学園のアイドルが突然「猫の後ろ宙返り、見ない?」って聞いてきた!?

赤青

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図書館での「偶然」と謎の運転手

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アムムホテルを出て、葉洲は林浅月と別れると、すぐ近くの市立図書館に向かった。
午後の時間をここで勉強に費やすつもりだ。

二階の静かな隅を見つけ、問題集を広げた。
「よし、この問題たち……今日こそ完璧に仕留めてやる」

ちょうどその時、向かいの椅子が引かれる音がした。
顔を上げると――林浅月が無言で座っていた。

「リンさん……ついてきたの?」
浅月は少し不機嫌そうに眉をひそめた。
「ついてきてなんかいないわ」
「じゃあ、なぜ図書館に?」

浅月はどこからか帆布のバッグを取り出し、中から問題集を出して淡々と言った。
「勉強しに来たの。何か問題でも?」

「?????」
葉洲は言葉に詰まった。
「……わかった。でも、なんでこの図書館?」
「ここは私の会員制図書館よ」
そう言うと、浅月は財布から金色に光るカードを取り出した。
葉洲がよく見る前にサッとしまい、
「多分、私の方がここに来る回数は多いわ」

(あのカード、市立図書館のVIPカードじゃないような……)
(適当なカードでごまかしてるんじゃ?)

「リンさん、それって――」
「葉洲くん、勉強の邪魔よ」
浅月は顔も上げずに彼の言葉を遮った。

[うわわ!葉洲、しつこい!]
[バレたらどうしよう……ただ一緒にいたくてついてきただけなのに]
[でも、葉洲が図書館で勉強するなら、今度からはちゃんと会員カード作っておこう]
[帰ったら李年さんに、北安市の全図書館のVIPカードを作ってもらわなくちゃ!]

葉洲:「……」
(流石お嬢様……「偶発的な出会い」のためなら、全市の図書館にVIP登録するのか)
(貧乏人のロマンティックは無価値だが、金持ちのストーカーは魅力的だとでも言うんだろうか……)

二人は向かい合って黙々と問題を解いていた。
――少なくとも表面上は。

実は浅月は時々チラリと葉洲を見て、内心で騒いでいた。
[葉洲の勉強してる顔、初めてこんな近くで見られる……可愛い]
[髪の毛ふわふわしてそう……触ってみたい]

葉洲は内心で首を傾げた。
(高三になって浅月が転校してきてから、ほとんど話したことないのに……)
(なんで俺のことが好きなんだ?)

直接聞けば逃げられるのは目に見えている。
疑問は胸にしまい、再び問題集に集中した。

11時から13時まで、ようやく問題集を終えた葉洲は大きく背伸びをした。
「ふう……これで終わりだ」
ペンをキャップに収める動作は、まるで「仕事を終えた龍傲天」のようだった。

「ははっ、粘着質な問題たちめ……俺の知識で完全に制圧してやったぜ」
「もう用済みだ。さっさと机から消えろ」

独り言をぶつぶつ言いながら、葉洲は浅月に声をかけた。
「リンさん、俺は終わったよ」
「……私も」
浅月は少し間を置いて付け加えた。
「そろそろ帰るわ」

[あぁ……もっと一緒にいたいけど]
[朝からずっと一緒だし、図書館でも無理やり隣に座ったし……]
[これ以上しつこくしたら、きっと気づかれる]

葉洲はふと目を伏せ、口を開いた。
「リンさん、ちょうど昼飯の時間だし……急がないなら、一緒に飯でもどう?」

パッと浅月の目が輝いた。
「――っ!」
彼女はバッグをさっと持ち、椅子から飛び上がるように立ち上がった。

……が、次の瞬間、葉洲の驚いた視線に気づき、凍りついた。
(あ……やりすぎた)

葉洲は浅月の頬が一瞬で赤くなるのを見た。
春の桜のように、淡くて儚い紅色。
彼女はすぐにうつむき、長いまつ毛で目を隠したが、微かに笑みを浮かべているのが見えた。

「……えっと、行くか」
葉洲はわざとらしく咳払いをし、先に歩き出した。

後ろから、浅月が小走りに追いついてくる足音がした。
軽やかで、どこか嬉しげなリズム。

葉洲は最初、チャーハンでも食べようかと思った。
しかし――
(流石に林家のお嬢様に、路地裏の飯屋は無理だろ)

というわけで、韓国焼肉屋を選んだ。ネットで「女子に人気」と書いてあったからだ。

「リンさん、『東タワー・グランドパパ焼肉』って店が最近オープンしたんだ。評判いいみたいだし、行ってみない?」
「……ええ」

葉洲がスマホで配車アプリを開こうとした瞬間、黒いマイバッハが滑るように二人の前に停まった。

浅月が満足気に微笑む。
「配車しなくていいわ。私の車で行きましょう」

[にひひ……これで葉洲を車に乗せられる!]

葉洲はわざとらしく眉を吊り上げた。
「何だよ! 車持ちだからって、配車アプリをバカにしてるのか?」
そう言いながら、すっと乗り込むと、
「よし、今日はこのマイバッハの実力、俺が確かめてやる!」

(……っ、めっちゃ座り心地いい!)
(流石S680……金の力は偉大だ)

浅月もにっこり笑って乗り込んだ。
運転席の李年が振り向いて尋ねた。
「お嬢様、葉少爺、どちらへ?」
「東タワー・グランドパパ焼肉で」
「かしこまりました」

――その瞬間、葉洲の表情が鋭くなった。
「……待て」
彼は李年をじっと見つめ、冷たい声で問いただした。
「俺たち、初めて会うんだよな?」
「……なのに、どうして俺の名前を知ってる?」
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