4 / 18
4.
しおりを挟む入学式前に寮に入り、同じように王都に家を持つことが少ない子爵・男爵家の令嬢と仲良くなった。
でもそれは、入学後の密かな噂話が広がるにつれて避けられるようになっていった。
『高慢な公爵令嬢だった女の娘』
『男爵を脅して結婚した女の娘』
『下位貴族を見下した女の娘』
親からそう伝わったのか、同級生にも上級生にも陰口を叩かれているようでどんどん広まっていた。
やがて、陰口だったのがホリーにも聞こえるような声量になり、転ばされたりぶつかってこられたりとアザも出来始めた。
席を外せば、教科書や文具はゴミ箱へ。
上位の成績を取れば、不正を疑われたり男爵令嬢のくせに生意気だと言われる。
(あなたが下位貴族を見下しているんだけど?)そう言ってみたかった。
私に冷たく当たるのは、伯爵位以下がほとんどであった。
公爵・侯爵家には母の冤罪が晴れていることを知っている人が多いからかな?
知らなくても、知っていそうな人に事実を確認すればわかることだろうからね。
だけど、誰も私を助けてくれない。(正義感の強い人もいないの?)
先生たちも気づいているよね?(教師失格じゃない?)
生徒会ですら放置である。(いじめや嫌がらせを放置するって風紀はどうなってるの?)
私自身が何かをしたわけでもないのに嫌がらせされるっておかしくない?
これって男爵令嬢だからよね?
他にも男爵令嬢はたくさんいるわよ?なのに一人を狙い打ち?母のことだけで?
公爵令嬢だったらしないわよね?やっぱり爵位によって差別ってあるよね。面倒だわ。
…いっそ平民の方が貴族向けの学園に通わなくて済むからよかったかも。
それはそれで元公爵令嬢が母だなんて敬遠されるかな…
物語のように誰かが颯爽と現れて庇ってくれるだけで、今なら惚れそう。と現実逃避。
寮に帰ると、された内容、時間と相手がわかっていれば名前を書き記していく。
いつか、何かの役に立つかもしれない。
実家には言わないつもりでいるけど、これ以上ひどくなったら言った方がいい?
今はまだ、呆れと怒りが大きい。人数が多すぎて反論したこともない。
でも、弟が入学するまでに母の噂を払拭しないとあの子も同じ目に合うかもしれない。
それが一番困るので、何か打開策がないか考えているんだけど……
卒業までに変わらなければ公爵家のお祖父様に頼もうかしらね?
爵位を理由に嫌がらせが可能なら、私が祖父に泣きつくこともアリでしょ?
そう考えていたある日、頭の上から大量の水が降ってきた。……3回も。
これが大きな問題になる。
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
515
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる