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温かいスープ
しおりを挟む「・・・ルリ、少し眠れ」
俺は首を横に振った。
あいつらがもういないってわかっても今、寝るのは怖い
「ふむ、そうだな
ルリが眠るまで側にいよう
それにここは俺の部屋だ
隣の部屋で仕事をしているから何かあればすぐに側に行く
だから安心して眠れ」
ラスはそう言って俺の頬を撫でた。
気持ちいい
そうして頬を撫でられているうちに次第に瞼が落ちていった。
・
・
・
「ん、」
寝てた・・・
あれからどれくらい経ったんだ?
腹減った
ラスは・・・いないのか?
「ら、す、」
やっぱり、まだまともに声が出ねえ
力も入らねえし、ラスが来るまで待つしかないか
「起きたか?」
突然聞こえたラスの声に、ビクッと体が跳ねた。
ビックリした
ずっと側にいたのか?
そんな俺の反応にラスはすぐに謝ってくれた。
「すまない、驚かせたか」
ラスの言葉に首を横に振った。
まさか聞こえてるとは、っていうかいるとは思わなかった
「こ、こに、?ケホッ」
ううっ、話ずれえ
「話さなくていい
ここにずっといたわけではない
隣の部屋で仕事をしていた」
「?」
じゃあ、タイミングが良かったのか?
まさか俺の声が隣の部屋まで聞こえたわけじゃねえよな
「ふっ、ルリの声は聞こえたぞ」
ええ!?
あのかっすかすの声が隣の部屋まで聞こえたのか!?
あり得ねえ
・・・あ、あれか、魔法か
絶対に何か魔法をかけていたからだろ
そうじゃねえと、あり得ねえ
そんな事を考えていると
「ルリ、夕食だ
腹が減っているだろう」
ふわっといい香りが目の前に広がり、思わず鼻をひくつかせた。
ぐう~
途端に俺の腹の音が鳴った。
「くくっ、そうせかすな」
恥ずっ
ラスは俺を抱き起してくれ、座りやすいように背中にクッションを入れてくれた。
「先に水を飲むか?」
その言葉に頷いた。
いまだに体に力が入らないので、水を飲ませてもらった。
「ふぅー」
美味しい
「ほら、スープだ」
ひな鳥よろしく、大人しく口を開けスープを飲んだ。
美味い
こんなに美味いご飯を食べたのはいつぶりだ
スープが美味しいことに次第に目が熱くなっていったが、泣くまいと必死に我慢した。
「ふっ、美味いか」
ラスの言葉に何度も必死に頷いた。
「そうか」
ラスの安心する声と雰囲気に、さらに涙が溢れ出た。
「ルリ・・・」
「う”っ」
ごめん
でも止まんねえ
じんわりと心が温かくなるスープとラスの存在に今までせき止められていた何かが溢れ出てきたみたいだった。
「大丈夫だ
思い切り泣いておけ」
そう言って、ラスは俺の涙を拭った。
暫く泣いた後、若干ウトウトとし始めていると
「ルリ、スープはもういいのか?」
俺の涙を拭いながら聞いてきた。
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