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その日、友人クレメンスの婚約者ジェシカ嬢がしていた髪型を見て、ルーズベルトは気づいた。
領地でナターシャがドレスを着た時にしていた髪型とよく似ており、いつも前髪を下ろしていたジェシカ嬢が横に流して額を出していたことで、ジェシカ嬢とナターシャが似ていると思ったのだ。
母はデビューしたジェシカ嬢の姿を見て、ナターシャと似ていると思ったのではないだろうか。
もしそうであれば、ジェシカ嬢の父親がナターシャの父親なのかもしれない。
ジェシカ嬢の父親は、カーマイン侯爵だ。
ルーズベルトは自分の想像に、顔色を悪くした。
ルーズベルトは両親に話すべきかどうか、しばらく悩んだが、カーマイン侯爵がどういう人物かも知らないこともあり、話すことにした。
「父上、母上。ナターシャの実の父親ですが、カーマイン侯爵の可能性はありませんか?」
両親は顔を見合わせた後、笑った。
「それはないな。あそこの夫婦は円満だ。不貞など、思いも寄らない。」
「そうよ?どうしてそう思ったの?」
「クラスメイトのジェシカ嬢が、ナターシャと似ていると思ったのです。勘違いなら良かった。」
そこで母がハッとした。
「ジェシカ嬢?……そうよ。彼女だわ。確かにナターシャと似て……」
そこまで言って、母は絶句した。
「まさか……ナターシャが?」
父も非常に驚いた様子で母を顔を見合わせた。本当にカーマイン侯爵の子供だったのか?
「父上?母上?」
父は深く息を吐き、話し始めた。
「カーマイン侯爵には、攫われた子供がいる。」
「攫われた?いつ?」
「ジェシカ嬢は2歳だったから、大体14年くらい前だ。ジェシカ嬢の下に双子が生まれた。男の子と女の子だったが、生まれてすぐ、目を離した隙に女の子が攫われたんだ。」
「14年くらい前って、ナターシャはもうすぐ14歳になる……」
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……それは、ほぼ決定的に思える。
「犯人は見つかってない?」
「ああ。わからずじまいだ。もちろん、子供の行方も。」
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「気づかないものかな?」
「……わからん。ミオナが産んだ日はわかっている。双子の誕生日と近いかもしれない。」
どうしてこんなことになったのかはわからないが、ミオナを母と思ってナターシャはコダック伯爵領で暮らしてきたことは間違いない。
「……カーマイン侯爵夫人は、未だに娘が生きていると信じて会える日を待っているわ。」
母のその言葉は、ナターシャとの別れを予感させた。
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