5 / 25
紺屋町の女
しおりを挟む
龍之介が住む裏長屋は橘町四丁目にある。
だが、一丁目の角を左に曲がって四丁目の通りに入ったところで、龍之介は後ずさって建物の陰に身を隠した。
「どうしたの?」
後ろについて来ているゆみが訝しがる。
龍之介は、首だけ伸ばして通りの向こうを見通した。
「俺の家がもう知られちまったらしい」
龍之介が住む裏長屋へ通じる木戸の辺りに、三人ほどの男たちが黒い人影となってうごめいていた。
「あれはどう見ても忠兵衛組の奴らだ。待ち伏せしてやがる」
忠兵衛の家から逃げた際、忠兵衛が言った言葉を思い出した。
――はぐれ、逃げても無駄だぞ!
龍之介は舌打ちした。
「あれはそう言うことか。今日、浅草のあんなところで奴らに襲われたのも俺の家を見張ってどこへ行くか後をつけてやがったからか……抜かったぜ」
以前、龍之介は深川六間堀町に住んでいたのだが、そこは忠兵衛組の縄張りど真ん中だったのですぐに見つけられて、夜に外出した時に襲われた。
その時はもちろん返り討ちにしたが、今後もそれが続くのならそれ以上住み続けると言うわけにも行かないので、忠兵衛組から少しでも離れた橘町に引っ越して来たのである。
だが、ここもすでに嗅ぎつけられていたらしい。
「おじさん、どうするの?」
「参ったな……この時間じゃ彦兵衛は無理だし、竹蔵は中間部屋だ。睦助はあの賭場の一件以来どこにいるか知らねえし……与四郎……はゆみを見たら捕まえるだろうから最初から無理だ」
龍之介は、今晩かくまってくれそうな数少ない友人を思い浮かべたが、どこも無理なのは目に見えていた。
「ああ、あとはあいつがいたな……でもな……」
一つだけ行けそうなところを思い出したのだが、相手との過去の関係からあまり気乗りがしない。
だが、不安そうにじっと自分を見上げているゆみを見返すと、重たい気持ちが動いた。
「あいつは色々情報も持ってるしな。二、三日のつもりで行ってみるか。受け入れてくれれば、だが」
そこは紺屋町にある染物屋の離れであった。
元々は表の染物屋の以前のご隠居が隠宅として使っていたらしい。
木戸を抜けて路地を入って行った先の棟割長屋の向かいにある。
「おや、あんた……」
今、その離れの主人である美貌の女性は、龍之介を見ると驚きと呆れが入り混じった顔をした。
「おるい、すまねえな……」
ゆみを後ろに連れた龍之介は、戸口に立つ"るい"と顔を合わせると、気まずそうに視線を落とした。
「四年ぶりぐらいかしらね」
「三年じゃねえかな」
「婿入り先を追い出されたってのは噂で聞いたけど……」
るいは、龍之介を足下から頭まで観察するように見た後、龍之介の後ろに立っているゆみを見て、
「浮気して他所で子供を作っていたのが理由だったわけね、呆れました」
「は?」
「まさかそこまで外道だったなんてがっかりだわ。帰ってくださる?」
と、るいが冷たく言って戸を閉めようとしたが、龍之介はその手を慌てて押さえた。
「違う違う、勘違いだ。ちょっと話を聞いてくれ」
「え……」
るいは、少女から猫へ変化した後、また少女へと戻ってみせたゆみを見ると、驚きのあまり言葉を失ったが、特に恐がることもなかった。
それどころか、すぐに現実であることを理解すると、逆に笑顔でこう言ったものである。
「いいじゃない。こんなに可愛らしい子が可愛い猫ちゃんにもなれるなんて、可愛さの一石二鳥よ」
「わけわかんねえことを……生意気なガキだぞ」
「そんなこと言わない」
るりは、ぴしゃりと龍之介を睨んだ。
「まあともかく。奉行所に目をつけられ、行き場の無いおゆみちゃんを守ってあげようってことね。少しは見直した」
龍之介は浪人とは言え一応武家である。だが、るいの龍之介に対する口調や態度は、まるで町人の亭主に対するようなそれであった。
龍之介は、昔とはすっかり変わった"るい"の言動に少々戸惑ったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「情けないが、今はおめえしかいないんだ、頼む」
「…………」
龍之介が手を合わせて頼み込むと、るいはじろりと龍之介を見た。
「龍さん、あなた……昔何をしたか覚えてるわよね?」
「も、もちろんだ……本当にすまねえと思ってる」
「…………」
るいは、小さくなっている龍之介を睨む。だが、そこに敵意や憎しみのようなものはない。
そんな二人の間に奇妙な空気感があることにゆみは気付いて、興味深そうに二人の顔を交互に見た。
「ま、いいわ」
るいは、ぽんっと手を叩いて、
「だけど、あなたを助けるわけじゃない。おゆみちゃんを助けてあげるってことにする。それと、これであなたには一つ貸しを作ったってことにもする、いい?」
「貸しか……まあそれで充分だ」
龍之介が頷くと、るいは立ち上がった。
「こっちに来て」
るいは、彼女が住む離れを出て、向かいの棟割長屋の一番隅の部屋に行った。
彼女はこの長屋の大家をしていた。それを人づてに聞いていたので、龍之介はわざわざ重い気持ちを抱えたまま訪ねて来たのだ。
「ちょうどここが空いてるの。鍋、釜、布団、長火鉢や行灯まで一通り揃ってるわ」
るいは真っ暗な部屋の中に入ると、行灯に火を入れた。
「これはありがたい」
龍之介は喜んで、薄明りの灯った部屋の中に入った。
四畳半の座敷と、台所を備えた一畳半の土間。いわゆる九尺二間の裏長屋だが、橘町でも同じ間取りの裏長屋に住んでいたので変わりはない。むしろ、橘町の長屋よりも造りが新しく、綺麗に掃除も行き届いていた。
ゆみは好奇の目で狭い部屋の中を見回していたが、漂って来た行灯の魚油の匂いに唾を飲み込んだ。
「早速今晩からどうぞ。後でお米と味噌持って来てあげる」
「本当にすまねえ、この恩は必ず返すからな」
龍之介は振り返って礼を言うと、枕屏風をずらして夜具一式を見た。
「恩、ね……」
るいは、意味深に龍之介の背中を見つめていたが、
「あ、そうそう。あなたたち、ここでは親子ってことにしておいた方がいいかもね」
「え、何でだよ?」
龍之介が再び振り返ると、るいは呆れた顔をして、
「馬鹿ね~。長屋の女房たちは探りや噂話が大好きなのよ。何の関係もない浪人と女の子が一緒に住んでたら怪しまれるに決まってるじゃない。あんたは忠兵衛組に追われてるし、おゆみちゃんは奉行所に目をつけられてるんだから、変に疑われたら困るでしょう」
「そうだな……」
「それでなくても、あなたはその顔で女房衆の目を引くだろうから」
すると、魚油の匂いに鼻をひくひくさせていたゆみが言った。
「じゃあ、お侍の子らしく、おじさんのことを父上と呼ぶね。以前から父上、って言ってみたかったんだ」
ゆみは、いたずらっぽく笑った。
「すごいわ、おゆみちゃん、子供なのにこのおじさんより物分かりがいいわね」
るいは、両手を合わせてにっこりと笑った。
だが、一丁目の角を左に曲がって四丁目の通りに入ったところで、龍之介は後ずさって建物の陰に身を隠した。
「どうしたの?」
後ろについて来ているゆみが訝しがる。
龍之介は、首だけ伸ばして通りの向こうを見通した。
「俺の家がもう知られちまったらしい」
龍之介が住む裏長屋へ通じる木戸の辺りに、三人ほどの男たちが黒い人影となってうごめいていた。
「あれはどう見ても忠兵衛組の奴らだ。待ち伏せしてやがる」
忠兵衛の家から逃げた際、忠兵衛が言った言葉を思い出した。
――はぐれ、逃げても無駄だぞ!
龍之介は舌打ちした。
「あれはそう言うことか。今日、浅草のあんなところで奴らに襲われたのも俺の家を見張ってどこへ行くか後をつけてやがったからか……抜かったぜ」
以前、龍之介は深川六間堀町に住んでいたのだが、そこは忠兵衛組の縄張りど真ん中だったのですぐに見つけられて、夜に外出した時に襲われた。
その時はもちろん返り討ちにしたが、今後もそれが続くのならそれ以上住み続けると言うわけにも行かないので、忠兵衛組から少しでも離れた橘町に引っ越して来たのである。
だが、ここもすでに嗅ぎつけられていたらしい。
「おじさん、どうするの?」
「参ったな……この時間じゃ彦兵衛は無理だし、竹蔵は中間部屋だ。睦助はあの賭場の一件以来どこにいるか知らねえし……与四郎……はゆみを見たら捕まえるだろうから最初から無理だ」
龍之介は、今晩かくまってくれそうな数少ない友人を思い浮かべたが、どこも無理なのは目に見えていた。
「ああ、あとはあいつがいたな……でもな……」
一つだけ行けそうなところを思い出したのだが、相手との過去の関係からあまり気乗りがしない。
だが、不安そうにじっと自分を見上げているゆみを見返すと、重たい気持ちが動いた。
「あいつは色々情報も持ってるしな。二、三日のつもりで行ってみるか。受け入れてくれれば、だが」
そこは紺屋町にある染物屋の離れであった。
元々は表の染物屋の以前のご隠居が隠宅として使っていたらしい。
木戸を抜けて路地を入って行った先の棟割長屋の向かいにある。
「おや、あんた……」
今、その離れの主人である美貌の女性は、龍之介を見ると驚きと呆れが入り混じった顔をした。
「おるい、すまねえな……」
ゆみを後ろに連れた龍之介は、戸口に立つ"るい"と顔を合わせると、気まずそうに視線を落とした。
「四年ぶりぐらいかしらね」
「三年じゃねえかな」
「婿入り先を追い出されたってのは噂で聞いたけど……」
るいは、龍之介を足下から頭まで観察するように見た後、龍之介の後ろに立っているゆみを見て、
「浮気して他所で子供を作っていたのが理由だったわけね、呆れました」
「は?」
「まさかそこまで外道だったなんてがっかりだわ。帰ってくださる?」
と、るいが冷たく言って戸を閉めようとしたが、龍之介はその手を慌てて押さえた。
「違う違う、勘違いだ。ちょっと話を聞いてくれ」
「え……」
るいは、少女から猫へ変化した後、また少女へと戻ってみせたゆみを見ると、驚きのあまり言葉を失ったが、特に恐がることもなかった。
それどころか、すぐに現実であることを理解すると、逆に笑顔でこう言ったものである。
「いいじゃない。こんなに可愛らしい子が可愛い猫ちゃんにもなれるなんて、可愛さの一石二鳥よ」
「わけわかんねえことを……生意気なガキだぞ」
「そんなこと言わない」
るりは、ぴしゃりと龍之介を睨んだ。
「まあともかく。奉行所に目をつけられ、行き場の無いおゆみちゃんを守ってあげようってことね。少しは見直した」
龍之介は浪人とは言え一応武家である。だが、るいの龍之介に対する口調や態度は、まるで町人の亭主に対するようなそれであった。
龍之介は、昔とはすっかり変わった"るい"の言動に少々戸惑ったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「情けないが、今はおめえしかいないんだ、頼む」
「…………」
龍之介が手を合わせて頼み込むと、るいはじろりと龍之介を見た。
「龍さん、あなた……昔何をしたか覚えてるわよね?」
「も、もちろんだ……本当にすまねえと思ってる」
「…………」
るいは、小さくなっている龍之介を睨む。だが、そこに敵意や憎しみのようなものはない。
そんな二人の間に奇妙な空気感があることにゆみは気付いて、興味深そうに二人の顔を交互に見た。
「ま、いいわ」
るいは、ぽんっと手を叩いて、
「だけど、あなたを助けるわけじゃない。おゆみちゃんを助けてあげるってことにする。それと、これであなたには一つ貸しを作ったってことにもする、いい?」
「貸しか……まあそれで充分だ」
龍之介が頷くと、るいは立ち上がった。
「こっちに来て」
るいは、彼女が住む離れを出て、向かいの棟割長屋の一番隅の部屋に行った。
彼女はこの長屋の大家をしていた。それを人づてに聞いていたので、龍之介はわざわざ重い気持ちを抱えたまま訪ねて来たのだ。
「ちょうどここが空いてるの。鍋、釜、布団、長火鉢や行灯まで一通り揃ってるわ」
るいは真っ暗な部屋の中に入ると、行灯に火を入れた。
「これはありがたい」
龍之介は喜んで、薄明りの灯った部屋の中に入った。
四畳半の座敷と、台所を備えた一畳半の土間。いわゆる九尺二間の裏長屋だが、橘町でも同じ間取りの裏長屋に住んでいたので変わりはない。むしろ、橘町の長屋よりも造りが新しく、綺麗に掃除も行き届いていた。
ゆみは好奇の目で狭い部屋の中を見回していたが、漂って来た行灯の魚油の匂いに唾を飲み込んだ。
「早速今晩からどうぞ。後でお米と味噌持って来てあげる」
「本当にすまねえ、この恩は必ず返すからな」
龍之介は振り返って礼を言うと、枕屏風をずらして夜具一式を見た。
「恩、ね……」
るいは、意味深に龍之介の背中を見つめていたが、
「あ、そうそう。あなたたち、ここでは親子ってことにしておいた方がいいかもね」
「え、何でだよ?」
龍之介が再び振り返ると、るいは呆れた顔をして、
「馬鹿ね~。長屋の女房たちは探りや噂話が大好きなのよ。何の関係もない浪人と女の子が一緒に住んでたら怪しまれるに決まってるじゃない。あんたは忠兵衛組に追われてるし、おゆみちゃんは奉行所に目をつけられてるんだから、変に疑われたら困るでしょう」
「そうだな……」
「それでなくても、あなたはその顔で女房衆の目を引くだろうから」
すると、魚油の匂いに鼻をひくひくさせていたゆみが言った。
「じゃあ、お侍の子らしく、おじさんのことを父上と呼ぶね。以前から父上、って言ってみたかったんだ」
ゆみは、いたずらっぽく笑った。
「すごいわ、おゆみちゃん、子供なのにこのおじさんより物分かりがいいわね」
るいは、両手を合わせてにっこりと笑った。
10
あなたにおすすめの小説
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
大奥~牡丹の綻び~
翔子
歴史・時代
*この話は、もしも江戸幕府が永久に続き、幕末の流血の争いが起こらず、平和な時代が続いたら……と想定して書かれたフィクションとなっております。
大正時代・昭和時代を省き、元号が「平成」になる前に候補とされてた元号を使用しています。
映像化された数ある大奥関連作品を敬愛し、踏襲して書いております。
リアルな大奥を再現するため、性的描写を用いております。苦手な方はご注意ください。
時は17代将軍の治世。
公家・鷹司家の姫宮、藤子は大奥に入り御台所となった。
京の都から、慣れない江戸での生活は驚き続きだったが、夫となった徳川家正とは仲睦まじく、百鬼繚乱な大奥において幸せな生活を送る。
ところが、時が経つにつれ、藤子に様々な困難が襲い掛かる。
祖母の死
鷹司家の断絶
実父の突然の死
嫁姑争い
姉妹間の軋轢
壮絶で波乱な人生が藤子に待ち構えていたのであった。
2023.01.13
修正加筆のため一括非公開
2023.04.20
修正加筆 完成
2023.04.23
推敲完成 再公開
2023.08.09
「小説家になろう」にも投稿開始。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
江戸情話 てる吉の女観音道
藤原 てるてる
歴史・時代
この物語の主人公は、越後の百姓の倅である。
本当は跡を継いで百姓をするところ、父の後釜に邪険にされ家を出たのであった。
江戸に出て、深川で飛脚をして渡世を送っている。
歳は十九、取り柄はすけべ魂である。女体道から女観音道へ至る物語である。
慶応元年五月、あと何年かしたら明治という激動期である。
その頃は、奇妙な踊りが流行るは、辻斬りがあるはで庶民はてんやわんや。
これは、次に来る、新しい世を感じていたのではないのか。
日本の性文化が、最も乱れ咲きしていたと思われるころの話。
このてる吉は、飛脚であちこち街中をまわって、女を見ては喜んでいる。
生来の女好きではあるが、遊び狂っているうちに、ある思いに至ったのである。
女は観音様なのに、救われていない女衆が多すぎるのではないのか。
遊女たちの流した涙、流せなかった涙、声に出せない叫びを知った。
これは、なんとかならないものか。何か、出来ないかと。
……(オラが、遊女屋をやればええでねえか)
てる吉は、そう思ったのである。
生きるのに、本当に困窮しとる女から来てもらう。
歳、容姿、人となり、借金の過多、子連れなど、なんちゃない。
いつまでも、居てくれていい。みんなが付いているから。
女衆が、安寧に過ごせる場を作ろうと思った。
そこで置屋で知り合った土佐の女衒に弟子入りし、女体道のイロハを教わる。
あてがって来る闇の女らに、研がれまくられるという、ありがた修行を重ねる。
相模の国に女仕入れに行かされ、三人連れ帰り、褒美に小判を頂き元手を得る。
四ツ谷の岡場所の外れに、掘っ立て小屋みたいな置屋を作る。
なんとか四人集めて来て、さあ、これからだという時に……
てる吉は、闇に消えたのであった。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる