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しおりを挟む契約を済ませたチャールズは、ご機嫌でお茶を飲んでいた。
もちろん、さっき作った薬が入っている。
浮気が公認されたチャールズは、夜も出かけるはずだから。
相手の女性には、しばらく性病を患ってもらいましょう。
性病っていっても軽いもので、チャールズの精液のせいで痒みが出るけれど1週間くらいで治るわ。
だけど、またチャールズに抱かれると発病する。その繰り返し。
そのうち、女性の方がチャールズに抱かれると性病になると気づいてフラれるわ。
何人の女性が犠牲者になるかしらね?
3か月後、懇意にしていた3人の女性たちからは全員手を切られたみたい。
過去の女性数人もね。
場所を変えて、違うところで女性に声をかけはじめたそうよ。
うまくいかなかった時は娼館に行っているらしいわ。
あら。娼館の女性はお仕事だから、性病になると気の毒よね。
じゃあ、薬を変えようかしら?
ゴリゴリゴリゴリゴリ………
次は、勃起しにくくなるというのはどう?
毎日じゃないわ。だけど、徐々にあれ?っていう日が増えていくの。
せっかく娼婦が頑張ってくれても女性の前で勃たなかったら?
女性に魅力がないせい?
それとも自分が疲れているせい?
遊びすぎかな?
いろいろ考えるわよね。
数日後に娼館に行けば、大丈夫だった。
やっぱり疲れてたんだと思ってホッとする。
だけど、10日後にまた勃たなかったら?
それが8日後になって、6日後になったら?
どんどん不安に思うわね。
でも、それ以外の日には勃つ。
不安に思いながらも、まだ快楽が勝つ。
徐々に不能になる間隔が短くなって、1日おきになった頃、キアラは出産した。
男の子だった。
男の子には魔女の魔力が遺伝しない。
最初に産まれた女の子に遺伝する。
キアラは次女だけど、ケイラと双子だったために魔女の魔力を受け継いだのだ。
魔女は通常、女の子を出産する。
なのに男の子だったということは、キアラが次女であるために継がせる遺伝を持って生まれなかったか、
あるいは、
キアラが無意識に、夫の血を引く子を魔女にするわけにはいけないと思ったか。
昔、妻となったある魔女が愛する夫の子供を産んだ。女の子だった。
だけど、夫は妻の血筋が魅力的で利用しただけだと後でわかった。
そんな夫の血を引く子供は、魔女の魔力を悪用しがちになると伝えらえている。
魔女の魔力を持つ者が減っていったのは、力を悪用されて捕まってしまった者もいるけれど、自らが率先して悪用する者がいたからである。
悪用しても、されても、追手から逃げ切ることは難しい。
捕らえられて処刑された者もいる。
そうして数が減っていった。
戒めのための言い伝えかもしれないけど、愛した夫が愚者であることは魔女にとっては禁忌となる。
そして、キアラは妊娠中に愛する夫の不誠実さを知った。
魔女になる女の子を産んでしまうと、力を教えなくても自力で知ってしまうこともある。
なので、言い伝えが気にかかり、キアラは女の子を産みたくないと思ってしまったのかもしれない。
女の子だった場合、媚薬や惚れ薬、性に関する魔女の秘薬を躊躇なく作ってしまいそうだから。
アレの子なのだ。大いにあり得た。
男の子であったのは、キアラにとっては幸いだった。魔女にならないのだから。
夫ではなく自分によく似ている男の子を可愛いと思えたこともよかった。
キアラがそんなことを思っているとは知らない夫も、夫の両親である侯爵夫妻も、跡継ぎとなる男の子の誕生を喜んでくれた。
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