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しおりを挟む僕の子供が産まれた。侯爵家を継ぐ僕の、次に継ぐ男の子だ。
僕の血を引くと認める子供はこの子だけになる。そういう契約をキアラとした。
キアラが産む子供が跡継ぎ。
キアラはもう僕と閨を共にしないから、子供ができることもない。
そして、僕の遊び相手に万が一にも子供できたとしても、僕の子供と認知しない。
僕の子供だと本当に確信できないから。……遊んでいる女性ばかりだから。
確かにそういう契約をした。
そうだ。
その契約をしてから、僕はキアラに隠れることなく遊び始めた。
ところがどうだろう。
馴染みの遊び相手に何度か会ううちに、『体調が悪いからまた今度』『何か変だからもう会わない』『違う相手ができた』と断られ始め、偶然に会った昔の遊び相手とよりを戻しても数回でサヨナラされた。
その時に言われた。
『あなたに抱かれた後、アソコが痒くて大変だったの。性病かと思ったわ』
僕は痒くはない。他の誰かと勘違いしているんじゃないか?
そう言うと、前後1週間は僕以外の誰とも交わっていないと言われた。
他の女性も会ってくれなくなったのは同じ理由なのかもしれないが、自分が悪いとは思えなかった。
仕方がないので、声をかける相手が見つからない時は娼館に行き始めた。
久々に行くと、新しい子が気に入った。
だけど、次に指名すると体調が悪くて休みだと言われた。
違う子を指名して、次にまた同じ子を指名しても体調悪いと言われた。
人気のある子は客が多くて体調を崩しやすいのかもしれないと思った。
せっかく娼館に行ったので、空いている子に相手をしてもらった。
それなのに、僕のモノは反応しなかったのだ。
今までこんなことはなかった。
女の子が頑張って勃たそうとしてくれたけど、無理だった。
『疲れてるのかな?』と帰った。
次の日は自分で勃たせてみた。ちゃんと反応した。
なので、その次の日はまた娼館に行って娼婦を抱けた。
だけど何日か経つと、また反応しなくなった。
勃ったり、勃たなかったり………勃たなくなる間隔がだんだんと短くなってきた。
疲れているのか?
性欲が衰えてきたのか?
病気なのか?
そんな不安の中、息子が産まれた。
息子が産まれてからは、全く反応しなくなってしまった。
まるで息子に、『母親を大切にしない父親なんて不能になれ』と呪われている気がした。
そんなことあるはずがないのに、息子を直視できなくなった。
会うのを避けていたらキアラに言われた。
「最近、出かけていないみたいなのに、息子のルインを気にかけてくれているわけでもない。
私たちの夫婦仲がどうであれ、あなたは父親なのよ?
毎日、一度は声をかけてあげて。でないと、あなたを覚えてもらえないわよ?」
「……わかってる。だけど、あの子は僕を恨んでるみたいなんだ。呪いをかけたのかも。」
「ふふっ。何を馬鹿なこと言ってるの?どうやって恨むの?それに、呪い?」
「ああ。母親であるキアラを父親が泣かせたからじゃないか?
君と契約して以来、徐々に遊べなくなっているんだ。
あっ!まさか、君のせいか?君が息子を使って僕に呪いをかけたんだろう?薬草を使って。」
そもそも、キアラはチャールズの女遊びを知っても泣いていない。
チャールズと契約した時にも泣いた覚えはない。
なのにどうして泣いたことになっているのかしら。
泣かせるようなことをしたという自覚はあるってことね。
「どうしてルインが呪ったことになっているの?」
「だって、あの子が産まれてから不能なんだ。女を抱けない。」
「偶然でしょ。遊びすぎたんじゃない?
それか、自分でも気づいていない罪悪感を感じて子種をばら撒かないようになったんじゃない?」
「……そうなんだろうか。君の薬草でなんとかならないか?」
「私の薬に飲み薬はないの。湿布、傷薬、手荒れとか、外用なのよ。知ってるでしょ?」
使用人たちに渡して喜んでもらってるわ。
もちろん、内服薬も作れるけれど、対外的には私は外用薬しか作っていないことになってるの。
「……僕の人生は終わった。」
いや、勝手に終わらないで?まだ最後の仕上げが残っているのよ。
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