突然ねこになった俺

にーにゃ

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「俺は太陽神の加護で癒しの力を持っているからな」


「そうだぜー
それに少し切ったくれーじゃ傷でもなんでもないなーからな」


「そうね
ただ、私たちが何か契約を交わしたと目敏く見つける者がいる可能性があるから治してもらったのよ」


「にゃ(そうだったんだ)」


そこまでするってことは、俺って結構ヤバい存在ってことにならないか?
なんで急にねこみたいな姿になったかも分からないし、この姿にもベルたちは驚いていたし、これからどうなるんだろ・・・


「なあ、ここから早く出ようぜ
俺も腹が減ってきた」


「そうね
もうすぐ光玉の魔力も尽きてしまうわ」


「リュン、おいで」


ベルは肩に跨がっている俺を腕の中にくるように促した。


「にゃ(うん)」


促されるままベルの手に体を預け、腕の中に抱かれた。


「これから俺のせいで注目を浴びることが多くなるだろう
リュンの綺麗な黒い髪と姿に驚く者もいる
それだけ闇の精霊獣は稀にしか現れないんだ
だが、幸い俺にはリュンを守るだけの力はある
それにアンバーもいるからな
だから心配するな
この世界を楽しんでほしい」


ベルは俺に聞こえるくらいの声の大きさで語りかけてきた。


「にゃにゃあ
(ありがとう、ベル
俺も早く強くなってベルと一緒に旅をしたい)」


ベルの気持ちは俺の心を優しく包んでくれるように温かかった。


「おーい、ベルン」


ダルクが扉を開けてベルを呼んだ。


「ああ、今行く
ありがとう」


「おう」


部屋から出ると、さっきまでの薄暗い明るさと違った明るさに目を細めた。


「ベルンちゃん、これから食べに行くところは決まっているかしら?」


「いや、まだだ」


「それじゃあ、俺らと一緒に食べようぜ」


「それは嬉しいが、俺たちが集まると余計に注目を浴びてリュンを怖がらせたくない」


「そこは大丈夫よ
私の部屋で食べるから」


「部屋っていうとギルドマスターの部屋か?」


「ええ、そうよ
特権なのよ」


「いいよなーその特権」


「それだけ忙しいのよ!」


「そうか」


「ちなみにもう料理を頼んだから拒否権はないわ」


「ははっ、ありがとう」


「いいのよー
ベルンちゃんと可愛いリュンヌちゃんの為だもの」


「なら、早く行こうぜー」


「うるさいわね!
あなたはおまけよ!感謝しなさい」


「ヘイヘイ、感謝しまーす」


「きーっ、本当に可愛くないわっ」


「可愛いなんて思われたくねーよ!」


ネルとダルクは言い合いをしながら、ずんずんと歩いている様子を見て


「にゃあ(ネルとダルクって仲いいな)」


「ふっ
2人に言うと文句を言われるぞ」


そんな会話をしながら、俺らもギルドマスターの部屋に向かった。


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