学園のアイドルが突然「猫の後ろ宙返り、見ない?」って聞いてきた!?

赤青

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嘘と真実の答え合わせ

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「拒否……されたの……?」

スマホの画面をじっと見つめたまま、陳汐(ちん・しお)はフリーズしていた。
目に映るのは、冷たいシステムメッセージ。

【申請失敗:相手はあなたの友達申請を拒否しました】

彼女の中で、時間が止まった。

え……?葉洲(よう・しゅう)が、拒否……?
まさか……さっき妙妙(みょう・みょう)と一緒にあれだけ盛り上がってた推理……全部妄想だったの?

「ど、どういうこと……?」
震える声でそう呟いた陳汐に、妙妙も思わず沈黙してしまう。

——が、数秒後。

「……あっ、わかったかも!」

パチンッ!と指を鳴らす妙妙。まるで刑事ドラマの名探偵のように、目を輝かせた。

「ねぇ汐汐、さっきQQの申請するとき、自己紹介文とか入れた? “わたし、陳汐だよ~”みたいな」

「え?いや……何も書いてないけど」

「それだあぁぁっっ!!」

妙妙がビシッと指を差す。

「想像してみてよ?葉洲の立場!これまでずっと、雲の上の存在だった陳汐に、いきなり申請されたらどう思う?絶対『え?なりすましじゃね?』って思うに決まってるじゃん!」

「そっか……なるほど……!」

陳汐の目に再び光が戻る。

——よかった、やっぱり勘違いじゃなかった!
——やっぱり……葉洲は、私のこと、好きなんだ!

「さっすが妙妙~!さっきはビビったけど、これで一安心♡」
「えへへ、当然でしょ?わたし誰だと思ってるの~?」

照れくさそうに笑いながらも、妙妙の目にはほんのわずかに嫉妬の色が滲む。
でも、あくまでもそれを見せないように、彼女は言葉を続けた。

「むしろさ、汐汐のQQアイコンも名前も、超女子っぽいじゃん?それを即拒否したってことは、葉洲がそれだけ“他の女子と絶対に関わらない”って決めてるって証拠だよ。も~、一途すぎて逆に怖い!」

「うんうん、それな!やっぱり、私のことず~っと好きだったに違いないよね♡」

陳汐は満足げに笑みを浮かべ、心の中でこう確信した——
――葉洲、あなたは絶対、私のことが大好きなんだから!

しかし——

「ちょ、ちょっと待って!汐汐、もう一回申請はナシ!」

妙妙が慌てて陳汐の手を止めた。

「一回ならいいけど、二回目となるとちょっと必死感出ちゃうよ?
だってさ、汐汐は“高嶺の花”。女神ポジだよ?そんな女の子が何度も申請なんて、プライド的にもったいない!」

「……そっか。うん、なるほど。じゃあ今回は我慢する!」

ニッコリと笑ってスマホを置く陳汐。その表情は、まさに勝利の女神。
そして心の中で、こう叫んだ——

「よし、これでJJのライブ、行ける!!!」

ちなみに、復習ノート?参考書?……ぜんぶカバンの中に突っ込んで終了!
「どうせ葉洲の解答を見れば余裕だし~」と、上機嫌な彼女は完全に試験のことなど忘れていた。

一方その頃——
葉洲の部屋。

「……は?陳汐、頭大丈夫か?」

彼はスマホを無言で見つめ、即座に「拒否」ボタンをタップ。
そう、何の迷いもなく。秒速で。

そもそも彼は、すでにそのQQ番号が陳汐のものであることを知っていた。
数日前、高三の学年グループチャットで「@小陈不吃香菜」って呼ばれてるのを見かけたからだ。

だからこそ、迷いなく「今後この人の申請を受け取らない」に設定。
「これで、もう面倒ごとはないな……」と、ため息をつきつつ、布団に潜って眠りについた。

翌朝。

葉洲は早起きし、学校に向かい、指定された教室の自分の席へ。
試験開始まで、静かに時間を待っていた。

そこへ、遅れてやってきた陳汐。
彼女は席に着くや否や、ニッコリ微笑みながらペンで葉洲の肩をツンツン。

「葉洲~、あたしね、ずっとJJが好きだったんだけど、ママが今回の模試で前回よりも20点以上取れたらライブチケット買ってくれるって言ってくれたの♡」

「……?」

葉洲の頭の中は「?」でいっぱい。

(いや、そんな話、俺にしたことないし……)

だが、陳汐はそんなことお構いなしに、あざとさ全開の笑顔で続ける。

「ねぇ~、葉洲って優しいから、きっと協力してくれるよね?
ね?今回の試験、選択問題の答えだけでいいから、答え終わったら右上に置いてくれたら助かるな~って♡」

——ああ、そういうことか。

葉洲はやっと昨夜の申請の意味を理解した。

(チッ……また都合のいいときだけ擦り寄ってきやがって)

そう思いつつも、口元にはあえて薄い笑みを浮かべた。

「……いいよ」

「ほんと!?やっぱり葉洲って、最高~♡」

「ふふ」

愛想笑いをしつつ、心の中で舌打ちしていた。

(……いいか、陳汐。今回は“仕返し”させてもらうからな)

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