3 / 10
第3章
今井 雅彦
しおりを挟む
今井は警官になったことは悔いていなかったが、あの出来事は悔いていた。
今井の父親も警官だったため、高校を出た後、必然的に警官を目指した。父親は交通課にいたが、自分は刑事課を望んだ。
捜査一課に配属になった時には45歳で、娘はそれから3年後に結婚し、その2年後には子供を産んだ。1人娘で溺愛した。孫も可愛かった。家族にも仕事にも恵まれていた。仕事は自分で言うのもなんだが一生懸命取り組んだ。
今井が50歳になる頃、猟奇的殺人容疑がある中西悟を追っていた。中西は証拠がありながらその足取りは中々掴めなかった。中西が殺害したと思われる女性は、乳首を切り取られ、錐のような傷跡が胸に無数にあった。
既婚者の女性だった。遺体は丸裸だった。凌辱した痕跡もあった。
「中西、何処に潜伏している。」今井は焦っていた。中西は潜伏していると思われる地域の防犯カメラに映っている事もあったが、そこから捜査は進まなかった。
「どうなっているんだ。」
そんな時、今井は久しぶりに高橋に会った。
「今井さん、ご無沙汰しております。」「どうですか?最近は?」
「おう、高橋か、久しぶりだな。」「今、大変な殺人の件があってな・・。」
今井は煮詰まっていたが、こんな時ほど視点を変えた方が良いと思った。
「どうだ高橋、久々に行こうか。」今井は酒を飲むジェスチャーをした。
「そうですね。」高橋も同調した。
今井は飲みの席で高橋に中西の話をしてみた。「どうだ?何か意見はあるか?」今井は藁をも掴むような気持ちで高橋に意見を求めた。
「そうですね。全く解りませんね。」高橋は続けた。「ただ・・。」
「ただ、なんだ・・。」
「これだけの足取りがあっても気にせずに動いている所をみると、よっぽど捕まらない自信があるんですね。」
「自分なら、暫く何処か遠くで、ほとぼりが冷めるまで一箇所に身を隠します。」
「だから、中西は次の殺人をもう企ててますよ、きっと。」
「この手の奴は、同じ頃合いの女性を物色してますよ、しかもその事件現場の近くで。」
「そうか、有難う。お前は捜査一課に向いてるよ、此方に来い。」今井が言った。
確かに高橋の言うことに一理ある。そして気になった点が2つある。
1点目は、どうして近場を転々としてるであろう中西が見つからないのか?
2点目は、自分の娘も現場付近にいて、しかも既婚者、歳も25歳になる。
「まさかな・・。」その日は久々に酒を飲んだし、疲れも溜まっていたので、酔いが回るのが早かった。
今井の父親も警官だったため、高校を出た後、必然的に警官を目指した。父親は交通課にいたが、自分は刑事課を望んだ。
捜査一課に配属になった時には45歳で、娘はそれから3年後に結婚し、その2年後には子供を産んだ。1人娘で溺愛した。孫も可愛かった。家族にも仕事にも恵まれていた。仕事は自分で言うのもなんだが一生懸命取り組んだ。
今井が50歳になる頃、猟奇的殺人容疑がある中西悟を追っていた。中西は証拠がありながらその足取りは中々掴めなかった。中西が殺害したと思われる女性は、乳首を切り取られ、錐のような傷跡が胸に無数にあった。
既婚者の女性だった。遺体は丸裸だった。凌辱した痕跡もあった。
「中西、何処に潜伏している。」今井は焦っていた。中西は潜伏していると思われる地域の防犯カメラに映っている事もあったが、そこから捜査は進まなかった。
「どうなっているんだ。」
そんな時、今井は久しぶりに高橋に会った。
「今井さん、ご無沙汰しております。」「どうですか?最近は?」
「おう、高橋か、久しぶりだな。」「今、大変な殺人の件があってな・・。」
今井は煮詰まっていたが、こんな時ほど視点を変えた方が良いと思った。
「どうだ高橋、久々に行こうか。」今井は酒を飲むジェスチャーをした。
「そうですね。」高橋も同調した。
今井は飲みの席で高橋に中西の話をしてみた。「どうだ?何か意見はあるか?」今井は藁をも掴むような気持ちで高橋に意見を求めた。
「そうですね。全く解りませんね。」高橋は続けた。「ただ・・。」
「ただ、なんだ・・。」
「これだけの足取りがあっても気にせずに動いている所をみると、よっぽど捕まらない自信があるんですね。」
「自分なら、暫く何処か遠くで、ほとぼりが冷めるまで一箇所に身を隠します。」
「だから、中西は次の殺人をもう企ててますよ、きっと。」
「この手の奴は、同じ頃合いの女性を物色してますよ、しかもその事件現場の近くで。」
「そうか、有難う。お前は捜査一課に向いてるよ、此方に来い。」今井が言った。
確かに高橋の言うことに一理ある。そして気になった点が2つある。
1点目は、どうして近場を転々としてるであろう中西が見つからないのか?
2点目は、自分の娘も現場付近にいて、しかも既婚者、歳も25歳になる。
「まさかな・・。」その日は久々に酒を飲んだし、疲れも溜まっていたので、酔いが回るのが早かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる