠りにつく恐れがあるため、今は必要以上の力は使いたくないのだという。
確かにアクアが居なくなってしまえば、こちらにとっても大きな痛手よね。
私の目的はアクアによる永久の氷生産だ。本人が聞けば怒りそうな理由だが、それに見合った報酬も用意するし、新しいお社も用意もするつもり。
あとは本人の気持ち次第なのだが、よくわからない魔力ともなると正直私の領域を遥かに超えてしまう。
「魔力、魔力ねぇ。MPみたいなものなのかしら?」
ゲームとかで魔法を使うと、確かマジックポイントというものを消費するんだったかしら?
「何よそのMPって」
「あぁ、こっちの話。つまりはその魔力があれば良いわけね」
「そういう事よ」
正直魔力と言われても、それがどの様なものかがわからない以上、今の現状ではどうしようもない。
アクアが言うのは自然にはマナとかいう魔力が宿っているらしいが、行使する術が大きければ大きいほど、その魔力が大量に必要になるんだとか。
まさか冒険してレベルを上げれば、その魔力とやらが上がるというわけでもないだろうし、マジックポーションなんて便利アイテムがあるわけでもない。
「理屈はわかったけれど、その魔力って別の何かで補えないの?」
「出来るわよ。私の魔力が足りなければ別の者から貰えばいいのよ」
「別の者?」
あっ、それって確か……
「もっとも、私の様な高貴な魔力を補えるだけの人間なんて……そうそう……いるわけが……ない……」
そこまで言いかけて、なぜかアクアは私の方を見たまま固まった。
「何よ、私がどうしたのよ?」
「あ、あ、あ、貴女、なんて馬鹿デカイ魔力を持っているのよぉ!!」
「へ? 魔力?」
私に魔力が? そういえばリーゼ様に頂いた本に精霊契約による魔力がどうのと書かれていた箇所があった。
その本によると精霊契約する事によって、精霊は人間が持つの魔力を共有し、人間もまた精霊が扱える魔法が使える様になる。
ただ問題は人間側が持つ魔力が限りなく少ない為に、例え運良く精霊契約ができたとしても、大した力は発現できないだという話だった。
「な、何者なのよ貴女! こんな魔力を持っている人間なんて、あの娘以来初めてよ」
何百年も寝ていたくせに『あの娘』以来も無いとは思うのだけれど、もしかすると『前世の記憶を持つ』者は巨大な魔力を持つ場合があるという、物語なんかに出てくる例のご都合主義なのだろうか? 自覚無いけど。
「じゃ仮に私と精霊契約をすれば泉を凍らせる事だって出来るのね?」
「えぇ、泉どころか海だって凍らせてあげるわよ」
海が凍ってしまうと漁師さん達が困るので、それはちょっとお断りしたいが、取り敢えずは私の中に眠る魔力とやらを使えば問題は解決できるようだ。
あとはアクアが素直に私と契約するかどうかだが、こればかりはタマで脅しと言う訳にはいかないだろう。
何と言ってもこれからパートナーになるという存在を、恐怖で押さえ込むというのは以前の私が置かれた状況と被ってしまう。
それだけは私の心が許さない。
「いいわ。アクアが力を貸してくれる言うのなら、三食昼寝付きでおやつも付けてあげる。これでどう?」
「お嬢様、それは普段私たちがしている事では……」
私の出した好条件に何やらノヴィアが言いたそうにしているが、一体これ以上の譲歩何処にあるというのだろうか。
「うっ、おやつ付き……」
あっ、釣られた。
精霊が一体なにを食事としているのかは知らないけれど、先ほどは私が作ったクッキーを美味しそうに食べていた。
すると人間が食するものでも普通に食べられるのだろう。ならばこの隙を付けばアクアは簡単に折れるに違いない。
「因みにさっき貴女が食べたクッキーは私の手作りよ」
「て、手作り!?」
「もし私に力を貸してくれるなら……、そうね、プリンなんてどうかしら?」
「プリン? 何よそれ、美味しいんでしょうね!」
プリンは牛乳と砂糖と卵があれが簡単につくれるスィーツ。
冷やすという工程は避ける事は出来ないけれど、そこは目の前のアクアに頼んで、氷で簡易冷蔵庫を作ってもらえれば問題は解決できる。
あとは作り方だけれど、まずは卵と砂糖をよく混ぜ合わせ、その後に牛乳を入れて混ぜ合わせる。
次に茶こしを通して器に入れ、沸騰させたお湯の中に蓋を付けた器の状態で弱火10分。その後10分ほど放置したの後に冷蔵庫で冷やせば完成だ!
カラメルソースは砂糖に一手間で作れて更に美味しいプリンとなる。
これならば『アクアの氷があればこんな事にも使えるんだよ』と教えられるし、タマとアクアに食べられた私たちのおやつも用意できる。これぞ私が考えた一石二鳥の名案!
ジュルリ。
「い、いいわ。取り敢えずそのプリンとやらを私の前に出してみなさい」
涎を垂らしながら言われても説得力は無い気もするが、まずはプリンそのものを用意する必要がある。
私は一人厨房の方へと籠り、出来上がったプリンをアクアに作ってもらった氷のケースに仕舞い込む。
「まだなの?」
「もうちょっとよ。冷たく冷やした方が美味しいのよ」
アクアが隣に来て急かしてくるが、こればかりはプリンが冷えるまで待つしか仕方が無い。
もしかするとアクアの力で直接プリンを冷やす事も出来るかもしれないが、うっかり凍らせてしまえば元も子もない。
やがて適度に冷えてきたタイミングをみて、みんなの前へと運んでいく。
「何これ、美味しい!!」
「ほんと、こんな美味しいスィーツを食べるのは初めてです」
まず最初にアクアが一人騒ぎ出し、その後にフィオが食した感想を口にする。
ノヴィアとリアも共に美味しそうには食べているが、二人にはよくお屋敷にいた時に手作りのお菓子を振舞っていたため、アクアとフィオのような驚きは見せてはいない。
「卵とミルクと砂糖だけで、こんな美味しいものが作れるんですね」
「まぁ、冷やすために氷が必要だから今までは作れなかったんだけれど、アクアが力を貸してくれるなら、この程度のスィーツならいつでも作ってあげるわよ」
生クリームやらアイスといったお菓子には、冷やすといった工程が多く存在する。今までは冷蔵庫がなかったために焼き菓子系が多かったが、これからは料理もお菓子も一気にレパートリーは増える事だろう。
「いいわ、貴女と精霊契約をしてあげる。ただし三食昼寝付きのおやつ2回よ!」
「決まりね。アクアこそ、ちゃんと報酬に見合ったら働きをしてもらうわよ」
こうして私はこのアクアの守り神とも言える精霊と契約する事となる。
だがこの時の私は自分が犯した失敗に気付いていなかった。そう、この村の守り神とも言える精霊と契約するという、本当の意味を。
今度は私が冷や汗をかきながら、誰にも気づかれないように話を元の方へと修正していく。
私が前世の記憶を宿しているなんて、別に隠しているわけでもないのだけれど、通常の思考の持ち主ならばまずは相手の頭の方を心配するだろう。
私ならば間違いなく病院へと通うことを提案する。
つまり私が前世の記憶を持っていると教えられるのは、同じく前世の記憶を宿している人か、それとも頭の線が何本も切れている変な人ぐらい。
なのでこの秘密は私がお墓へと入るまで持っていかなければならないのだ。
「なに慌てているのよ」
「慌ててないわよ!」
ノヴィアにすら気づかれていないという、僅かな変化をアクアにつっこまれる。
「と、とにかく何で泉を凍らせられないかちゃんと説明しなさい。貴女のお社が気になるなら、新しく日の当たる場所に立ててあげるから」
「うぐっ、新しいお家……」
先ほど見た感じでは、洞窟内の湿気やらでお社の彼方此方は腐ったり、崩れたりしている部分も多く見られた。
あのお社は建てられてから何百年かは経っているという話なので、今まで補修などを繰り返して持たせていたのだろうが、それもそろそろ限界が近づいている。
ならば今度は日の当たる場所で新しく建ててあげた方がアクアにとっても良いことだろう。決して洞窟を冷蔵庫として使用するために邪魔だからとは、口が避けても言えないけれど。
「あ、新しいお家は欲しいけれど、ダメなものはダメなの!」
思っていた以上に中々に頑固ね。
物欲に正直なところは素直で可愛いが、此方もフィオの頼みを叶えてあげたいという気持ちもある。
ならば私が取る方法はこれしかない。
「アクア、出来ない理由を説明しないなら此方も最終手段を取らなければならないわよ」
「な、何よ。最終手段って……」
若干私の迫力に押され、アクアが空中で後ずさる。
これだけは使いたくなかった。可愛い我が家の新しい家族を、こんな謎の生物にぶつけるなんて。
「喰らいなさい! タマクラーッシュ!!」
「みゃーん♪」
「きゃーーー、それだけはやめてぇーーー」
「「「……」」」
私の必殺技名とともに、ノヴィアからタマを奪い取りアクアの方へと突きつける。
流石のアクアも先ほどタマに齧られた事がトラウマなのか、泣きながら机の上で怯えだし、その様子にノヴィアを含む3人が、何やら私に向かって冷たい視線を送ってくるが、そこはあえて見なかった事として受け流す。
「さぁ言いなさい。さもないと再びタマの歯型が貴女の全身を刻むわよ!」
「わかった、わかったからその悪魔を私に近づけないでぇー」
まったくこの子のどこが悪魔だって言うのだろうか。
こんな愛らしくて可愛いタマが悪魔だなんて。
結局私の最終奥義が効いたの、アクアは素直にできない理由を教えてくれる。
「じゃなに? 泉ほどの規模を凍らせるにはその魔力とやらが足りないっていうの?」
「そうよ! 何か悪い!」
アクアの話では水を凍らせるにはそれに伴った魔力とやらが必要となるんだとか。
かつて海を凍らせたら際、限界以上に魔力を絞り出してしまった為に長き眠りについてしまった。
本人もまさか何百年も眠りに付くとは思っておらず、今度同じような事をすればせっかく目覚めたのに再び眠りにつく恐れがあるため、今は必要以上の力は使いたくないのだという。
確かにアクアが居なくなってしまえば、こちらにとっても大きな痛手よね。
私の目的はアクアによる永久の氷生産だ。本人が聞けば怒りそうな理由だが、それに見合った報酬も用意するし、新しいお社も用意もするつもり。
あとは本人の気持ち次第なのだが、よくわからない魔力ともなると正直私の領域を遥かに超えてしまう。
「魔力、魔力ねぇ。MPみたいなものなのかしら?」
ゲームとかで魔法を使うと、確かマジックポイントというものを消費するんだったかしら?
「何よそのMPって」
「あぁ、こっちの話。つまりはその魔力があれば良いわけね」
「そういう事よ」
正直魔力と言われても、それがどの様なものかがわからない以上、今の現状ではどうしようもない。
アクアが言うのは自然にはマナとかいう魔力が宿っているらしいが、行使する術が大きければ大きいほど、その魔力が大量に必要になるんだとか。
まさか冒険してレベルを上げれば、その魔力とやらが上がるというわけでもないだろうし、マジックポーションなんて便利アイテムがあるわけでもない。
「理屈はわかったけれど、その魔力って別の何かで補えないの?」
「出来るわよ。私の魔力が足りなければ別の者から貰えばいいのよ」
「別の者?」
あっ、それって確か……
「もっとも、私の様な高貴な魔力を補えるだけの人間なんて……そうそう……いるわけが……ない……」
そこまで言いかけて、なぜかアクアは私の方を見たまま固まった。
「何よ、私がどうしたのよ?」
「あ、あ、あ、貴女、なんて馬鹿デカイ魔力を持っているのよぉ!!」
「へ? 魔力?」
私に魔力が? そういえばリーゼ様に頂いた本に精霊契約による魔力がどうのと書かれていた箇所があった。
その本によると精霊契約する事によって、精霊は人間が持つの魔力を共有し、人間もまた精霊が扱える魔法が使える様になる。
ただ問題は人間側が持つ魔力が限りなく少ない為に、例え運良く精霊契約ができたとしても、大した力は発現できないだという話だった。
「な、何者なのよ貴女! こんな魔力を持っている人間なんて、あの娘以来初めてよ」
何百年も寝ていたくせに『あの娘』以来も無いとは思うのだけれど、もしかすると『前世の記憶を持つ』者は巨大な魔力を持つ場合があるという、物語なんかに出てくる例のご都合主義なのだろうか? 自覚無いけど。
「じゃ仮に私と精霊契約をすれば泉を凍らせる事だって出来るのね?」
「えぇ、泉どころか海だって凍らせてあげるわよ」
海が凍ってしまうと漁師さん達が困るので、それはちょっとお断りしたいが、取り敢えずは私の中に眠る魔力とやらを使えば問題は解決できるようだ。
あとはアクアが素直に私と契約するかどうかだが、こればかりはタマで脅しと言う訳にはいかないだろう。
何と言ってもこれからパートナーになるという存在を、恐怖で押さえ込むというのは以前の私が置かれた状況と被ってしまう。
それだけは私の心が許さない。
「いいわ。アクアが力を貸してくれる言うのなら、三食昼寝付きでおやつも付けてあげる。これでどう?」
「お嬢様、それは普段私たちがしている事では……」
私の出した好条件に何やらノヴィアが言いたそうにしているが、一体これ以上の譲歩何処にあるというのだろうか。
「うっ、おやつ付き……」
あっ、釣られた。
精霊が一体なにを食事としているのかは知らないけれど、先ほどは私が作ったクッキーを美味しそうに食べていた。
すると人間が食するものでも普通に食べられるのだろう。ならばこの隙を付けばアクアは簡単に折れるに違いない。
「因みにさっき貴女が食べたクッキーは私の手作りよ」
「て、手作り!?」
「もし私に力を貸してくれるなら……、そうね、プリンなんてどうかしら?」
「プリン? 何よそれ、美味しいんでしょうね!」
プリンは牛乳と砂糖と卵があれが簡単につくれるスィーツ。
冷やすという工程は避ける事は出来ないけれど、そこは目の前のアクアに頼んで、氷で簡易冷蔵庫を作ってもらえれば問題は解決できる。
あとは作り方だけれど、まずは卵と砂糖をよく混ぜ合わせ、その後に牛乳を入れて混ぜ合わせる。
次に茶こしを通して器に入れ、沸騰させたお湯の中に蓋を付けた器の状態で弱火10分。その後10分ほど放置したの後に冷蔵庫で冷やせば完成だ!
カラメルソースは砂糖に一手間で作れて更に美味しいプリンとなる。
これならば『アクアの氷があればこんな事にも使えるんだよ』と教えられるし、タマとアクアに食べられた私たちのおやつも用意できる。これぞ私が考えた一石二鳥の名案!
ジュルリ。
「い、いいわ。取り敢えずそのプリンとやらを私の前に出してみなさい」
涎を垂らしながら言われても説得力は無い気もするが、まずはプリンそのものを用意する必要がある。
私は一人厨房の方へと籠り、出来上がったプリンをアクアに作ってもらった氷のケースに仕舞い込む。
「まだなの?」
「もうちょっとよ。冷たく冷やした方が美味しいのよ」
アクアが隣に来て急かしてくるが、こればかりはプリンが冷えるまで待つしか仕方が無い。
もしかするとアクアの力で直接プリンを冷やす事も出来るかもしれないが、うっかり凍らせてしまえば元も子もない。
やがて適度に冷えてきたタイミングをみて、みんなの前へと運んでいく。
「何これ、美味しい!!」
「ほんと、こんな美味しいスィーツを食べるのは初めてです」
まず最初にアクアが一人騒ぎ出し、その後にフィオが食した感想を口にする。
ノヴィアとリアも共に美味しそうには食べているが、二人にはよくお屋敷にいた時に手作りのお菓子を振舞っていたため、アクアとフィオのような驚きは見せてはいない。
「卵とミルクと砂糖だけで、こんな美味しいものが作れるんですね」
「まぁ、冷やすために氷が必要だから今までは作れなかったんだけれど、アクアが力を貸してくれるなら、この程度のスィーツならいつでも作ってあげるわよ」
生クリームやらアイスといったお菓子には、冷やすといった工程が多く存在する。今までは冷蔵庫がなかったために焼き菓子系が多かったが、これからは料理もお菓子も一気にレパートリーは増える事だろう。
「いいわ、貴女と精霊契約をしてあげる。ただし三食昼寝付きのおやつ2回よ!」
「決まりね。アクアこそ、ちゃんと報酬に見合ったら働きをしてもらうわよ」
こうして私はこのアクアの守り神とも言える精霊と契約する事となる。
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