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ゲーム初心者と「来たからには」の法則
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「ふふん、『来たからには』か……典型的だな」
葉洲は心の中で呟き、渋々口を開いた。
「まあ……遊ぶのはいいけど、ここじゃない方がよくない?」
「なぜ?」
[どうして熊凱とは遊べるのに、私とはダメなの?]
[あの『真っ黒まん丸』の熊凱と遊べるなら、私だって……むしろ私の方が可愛いじゃない!ううん、やっぱり他の女の子を呼んでたの?]
葉洲は目を眩ませた。
熊凱は確かに日焼けしてるが、せいぜい小麦色の肌だ。
「真っ黒まん丸」なんて……完全に個人的な恨みが込められてるぞ。
「わかったわかった、気にしないなら遊ぼう。何ができる?」
「何でもできるわ!」
浅月は顎を軽く上げ、少しだけ誇らしげに言った。
その姿に、葉洲は驚きを隠せなかった。
まさか……
林浅月が隠れゲーマーだったとは!
――しかし、10分後。
葉洲の顔は真っ黒だった。
「リンさん、『LOLできる』って言ったのに、スキルすら使えない……『キーボードのせい』だって?
『PUBG』では敵が至近距離なのに、マウスを握りしめたまま一発も撃たず……『人体模写ツール』以下だぞ。
で、今度は『プラントvsゾンビ』で、なんで『サンフラワー』を最前列に植える?『PCのせい』とか言うなよ?」
「PCのせいじゃないわ」
浅月はふと動作を止め、葉洲を見た。
澄んだ瞳に決意が宿っている。
「これはね、『脳みそ』が食べられないようにするための配置よ」
「は?」
葉洲は呆れ笑いを漏らした。
林浅月はゲーマーでも何でもない、完全なるゲーム初心者だった。
それなのに、下手なくせに熱中するタイプらしい。
「もういいよリンさん、下手なら諦めよう……」
「私は下手じゃないわ!」
葉洲に「下手」と言われたのが悔しいのか、浅月は真剣な表情で聞いた。
「それなら、どうしてあなたはそんなに上手なの?」
「ただの慣れだ」
浅月は唇を尖らせ、絶対に立ち上がろうとしなかった。
仕方なく、葉洲は4399ゲームサイトを開き、『ファイアー&アイス』を選んだ。
――すると、浅月はようやくゲームの楽しさを理解したようだ。
画面に釘付けになり、細い指でキーボードをたたく。
彼女の美しい瞳は、楽しさで輝き始めていた。
「葉洲、このゲームの名前は?」
「『ファイアー&アイス』だ」
「ふーん」
浅月はうなずき、すぐに次のステージを選んだ。
ゲームに夢中になる浅月を見て、葉洲は思わず笑みを浮かべた。
まるで子供のようだ。
今日まで、彼女はQQも持っておらず、ゲームもしたことがなかった。
ネットでの娯楽とは無縁の生活を送ってきたのだろう。
さらに、林浅月には母親がいないこと、父親も常に不在で、広い屋敷で使用人たちとだけ暮らしてきたことを知っていた。
葉洲は彼女の「高冷」な性格が、必然的に形成されたものだと理解した。
現実でもネットでも、社交的な経験が少なければ、無口で人見知りになるのは当然だ。
「葉洲、このゲームは二人で遊べるわ。一緒にやって」
「え? いや、それは……」
[うう……私の下手さに嫌気がさしたのかしら?]
[林浅月、あなた本当にダメね。熊凱みたいな『単純筋肉バカ』ですらできるのに……]
葉洲は目尻をピクつかせ、笑いをこらえるのに必死だった。
なるほど、「真っ黒まん丸」はまだ可愛い方で、
「単純筋肉バカ」こそが、熊凱に対する本音らしい。
――その頃、熊凱の自宅。
「ハクション! ハクション!」
問題集に頭を抱えていた熊凱は、突然くしゃみを連発した。
「ん……? この前の雨で風邪ひいたか?」
彼は純粋無垢な表情で後頭部を掻いた。
……
「いいよ、一人でやって。こんなゲーム、小学生の時に飽きたから」
葉洲は手を振って断った。
――しかし、5分後。
「なんで!? お前はクリアできるのに、俺だけなぜ……!?」
葉洲は浅月の隣でキーボードを叩きまくり、額に汗を浮かべていた。
あるステージで詰まり、浅月がすんなりクリアするのに対し、彼だけが何度も失敗していた。
浅月は涼しい顔で一言。
「ただの慣れよ」
「……」
まるで「ガレンの軽語」を食らったかのように、葉洲は完全に黙り込んだ。
まさか、こんなに早く逆ギレされるとは……
二人で30分ほど遊んだ頃、時計は11時近くを指していた。
「リンさん、そろそろ終わりにしない?」
「でも、まだ遊び足りない」
浅月は珍しく不満そうな表情を見せた。
葉洲は苦笑した。
完全にハマってしまったようだ。
しかし、もう1時間もホテルで二人きりだ。
運転手が林家に報告していないか不安だった。
「また今度にしよう。俺、そろそろ勉強始めないと……」
「あなたは勉強すればいいじゃない。私は邪魔しないわ」
「ここは勉強する場所じゃないだろ!」
浅月は目を細めた。
「……私を追い出したいの?」
バレた葉洲は冷静に答えた。
「そんなわけないだろ? ほら、あそこにカバンがある。中には問題集が入ってて、元々熊凱と『ゲーム後に勉強』って約束してたんだ」
「……そう」
カバンの存在を確認すると、浅月はそれ以上ゲームを続けようとはしなかった。
[あっという間だった……もっと遊びたかったのに]
[でも、葉洲の勉強の邪魔はしちゃダメだわ]
葉洲は彼女が本当に帰ることを確認するため、カバンを持って一緒に部屋を出た。
彼の計画は「浅月が帰ったら、また部屋に戻って勉強する」だった。
もしかしたら、夜には熊凱も抜け出せるかもしれない。
――しかし、彼の読みは外れた。
フロント前で、浅月が突然立ち止まった。
「どうしてチェックアウトしないの?」
[やっぱり……私を追い出して、他の女の子を呼ぶつもりなのね]
葉洲は深く息を吸い、潔くチェックアウト手続きを済ませた。
「今日は彼女の前で部屋を解約しない限り、『他の女を呼ぶつもり』の嫌疑は晴れないな……」
手続きを終え、戻ってくると、浅月の冷たいオーラは確かに薄れていた。
[ふふっ……やっぱり誤解だったわ。葉洲は本当に熊凱と遊ぶ約束してただけなのね]
[これで安心!]
葉洲は心の中で呟き、渋々口を開いた。
「まあ……遊ぶのはいいけど、ここじゃない方がよくない?」
「なぜ?」
[どうして熊凱とは遊べるのに、私とはダメなの?]
[あの『真っ黒まん丸』の熊凱と遊べるなら、私だって……むしろ私の方が可愛いじゃない!ううん、やっぱり他の女の子を呼んでたの?]
葉洲は目を眩ませた。
熊凱は確かに日焼けしてるが、せいぜい小麦色の肌だ。
「真っ黒まん丸」なんて……完全に個人的な恨みが込められてるぞ。
「わかったわかった、気にしないなら遊ぼう。何ができる?」
「何でもできるわ!」
浅月は顎を軽く上げ、少しだけ誇らしげに言った。
その姿に、葉洲は驚きを隠せなかった。
まさか……
林浅月が隠れゲーマーだったとは!
――しかし、10分後。
葉洲の顔は真っ黒だった。
「リンさん、『LOLできる』って言ったのに、スキルすら使えない……『キーボードのせい』だって?
『PUBG』では敵が至近距離なのに、マウスを握りしめたまま一発も撃たず……『人体模写ツール』以下だぞ。
で、今度は『プラントvsゾンビ』で、なんで『サンフラワー』を最前列に植える?『PCのせい』とか言うなよ?」
「PCのせいじゃないわ」
浅月はふと動作を止め、葉洲を見た。
澄んだ瞳に決意が宿っている。
「これはね、『脳みそ』が食べられないようにするための配置よ」
「は?」
葉洲は呆れ笑いを漏らした。
林浅月はゲーマーでも何でもない、完全なるゲーム初心者だった。
それなのに、下手なくせに熱中するタイプらしい。
「もういいよリンさん、下手なら諦めよう……」
「私は下手じゃないわ!」
葉洲に「下手」と言われたのが悔しいのか、浅月は真剣な表情で聞いた。
「それなら、どうしてあなたはそんなに上手なの?」
「ただの慣れだ」
浅月は唇を尖らせ、絶対に立ち上がろうとしなかった。
仕方なく、葉洲は4399ゲームサイトを開き、『ファイアー&アイス』を選んだ。
――すると、浅月はようやくゲームの楽しさを理解したようだ。
画面に釘付けになり、細い指でキーボードをたたく。
彼女の美しい瞳は、楽しさで輝き始めていた。
「葉洲、このゲームの名前は?」
「『ファイアー&アイス』だ」
「ふーん」
浅月はうなずき、すぐに次のステージを選んだ。
ゲームに夢中になる浅月を見て、葉洲は思わず笑みを浮かべた。
まるで子供のようだ。
今日まで、彼女はQQも持っておらず、ゲームもしたことがなかった。
ネットでの娯楽とは無縁の生活を送ってきたのだろう。
さらに、林浅月には母親がいないこと、父親も常に不在で、広い屋敷で使用人たちとだけ暮らしてきたことを知っていた。
葉洲は彼女の「高冷」な性格が、必然的に形成されたものだと理解した。
現実でもネットでも、社交的な経験が少なければ、無口で人見知りになるのは当然だ。
「葉洲、このゲームは二人で遊べるわ。一緒にやって」
「え? いや、それは……」
[うう……私の下手さに嫌気がさしたのかしら?]
[林浅月、あなた本当にダメね。熊凱みたいな『単純筋肉バカ』ですらできるのに……]
葉洲は目尻をピクつかせ、笑いをこらえるのに必死だった。
なるほど、「真っ黒まん丸」はまだ可愛い方で、
「単純筋肉バカ」こそが、熊凱に対する本音らしい。
――その頃、熊凱の自宅。
「ハクション! ハクション!」
問題集に頭を抱えていた熊凱は、突然くしゃみを連発した。
「ん……? この前の雨で風邪ひいたか?」
彼は純粋無垢な表情で後頭部を掻いた。
……
「いいよ、一人でやって。こんなゲーム、小学生の時に飽きたから」
葉洲は手を振って断った。
――しかし、5分後。
「なんで!? お前はクリアできるのに、俺だけなぜ……!?」
葉洲は浅月の隣でキーボードを叩きまくり、額に汗を浮かべていた。
あるステージで詰まり、浅月がすんなりクリアするのに対し、彼だけが何度も失敗していた。
浅月は涼しい顔で一言。
「ただの慣れよ」
「……」
まるで「ガレンの軽語」を食らったかのように、葉洲は完全に黙り込んだ。
まさか、こんなに早く逆ギレされるとは……
二人で30分ほど遊んだ頃、時計は11時近くを指していた。
「リンさん、そろそろ終わりにしない?」
「でも、まだ遊び足りない」
浅月は珍しく不満そうな表情を見せた。
葉洲は苦笑した。
完全にハマってしまったようだ。
しかし、もう1時間もホテルで二人きりだ。
運転手が林家に報告していないか不安だった。
「また今度にしよう。俺、そろそろ勉強始めないと……」
「あなたは勉強すればいいじゃない。私は邪魔しないわ」
「ここは勉強する場所じゃないだろ!」
浅月は目を細めた。
「……私を追い出したいの?」
バレた葉洲は冷静に答えた。
「そんなわけないだろ? ほら、あそこにカバンがある。中には問題集が入ってて、元々熊凱と『ゲーム後に勉強』って約束してたんだ」
「……そう」
カバンの存在を確認すると、浅月はそれ以上ゲームを続けようとはしなかった。
[あっという間だった……もっと遊びたかったのに]
[でも、葉洲の勉強の邪魔はしちゃダメだわ]
葉洲は彼女が本当に帰ることを確認するため、カバンを持って一緒に部屋を出た。
彼の計画は「浅月が帰ったら、また部屋に戻って勉強する」だった。
もしかしたら、夜には熊凱も抜け出せるかもしれない。
――しかし、彼の読みは外れた。
フロント前で、浅月が突然立ち止まった。
「どうしてチェックアウトしないの?」
[やっぱり……私を追い出して、他の女の子を呼ぶつもりなのね]
葉洲は深く息を吸い、潔くチェックアウト手続きを済ませた。
「今日は彼女の前で部屋を解約しない限り、『他の女を呼ぶつもり』の嫌疑は晴れないな……」
手続きを終え、戻ってくると、浅月の冷たいオーラは確かに薄れていた。
[ふふっ……やっぱり誤解だったわ。葉洲は本当に熊凱と遊ぶ約束してただけなのね]
[これで安心!]
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