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しおりを挟む夕方、チャールズが戻ったと聞いて部屋を出ると彼に出くわした。
「執務室にいるのだと思っていたのに出かけていたのね。どこ行ってたの?」
「ああ、友人の相談にね。今日は悪阻は平気なのか?」
「ええ。それで、街に行ったの。あなたが相談に乗った人って女性なのね。
あなたが彼女の臀部をいやらしい手つきで触りながら酒場に消えたのを見たわ。」
チャールズの目が泳ぎまくっている。
「え~っと、それは酒場でのトラブル相談に乗っていて……彼女の体を支えていただけだ。」
「そうなの?あの酒場って2階は連れ込み宿みたいなところなんですってね。
あなたがその女性と行ったのは2階でしょ?
他にも女性がいるそうね。
妻があなたの子供を妊娠して悪阻で苦しんでいるっていうのに、女遊びに夢中だなんて。」
「そ、それはっ!……あーもう。
お前が妊娠中で抱けないからだろ?他の女で発散することの何が悪い!」
早速開き直ったわね。
こんなに嘘をつくのが下手な男だったのに気づかなかったなんて。
恋は盲目?違うわね。暗示で盲目だったのよ。
「私の妊娠は関係ないでしょ?妊娠する前から遊んでるんだから。
もし、その女性たちが妊娠したらどうするつもり?」
「はっ!あいつらは平民だよ。誘いに乗ってるんだから自衛するのも当然だろ?
俺一人が悪いわけじゃないし、俺はちゃんと避妊している。」
「だけど、妊娠したら他人の子でも身分のありそうなあなたの子だって嘘をつくかもしれないわよ?
それに、平民のフリをした下位貴族令嬢が働いていることもあるんだから。
あなたの顔を知っていて妊娠を仕組むかもしれないわ。愛人狙いで。」
「そ、それは……確かにあるかもしれないけど、今いる女たちは快楽目当てだから大丈夫だ。」
どうせお金も払っているでしょ?恋人じゃないんだから。
快楽目当てだと思っていても妊娠すれば話は別なのよ。男はわかっていないわ。
「あなた、開き直りすぎじゃない?裏切られて私はショックなのに。
女遊びをやめる気にはならないの?」
「外で済ませてるんだからいいだろ?前は使用人にもいたんだ。
だけど、さすがにバレそうだから結婚前に辞めさせた。
ハッキリ言う。お前ひとりじゃ満足できないんだ、俺は。」
新婚の、しかも妊娠中の妻に言っていい言葉じゃない。だけど、逆に下衆で笑えるわ。
「あなたが、私の条件を飲むというのであれば女遊びは許可するわ。
条件を飲まないのであれば、あなたのご両親にも私の両親にも伝えるわ。
遊ぶお金は無くなるし、社交界でも噂されるのを覚悟してね。」
「……わかった。条件は何だ?」
「一つは、私が産んだ子供が侯爵家の跡継ぎなる。当然よね?」
「ああ、もちろんだ。」
「次に、私はもうあなたとは閨を共にしない。
あなたは私一人じゃなくて、数多の女性を選んだわ。
いろんな女性に触れているあなたに触れられたくないの。病気でも移されたら嫌だわ。」
「そんなことはない!相手は選んでいるつもりだ。」
「だけど、あなたの相手の女性たちは他の男性も相手にしているでしょう?
誰からどう移されるかわからないもの。
それに、私を相手にするのはつまらないのでしょう?無理することないわ。」
「それは……わかった。」
「最後に、妊娠しなければ浮気は認める。妊娠したとしても侯爵家の子だと認知しない。」
「ああ、問題ない。」
「じゃあ、これにサインして。」
レナードに作らせた契約書。
チャールズはちゃんと理解せずにサインしたわ。
2つの仕掛けがあるのにね。
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